小説

天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 070

第3章 恋と復讐と王子様070.誓いと約束 三の魔王ラヴァルを倒した。 それは予定通りのことで、悲しむことでもない。 けれど、今回は、悲しみを残す事件の続きだという現実がなんとなく心を重くする。 救えなかったものの顔ばかり、見ている。「この...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 069

第3章 恋と復讐と王子様069.射手の魔王 セルセラたちは、ついにこの大陸に入ってからゼィズやフェング王に名を聞き続けた三の魔王ラヴァルと対峙した。「よぉ、あんたが射手の魔王か? 亡国の王子」「初めましてだな、天上の巫女さんよ。亡国を作った...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 068

第3章 恋と復讐と王子様068.青髭の憂鬱 鉱山街の人々の治療は順調に進んでいる。 あの後、元国王フェングは己の負けを認め、彼の知る事情と知識の全てを明らかにした。 もともと、彼ら自身の国民であるファリア鉱山街の人々を苦しめるのはフェングや...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 067

第3章 恋と復讐と王子様067.毒杯の行方「うう……ダメだ……体が勝手に!」「エルフィス!」「陛下!!」 突如として苦しみ始めたエルフィスの姿に、セルセラやエルフィスの臣下たちは必死に声をかける。容体を診ようとしたセルセラを、エルフィスは咄...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 066

第3章 恋と復讐と王子様066.生きるべきか、死ぬべきか「あの人は死んだけど、あなたはまだ生きている」 ファラーシャの言葉に、フェングは皮肉な笑みを返し、実の甥へと話を振る。「ここで死ぬかもしれんがな。そうであろう、アムレート」 セルセラた...
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天上の巫女セルセラ 065

第3章 恋と復讐と王子様065.毒と剣 ――生きるべきか、死ぬべきか。 ◆◆◆◆◆ セルセラたちがディフ監獄に辿り着いた直後、雨が降ってきた。風が急激に強くなり、窓に雨粒を勢いよく叩きつける。 どうやら、また嵐のようだ。 風の唸りの中に、フ...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 064

第3章 恋と復讐と王子様064.城壁の亡霊「まずい。フェング様からお借りした戦力はあなた方を止めるために街中に……」「しまったそれでか! さすがに僕たちのせいで王様が殺されたら寝覚めがわりーぜ!」 ゼィズの遺体は、セルセラの魔導で結界を張っ...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 063

第3章 恋と復讐と王子様063.帰れぬ船 異形化したゼィズは正気を失い、目に映る「生物」を手あたり次第に襲うのだろう。これまでとは違う化け物の形相で、ファラーシャにも襲い掛かってきた。「伯父様……!」 地面を穿つ素手の一撃に破壊力はあるが、...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 062

第3章 恋と復讐と王子様062.流れる花「ふうん、つまりお前の父親は、初めから死ぬつもりだったと」 セルセラたちとアルライルの対話は続く。 彼の口から語られた魔王側の裏事情は、この件を別にしても有益なものだった。 三の魔王を通して五の魔王と...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 061

第3章 恋と復讐と王子様061.恋と復讐「私の話は終わりだ。さぁ、お前もこの五年間……いや、もっと前から。私に言いたかったことがあるならば言うといい」 終わりを予感させる瞳で伯父は言う。 ファラーシャ自身も今まで何も知らぬことで留まっていた...