荊の墓標 荊の墓標 43 第18章 薔薇の涙に堕ちる国(2) 240* 「ええ!? アンリたちがこの城に来ているじゃと!」 「しかも、牢獄に放り込んだなんて……」 アンとヘンリーの二人は、その話をルースから聞かされた。代わりにルースの方は、シェリダンたちを城に連れ... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 42 第18章 薔薇の涙に堕ちる国(1) 234 そして薔薇は、この手に堕ちた。 「ただいま戻りましたわ。ドラクル陛下」 常と変わらぬ穏やかな声と口調。プロセルピナの魔術によって王城へと帰ったルースの様子は、ただ一つのことを除けば常と全く変わ... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 41 第17章 虚無の覇帝(2) 229 見た目はたおやかでもその腕はさすがにヴァンピルだ。ルースの腕はシェリダンが全力を込めてもなかなか外せそうにない。首を絞められてはいるが、両手は自由に動かせるこの状態でこれなのだ。何か方法はないか。 苦... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 40 第17章 虚無の覇帝(1) 224 深い樹海に抱かれた魔族の国、ローゼンティア。 街の景色は、華やかとは言えないがとにかく派手だ。街の家々は赤煉瓦を積み上げているために、どこもかしこも赤い。だいたいどこの家でも薔薇を育てている。 その... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 39 第16章 暗黒の末裔(2) 218* これが最後と決めた書類の一枚にサインをし、デメテルは席を立った。 「来たのね、ハデス」 帰ったのね、ではなく、来たのね、と。結局最後まで自分は彼の帰る場所にはなれなかった。 ハデスは預言者だが、彼... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 38 第16章 暗黒の末裔(1) 212 生きることと死ぬことの間には、厳密な差異があるはずだ。 死者は蘇りはしない。死んでしまったものには二度と会えない。 ヴァンピルのような、一度の生命活動の停止が終焉とならぬような一族であっても、それで... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 37 第15章 聖者の葬列(2) 206 「ごめん」 口を開きばな出てきたその言葉に小さく驚いて、シェリダンは隣に座るロゼウスの顔を見た。 とりあえずエヴェルシードの現状にショックを受けた部分もあるだろうし、一日くらいは体を休めろとのエルジェ... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 36 第15章 聖者の葬列(1) 200 何も失いたくないのならば、最初から手に入れなければいいのだ。ないものは誰も奪えない。喪失の痛みに苦しくて引き裂かれそうだというのならば、もともと何も持たなければいいのに。 あるいは、今あるものもそのた... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 35 第14章 冥府の王(2) 194 飛びかかってくる魔物の群を斬り倒しながら進んだ。 「ちっ、キリがないな」 「シェリダン様、あっちの森は!」 エチエンヌの指差す先に、銀色の森がある。何故か魔物たちはその森を避けているようで、こちらの攻撃... 2024.09.03 荊の墓標
荊の墓標 荊の墓標 34 第14章 冥府の王(1) 188* 『本当に良いのか? 我等の王よ』 一人の魔物が尋ねた。 「ああ」 黒髪の少年が頷く。 「僕はロゼウスのせいで死ぬなんてまっぴらだし、姉さんの道具でいるのもまっぴらだ。せっかくの魔術の才、例え姉に敵わず... 2024.09.03 荊の墓標