小説(全年齢)

Pinky Promise

Pinky Promise 030

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 030  ミラーズ遺跡。通称鏡遺跡と地元住民に呼ばれるその遺跡は、エメラルドが帝都と定められた頃より開かれた観光スポットの一つである。  ディアマンディ帝国の首都エメラルドは、その面積に中程度の国...
Pinky Promise

Pinky Promise 029

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 029  週末の土曜。休日の朝っぱらから、机の上に並べられた細かな部品や工具。ヴァイスは精密ドライバーを握って、小さな部品の螺子を締めている。 「ヴァイス、何作ってんだ?」 「ん? これか。これは...
Pinky Promise

Pinky Promise 028

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 028  ジグラード学院高等部のとある教室。もう大多数の生徒が部活に出かけたり帰宅して人が少なくなった中、一つの集団だけが机を寄せて額を突き合わせてまだ残っていた。  この春から二年生になった彼ら...
Pinky Promise

Pinky Promise 027

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 027  ヴァイスの家を辞して、ヴェルムは現在自宅として使っているマンションの一つに戻った。  ヴェルムの母親が帝国有数の富豪の娘だった関係で、両親が亡くなった際にヴェルムへも多額の遺産が遺されて...
Pinky Promise

Pinky Promise 026

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 026  目の前には女性がいる。つい最近も見たような顔だ。 「ダイナ=レーヌと申します。帝都一の名探偵と名高いエールーカ探偵にお会いできて光栄です」 「いえ、そんな……」  今日も今日とて探偵とし...
Pinky Promise

Pinky Promise 025

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 025  雨の檻が血臭を閉じ込めている。  絶え間なく降り注ぐ雫に打たれて、鬱蒼と茂る草をかき分けるむさ苦しい男たちのコートも暗い色に沈んでいた。 「また、“奴”か」 「ええ」  男たち――現場を...
Pinky Promise

Pinky Promise 024

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 024 「何やってんのよ! ヴェルム!」 「な、なんのことだよセルフ、俺は――」 「幼馴染の目を誤魔化せると思ってんの?! どうしてヴェルムがアリストに変装なんかしてるわけ?!...
Pinky Promise

Pinky Promise 023

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 023  ゲルトナーの研究室を辞し、三人で廊下を歩いているとダイナの姿を見かけた。 「ダイナ」 「ああ、ルイツァーリ先生。アリス君にシャトンちゃんも」  ヴァイスの呼びかけで彼...
Pinky Promise

Pinky Promise 022

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 022 「それで、やっぱり君が“アリス”になることにしたんだね」 「ああ……じゃなくて、“うん、そうだよ!“」 「ははは。ここでまでそんな気合い入れた子どもぶりっこしなくてもい...
Pinky Promise

Pinky Promise 021

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 021  新学期が始まった。  小等部や高等部に入学する生徒にとっては四月は人生の契機ともなるべき時だが、進級するだけの二年生、三年生ともなるとその熱も薄れる。  ジグラード学...