小説

天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 074

第4章 あなたは祈りの姿をしている074.顔のいい男たち「そのジーヴァくんとシオンくんはどんな子なの?」 道すがらファラーシャはウィラーダに、探すべき二人の少年の特徴を尋ねた。「ジーヴァは僕の弟で、黒髪に橙色の瞳の十四歳の少年で、剣士です。...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 073

第4章 あなたは祈りの姿をしている073.女性お断り月明りも届かぬ暗い夜更け。ゆるりと静かに河を流れてくるもの。水に半分浮いた籠の中に、一人の赤子が収められている。その息はすでにない。親はこの子を育てられなかったのか、それとも初めから産声を...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 072

第3章 恋と復讐と王子様072.恋と復讐と王子様 セルセラたち一行は、ダールマーク王国で遭遇した様々な出来事の後始末を無事に終え、そろそろこの国を出発することにした。 三の魔王ラヴァルを無事に味方に引き込むことに成功し、禁呪の被害者たちの治...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 071

第3章 恋と復讐と王子様071.尼寺へ行け ゼィズの息子、アルライルの身柄はセルセラが天界で預かることに決められた。「呪毒の治療にはそれなりの施設が必要なんだが、今まさに魔王討伐の旅をしている途中でどこか特定の国家に設置した病院に毎度立ち寄...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 070

第3章 恋と復讐と王子様070.誓いと約束 三の魔王ラヴァルを倒した。 それは予定通りのことで、悲しむことでもない。 けれど、今回は、悲しみを残す事件の続きだという現実がなんとなく心を重くする。 救えなかったものの顔ばかり、見ている。「この...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 069

第3章 恋と復讐と王子様069.射手の魔王 セルセラたちは、ついにこの大陸に入ってからゼィズやフェング王に名を聞き続けた三の魔王ラヴァルと対峙した。「よぉ、あんたが射手の魔王か? 亡国の王子」「初めましてだな、天上の巫女さんよ。亡国を作った...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 068

第3章 恋と復讐と王子様068.青髭の憂鬱 鉱山街の人々の治療は順調に進んでいる。 あの後、元国王フェングは己の負けを認め、彼の知る事情と知識の全てを明らかにした。 もともと、彼ら自身の国民であるファリア鉱山街の人々を苦しめるのはフェングや...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 067

第3章 恋と復讐と王子様067.毒杯の行方「うう……ダメだ……体が勝手に!」「エルフィス!」「陛下!!」 突如として苦しみ始めたエルフィスの姿に、セルセラやエルフィスの臣下たちは必死に声をかける。容体を診ようとしたセルセラを、エルフィスは咄...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 066

第3章 恋と復讐と王子様066.生きるべきか、死ぬべきか「あの人は死んだけど、あなたはまだ生きている」 ファラーシャの言葉に、フェングは皮肉な笑みを返し、実の甥へと話を振る。「ここで死ぬかもしれんがな。そうであろう、アムレート」 セルセラた...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 065

第3章 恋と復讐と王子様065.毒と剣 ――生きるべきか、死ぬべきか。 ◆◆◆◆◆ セルセラたちがディフ監獄に辿り着いた直後、雨が降ってきた。風が急激に強くなり、窓に雨粒を勢いよく叩きつける。 どうやら、また嵐のようだ。 風の唸りの中に、フ...