小説

Pinky Promise

Pinky Promise 016

第1章 月夜の時盗人3.赤騎士との決戦 016 アリストが印を組んだのはフェイク。自らの足下に無数の魔法陣が輝いた瞬間、赤騎士はそう悟った。「チェシャ猫! 貴様か!」 正面からの攻撃に備えようとした赤騎士の意表を衝くように、足元の地面が爆発...
Pinky Promise

Pinky Promise 015

第1章 月夜の時盗人3.赤騎士との決戦 015 良い子も良い大人(深夜勤めの一部除く)も眠る時間。つまり深夜。ここからは悪い子と悪い大人のターンだ。「よく来たな」 広い地面のど真ん中に立っていた赤騎士が、三人を出迎える。アリストたちはヴァイ...
Pinky Promise

Pinky Promise 014

第1章 月夜の時盗人3.赤騎士との決戦 014「……っていうか、真正面から『果し状』って」「別にいいだろう? まだるっこしいことは好かん」 昨日と同じホテルの一室。呆れる白兎ことアルブス=ハーゼに、赤騎士ことルーベル=リッターは外出準備をし...
Pinky Promise

Pinky Promise 013

第1章 月夜の時盗人3.赤騎士との決戦 013 帝都の隣の都市アラヴァストロ。さすがに帝国の心臓である帝都エメラルドには敵わぬものの、エメラルドに次いで発展している都市である。帝都より若干地価が安い郊外に家を買って通勤する者も多い。 しかし...
Pinky Promise

Pinky Promise 012

第1章 月夜の時盗人2.チェシャ猫の道標 012 仕切り直し、とばかりにヴァイスが二人を寝室から居間へと移動させ、暖かい飲み物を振る舞った。 平素の彼にしては格別の待遇だ。出されたココアは常のアリストにとっては甘すぎるはずだったが、味覚も子...
Pinky Promise

Pinky Promise 011

第1章 月夜の時盗人2.チェシャ猫の道標 011 今もこの世界には、魔法と呼ばれるものが残っている。 絶滅危惧種の動物並の希少性とはいえ、世界各地には本物の魔導師が存在していた。 中でも、世界の中心であるディアマンディ帝国帝都エメラルドは、...
Pinky Promise

Pinky Promise 010

第1章 月夜の時盗人2.チェシャ猫の道標 010 ――遠くで誰かが呼んでいる。『アリスト』 ああ、これは姉さんの声だ。この世界で自分が誰より何より一番愛している人の声だ。 白く濁る視界の中、自分は彼女を見上げている。 懐かしい。これはまだ、...
Pinky Promise

Pinky Promise 009

第1章 月夜の時盗人2.チェシャ猫の道標 009 学院の廊下を四人の男女が歩いている。皆、ここの制服を着た高等部の学生だ。「しかし、マギラスさ」「あのちびっ子にやけに絡んでたよな~」 フートとレントの二人が、後ろを歩くギネカを振り返りながら...
Pinky Promise

Pinky Promise 008

第1章 月夜の時盗人2.チェシャ猫の道標 008 アリストはヴァイスと並んで通いなれた校舎の中を歩く。よく知った環境のはずなのに自分自身の目線が低いせいで違和感を覚えながら。「フュンフ=ゲルトナーの説明はどうだった」「参考にはなったよ。まだ...
Pinky Promise

Pinky Promise 007

第1章 月夜の時盗人2.チェシャ猫の道標 007『――むかし、むかし 創造神がかつて名を持っていた頃、かの方はその強大な力を以て世界と数多の神々、数多の種族、そして人間を作り出した。 創造の母の子たる神々は長兄である太陽神フィドラン、長姉で...