小説(全年齢)

天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 050

第3章 恋と復讐と王子様 050.海の異変  青の大陸へ向かう船の運航は穏やかだった。紺碧の海上を滑るように進んでいく。  旅客と貨物の両方を引き受ける貨客船の一種で、大陸間の移動と輸送を手掛ける大手会社の船だ。  魔獣が世界各地で跋扈する...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 049

第3章 恋と復讐と王子様 049.脆き者よ、汝の名は  いつかのざわめきが、耳の奥で再生される。  これは夢だ。すぐにわかった。  それでも、もう会えない人々の面影は酷く懐かしい。 「しかしよ、ルカニドの奴はもう少しどうにかなんないもんかね...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 048

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 048.騎士は跪く 「俺のしたことは結局、誰も守れず、救えず……二人の少女を無用に苦しめ殺すことになっただけだった」  エスタ。ゲルトルート。  彼が救えなかった聖女と、彼が殺した魔王。  知られざる罪がここに...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 047

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 047.いつか呪いが解けるまで  合同葬儀のためにどこかいつもより厳粛な雰囲気が漂い人気のない街中、セルセラたち一行は外に机と椅子を置いて食べるタイプの食事処で一休みしていた。  葬儀が完全に終わって人通りが戻...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 046

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 046.誰が為の永遠  ロベルトがまだ隠し持っていた剃刀で、自らの腕を傷つける。 「え!? 何やってるんだお前!!」  突然の自傷行為に驚き、彼を捕まえていたファラーシャはその腕を放してしまった。  特殊民族は...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 045

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 045.愛し子に安息を  嘆息するタルテに半泣きのファラーシャ、そして剣を手放したレイル。  怪物はファラーシャに触手を落とされたままなので攻撃をして来ないが、どうも切断面に肉芽が盛り上がっているところを見ると...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 044

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 044.永遠を探す者  ――本当にお気の毒なことで。  ――まだ小さいのに、可哀想に。  葬儀屋の息子が亡くなったのは、子どもだけがかかる流行り病だった。  アジェッサの街ではすでに何人もの子どもが亡くなってい...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 043

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 043.還れぬ場所  異端の科学者、マッドサイエンティスト ロベルト=コーニス。  エレオドの女軍人ヤトレフ将軍は、ロベルトをそう呼んだ。 「おい、いきなり乱入してきて剣を引けとはどういうことだ」  つい最近見...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 042

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 042.偽りの復活  地下道の壁には一定間隔で新しい角灯が取り付けられていた。何人もの人間が出入りしている気配だ。  セルセラたちはファラーシャが機械の音がすると言った方向に向けて歩き始めた。  通路の片側に何...
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天上の巫女セルセラ 041

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 041.その心に一輪の薔薇 「さて……ルチル神父が地図を持って戻って来るまで、ちょっとした反省会と行きましょうか」  タルテの形相に、セルセラ、レイル、ファラーシャの三人は説教を予感する。  吟遊詩人のラルムも...