BL小説

Fastnacht

Fastnacht 09

第2章 縁を結ぶ歌9.見えない糸033 軍人の一団が人身売買組織の関連物を残らず街道から持ち去っていく。組織の人間も彼らの使っていた馬車や道具も、その中に詰め込まれた「商品」たちも――。「マジで?」「マジで?」 辰砂とウルリークは揃って呆然...
Fastnacht

Fastnacht 08

第2章 縁を結ぶ歌8.祝福されぬ子ら029 簡単な協議の結果、アレスヴァルド一行と辰砂一行からお互いにそれぞれ一名ずつ手を組むことになった。 辰砂とウルリーク、銀月とダーフィト、ラウズフィールとセルマの組み合わせだ。 何故この組合わせになっ...
Fastnacht

Fastnacht 07

第2章 縁を結ぶ歌7.動き出す必然025 六時の大陸とも呼ばれる黄の大陸。この大陸の南東地域を治めるシャルカント帝国の港に数隻の軍艦が停泊していた。「国王陛下、準備が整いました。いつでも出立できます」「ああ。御苦労だったな」 出航に関して一...
Fastnacht

Fastnacht 06

第1章 運命の歯車6.懐かしいお伽噺021 「は?」 思いがけない目撃証言に、ラウズフィールは目を点にした。「え? ちょ、連れ去られ……って何? どういうことすか」 詰め寄るラウズフィールに、銀貨一枚で情報提供してくれた男が肩を竦める。「い...
Fastnacht

Fastnacht 05

第1章 運命の歯車5.沈黙の海辺017 彼らがアレスヴァルド王国を追われ、祖国とはほぼ世界の反対側、極東の海岸にまで来てしまった経緯を余すことなく聞かされたウルリークは溜息をついた。 刺客に襲われたばかりなので、ダーフィトの表情は硬く、セル...
Fastnacht

Fastnacht 04

第1章 運命の歯車4.夢で見た場所013「ところでここはどこなのでしょうね」 辺りの景色を見回しながら、セルマが誰にともなく尋ねた。さすがと言うべきか、不自然なくらい動じていない。彼女にとっては突然殺されかけるのも見知らぬ場所に何も知らされ...
Fastnacht

Fastnacht 03

第1章 運命の歯車3.果てなき逃亡009 ダーフィトがその名を叫ぶ。「ナージュ!」 突如として背後に現れた女の姿に、三人は驚きを隠せない。 長い青い髪の、神官のような格好をした女。年齢はセルマやダーフィトと同じぐらいに見えるが、彼らのような...
Fastnacht

Fastnacht 02

第1章 運命の歯車2.狂乱の扇動者005 ゲラーシムの背後には、四人の護衛と一人の女性がいた。女性もまた貴族らしく、美しく着飾っている。武器を持っている様子もない。ゲラーシムにとって何らかの重要人物と見るべきだろう。 しかしこの時のリューシ...
Fastnacht

Fastnacht 01

第1章 運命の歯車1.神託の王子001 波の音を聞いていた。 海だ。 青い水の輝きが砂浜に寄せては返る。海面から突き出した岩の上に少女が一人座り、潮騒に伴奏するように竪琴を奏でていた。 砂浜は白い。棘だらけの星の形をした白い砂が敷き詰められ...
僕の愛しい勇者様

僕の愛しい勇者様 02

僕の愛しい勇者様 0210.兄の本音 ライアの性別反転騒動の翌日から、明らかにソールの様子はおかしかった。「あの……兄さん?」「あ、ああ。ライア、な、なんだ?」 おかしい。どう見ても誰が見ても疑いなく確実におかしい。 被害を受けたのは幼馴染...