Fastnacht

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Fastnacht 26

第5章 祈りの行方 26.聖なる者 101  自ら投降したルゥは、兵士たちに連れられてある塔へやってきた。  街中の目立つ道は避け、人目を憚る罪人のように馬車で護送される。血と鉄の匂いをさせた兵士たちとの重苦しい沈黙の時間のせいで、気分が悪...
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Fastnacht 25

第5章 祈りの行方 25.動乱 097 「困りましたね」  疲れ切って座り込んだリューシャに飲み物を差し出しながら、セルマが眉尻を下げて口にした。 「ああ。ここまで順調だったのに、まさかここで引っかかるとはな」  リューシャも眉間に皺を寄せ...
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Fastnacht 24

第4章 波音の向こう 24.この世界に生まれ 093 「ちょっと! はぐれてしまったじゃないですか!」  ひとまず人の流れから離れた脇道。セルマが白蝋の襟首を掴んでがくがくと揺さぶる。  こっそりウルリークと目配せを交わし合っていた白蝋は、...
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Fastnacht 23

第4章 波音の向こう 23.微かなる波音 089  昼を過ぎてもリューシャはまだ微妙に落ち込んでいた。ウルリークがけらけらと笑い、ダーフィトが首を傾げつつも声をかける。 「で、今日はどうするんだ?」  昨夜から今朝にかけては白蝋の夜這い、紅...
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Fastnacht 22

第4章 波音の向こう 22.見知らぬ愛しき人 085  前触れのない高波はどう考えてもただの自然現象ではない。  大いなる海の力がリューシャと辰砂を包み込み、二人を海岸から沖合まで一瞬にして連れ去った。  水の中なのに息ができることに気づき...
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Fastnacht 21

第4章 波音の向こう 21.魂の向こう側 081 「正直言って、僕は紅焔や銀月程の忠誠心はないんですよ。あの二人みたいに絶体絶命のところを辰砂に救われたわけではありませんから。でもね、あの人がいなければ、紅焔は前みたいに笑えるようにならなか...
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Fastnacht 20

第4章 波音の向こう 20.混乱の塔 077  数冊の本を抱えたまま叫び声を上げたのは、先程リューシャたちを案内してくれたあの女性司書だ。  一番動きが早かったのはダーフィトだ。室内を見回し逃走者を発見するとすぐに追いかける。  リューシャ...
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Fastnacht 19

第4章 波音の向こう 19.愚者の叡智 073  船は滑るように波の合間を進んでいく。航海は順調だった。 「平和だな。なんと見事な晴天か」 「嵐にも凪にも海賊にも遭わなかったしな」  客船の甲板に立ち、リューシャとダーフィトは近づく島影を見...
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Fastnacht 18

第3章 折れぬ翼 18.運命の交錯 069  宮殿内を隅から隅まで見て回った。普段は人がいないようなところまで。スワドがラウルフィカとレネシャにしか知らせていないような隠し部屋まで。  執務室にも立ち寄った。重要書類はすでに文官たちが持ち出...
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Fastnacht 17

第3章 折れぬ翼 17.破滅の記憶 065  何かが壁にぶつかる激しい音に、廊下を歩いている途中だったラウルフィカは慌てて駆け寄り部屋の扉を開いた。 「リューシャ!」 「陛下……」  呼びかけに反応したのは本人ではなく、同じく部屋の中にいた...