天上の巫女セルセラ

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天上の巫女セルセラ 062

第3章 恋と復讐と王子様062.流れる花「ふうん、つまりお前の父親は、初めから死ぬつもりだったと」 セルセラたちとアルライルの対話は続く。 彼の口から語られた魔王側の裏事情は、この件を別にしても有益なものだった。 三の魔王を通して五の魔王と...
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天上の巫女セルセラ 061

第3章 恋と復讐と王子様061.恋と復讐「私の話は終わりだ。さぁ、お前もこの五年間……いや、もっと前から。私に言いたかったことがあるならば言うといい」 終わりを予感させる瞳で伯父は言う。 ファラーシャ自身も今まで何も知らぬことで留まっていた...
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天上の巫女セルセラ 060

第3章 恋と復讐と王子様060.世にある、世にあらぬ ハシャラートの特徴である、光でできた虫の翅。普段は人に紛れて生活するのに不要なそれを解放し、伯父と姪は碧と青の光の鱗粉を振りまきながらダールマークの夜空を飛ぶ。「ファリア鉱山……」 話を...
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天上の巫女セルセラ 059

第3章 恋と復讐と王子様059.真夜中の邂逅 澄んだ空気に星も輝く真夜中、とある宿屋の一室で、明かりもつけぬ暗闇の中に紅茶を淹れる音が響く。「ほらよ」 明かりもつけぬ暗い一室。その光景に不似合いな紅茶の馥郁とした芳香。 セルセラは用意した茶...
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天上の巫女セルセラ 058

第3章 恋と復讐と王子様058.鏡の中の好敵手「この前の舞台、皆さん気に入ってくださったようで」「ああ、割と楽しめたぜ」 アムレートの言葉に、セルセラは頷いた。 ファリア鉱山の病の調査と治療はまだ終わっていない。しかし、人は常にその作業だけ...
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天上の巫女セルセラ 057

第3章 恋と復讐と王子様057.復讐の王子 ディフ監獄の冤罪事件に関し、セルセラは天界に資料を持ち込んで調査を続けていた。 天界というこの場所自体が、強盗も間諜も入り込めない最強の防犯施設である。セルセラが最強の聖女として地上のあちこちで権...
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天上の巫女セルセラ 056

第3章 恋と復讐と王子様056.狂気を演じる者 『ハムレット』と呼ばれる復讐劇は、主人公の王子が復讐を遂げる代わりに何もかも失って死ぬという結末と言える。 見方によっては、そうして喪失を強調するのは良くないかもしれない。 けれど明るい話題を...
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天上の巫女セルセラ 055

第3章 恋と復讐と王子様055.華やかなりし舞台の上 魔獣の襲撃と崩落事故から数日経ち、ファリア鉱山の人々の生活は徐々に元に戻りつつあると言う。「そっかあ、良かったね!」 ファラーシャとレイルの二人は、坑道を共に歩いた子どもたちの様子を見に...
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天上の巫女セルセラ 054

第3章 恋と復讐と王子様054.王子に捧ぐ竜退治「エルフィス王って強いんだね」 魔獣討伐と人々の救出に一区切りがついて、ようやくこれまでの実働隊は休める余裕ができた。 人々の支援を始め、残った作業は領主であるアムレートが采配を振っている。セ...
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天上の巫女セルセラ 053

第3章 恋と復讐と王子様053.隠されしもの「レイル! ファラーシャ! 大丈夫か!?」 セルセラは瓦礫に埋もれる鉱山入り口の奥へと呼び掛ける。 転移の術は周囲に障害物が多い閉所で使うには向かず、入り口を塞ぐ瓦礫を吹き飛ばすのは、崩落による二...