荊の墓標 外伝

荊の墓標 外伝

荊の墓標 SS

荊の墓標 Short Story 王様の趣味 王様の趣味 その1  コンコン、とノックをし、許可を得て彼はエヴェルシード国王シェリダンの寝室へと足を踏み入れた。 「シェリダン様」 「ああ、クルスか。なんだ?」  シェリダンは彼の顔を見てそう...
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神聖なる悲劇 02

神聖なる悲劇(2) 008  運命の巫女サライを味方に引き入れたことによって、戦況は大きく変わった。 「ロゼッテ様、カルマイン軍から使者が」 「頭領、ルミエスタに駐屯する第一軍隊がゼルアータに叛旗を翻したと」 「巫女を奪還した功績により、セ...
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神聖なる悲劇 01

神聖なる悲劇(1) 001  薔薇の花が燃えている。庭園は炎に包まれている。一つの大陸を制覇した国が終わりを告げようとするその瞬間に、極上の紅が滑り込む。  それは夢のような光景だった。 「なん……だ?」  彼がその部屋に足を踏み入れた時、...
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薔薇の闇は深く 03

薔薇の闇は深く(3) 009 「なんだか、こうして一緒に歩くのも久しぶりだな」  王城の漆黒の床に赤い絨毯を敷かれた廊下を歩きながら、ヘンリーは隣に並ぶアウグストにそう話しかけた。その様は楽しげで、表情は嬉しげだが、そんな彼ら二人の腕は、仕...
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薔薇の闇は深く 02

薔薇の闇は深く(2) 005  大きな獲物に罠を仕掛けるには、役に立つ手駒が必要だ。 「このたびは我らがローゼンティアにご足労頂き……」 「能書きは結構。さっさと本題に入ろうではありませんか」  特にどこかの国と問題を起こすということもない...
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薔薇の闇は深く 01

薔薇の闇は深く(1) 001  皇暦三〇〇二年。 「ところで、アウグスト=カルデール公爵。 もしお前に、愛して愛してとっても愛してやまないのに、決して自分とは添い遂げない相手がいたとしたらどうする?」 「は? いきなり何の話です、ドラクル様...