小説(全年齢)

Pinky Promise

Pinky Promise 108

第5章 パイ泥棒の言い分 18.料理女の選択 108  パトカーのサイレンが夜の淡い喧噪に鳴り響く。しかし今日は誰もがそれに関し頓着しない。  この近くの帝国立博物館で、怪盗ジャックと怪人マッドハッターの盗みがあったことが広く知られているか...
Pinky Promise

Pinky Promise 107

第5章 パイ泥棒の言い分 18.料理女の選択 107  咄嗟に元の姿に戻って倉庫を飛び出したはいいものの、この後が続かない。  まだ距離はあるものの、背後から追手の気配がアリストに迫ってくる。 どこまでも似たような景色が続く夜の倉庫街。手近...
Pinky Promise

Pinky Promise 106

第5章 パイ泥棒の言い分 18.料理女の選択 106  暗い倉庫の中。黒服を率いる先頭の男は、一人だけ格好が違った。この男がこの集団のボスなのだろう。  年齢は三十手前と言ったところで、薄い紫の髪に紅い瞳の一見優男。しかし彼の瞳は、穏やかな...
Pinky Promise

Pinky Promise 105

第5章 パイ泥棒の言い分 18.料理女の選択 105  高い位置にある小さな窓から頼りない月の光だけが差し込む薄暗い倉庫の中。  見知った顔の突然の登場にマッドハッターが驚いている間に、怪盗ジャックがアリスと会話を始めていた。 「おや、いら...
Pinky Promise

Pinky Promise 104

第5章 パイ泥棒の言い分 18.料理女の選択 104  帝国立博物館の宝石展示室。マッドハッターとジャックの獲物である『女神に捧ぐ首飾り』だけが今は堂々とその中央の特別ケースに展示されている。  どちらの怪盗も下見は昨日のうちに済ませている...
Pinky Promise

Pinky Promise 103

第5章 パイ泥棒の言い分 18.料理女の選択 103  日曜の夜、ニュースではハンプティ・ダンプティによる新たな殺人事件の報道がされている。  しかし本日の多くの帝都民の興味は殺人犯よりも、怪盗二人の競演にあった。  民衆は熱狂する。  そ...
Pinky Promise

Pinky Promise 102

第5章 パイ泥棒の言い分 17.ジャックの予告状 102 「それで、どうだったんですか? ツィノーバーロートの宝石展」  日曜は学院の課題があるということで、高等部生たちは午前中だけ図書館に集まっていた。  昨日集まったメンバーの中ではヴェ...
Pinky Promise

Pinky Promise 101

第5章 パイ泥棒の言い分 17.ジャックの予告状 101  展示ケースの前に姿を現し、一瞬にして観衆の心を鷲掴みにした怪盗ジャックの姿にフートは驚愕した。 「怪盗ジャック……?!」 「フート、気づいた?」 「わかるもんか。変装は怪盗の十八番...
Pinky Promise

Pinky Promise 100

第5章 パイ泥棒の言い分 17.ジャックの予告状 100  テラスは先程館内で父親より先にマレク警部に出会い、高等部と小等部の知人友人一同と来ていることを説明したらしい。それでマレク警部もアリスたちを見つけて話しかけて来たのだということがわ...
Pinky Promise

Pinky Promise 099

第5章 パイ泥棒の言い分 17.ジャックの予告状 099  帝国立博物館。前回の事件でギネカたちエラフィ救出班が訪れた、国内最大級の総合博物館である。  広大な敷地内に帝国全土のみならず、別大陸をも含めた世界中の学術的資料、重要文化財、美術...