小説(全年齢)

Pinky Promise

Pinky Promise 028

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 028  ジグラード学院高等部のとある教室。もう大多数の生徒が部活に出かけたり帰宅して人が少なくなった中、一つの集団だけが机を寄せて額を突き合わせてまだ残っていた。  この春から二年生になった彼ら...
Pinky Promise

Pinky Promise 027

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 027  ヴァイスの家を辞して、ヴェルムは現在自宅として使っているマンションの一つに戻った。  ヴェルムの母親が帝国有数の富豪の娘だった関係で、両親が亡くなった際にヴェルムへも多額の遺産が遺されて...
Pinky Promise

Pinky Promise 026

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 026  目の前には女性がいる。つい最近も見たような顔だ。 「ダイナ=レーヌと申します。帝都一の名探偵と名高いエールーカ探偵にお会いできて光栄です」 「いえ、そんな……」  今日も今日とて探偵とし...
Pinky Promise

Pinky Promise 025

第2章 歪む鏡の向こう側 5.ダイナの翻弄 025  雨の檻が血臭を閉じ込めている。  絶え間なく降り注ぐ雫に打たれて、鬱蒼と茂る草をかき分けるむさ苦しい男たちのコートも暗い色に沈んでいた。 「また、“奴”か」 「ええ」  男たち――現場を...
Pinky Promise

Pinky Promise 024

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 024 「何やってんのよ! ヴェルム!」 「な、なんのことだよセルフ、俺は――」 「幼馴染の目を誤魔化せると思ってんの?! どうしてヴェルムがアリストに変装なんかしてるわけ?!...
Pinky Promise

Pinky Promise 023

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 023  ゲルトナーの研究室を辞し、三人で廊下を歩いているとダイナの姿を見かけた。 「ダイナ」 「ああ、ルイツァーリ先生。アリス君にシャトンちゃんも」  ヴァイスの呼びかけで彼...
Pinky Promise

Pinky Promise 022

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 022 「それで、やっぱり君が“アリス”になることにしたんだね」 「ああ……じゃなくて、“うん、そうだよ!“」 「ははは。ここでまでそんな気合い入れた子どもぶりっこしなくてもい...
Pinky Promise

Pinky Promise 021

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 021  新学期が始まった。  小等部や高等部に入学する生徒にとっては四月は人生の契機ともなるべき時だが、進級するだけの二年生、三年生ともなるとその熱も薄れる。  ジグラード学...
Pinky Promise

Pinky Promise 020

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 020  四月五日。帝都エメラルド。  多くの学校がこの日、入学式を行う。  帝都一の規模を誇るジグラード学院も例外ではない。 「それでは、皆さん一人ずつ自己紹介をしましょう」...
Pinky Promise

Pinky Promise 019

第1章 月夜の時盗人 4.指切り―Pinky Promise― 019  ただでさえ体力のない子どもの体は赤騎士との戦闘の後で泥のように重い。  だが、ヴァイスの自宅まで戻らないわけには行かなかった。こうして命がある以上、まだ睡蓮教団の存在...