05
ウェイの手つきはルーファスとは比べ物にならないほど乱暴だった。箱入りのアイオンがどれほど軟弱でかよわいのかを知っていたルーファスはあれでも十分に少年に手加減していたが、もとよりアイオンを憎んでいるウェイにそんなつもりはない。
「ふん、なまっちろい奴だな」
アイオンのシャツを無理矢理剥ぎ、半ズボンを引き下ろす。子どもっぽい体つきのアイオンの胸元をじろじろと見て、ウェイは馬鹿にするように鼻を鳴らした。
自分とさして年の変わらぬ少年だというのに、ウェイはアイオンよりもはるかに大人に近い体つきをしている。それでも大人から見れば彼もまだ肩の辺りが華奢で頼りない一人の少年でしかないのだが、ウェイよりも更に幼いアイオンからすれば、彼もルーファスも似たようなものだった。
隙を見て逃げ出そうとする動きはすべて封じられ、寝台の上にうつ伏せに押さえこまれる。捻られた腕が痛み、アイオンは顔を歪めた。
「い、痛いよ。やだっ、放して!」
ウェイは耳を傾けることなく、アイオンの服を毟り取る。外気に晒された肌が怯えに粟立ち、アイオンは自然と助けを求めて叫んでいた。
「助けて……助けてルーファス!」
「うるさい! お前なんかが御主人様を呼ぶな!」
ウェイが感情のままに怒鳴り、目の前に晒されたアイオンの尻たぶを思いきり抓る。柔らかな皮膚を容赦なしに爪の痕が残るほどつねられて、少年は獣のような悲鳴を上げた。
「ひぎぃッ!!」
その声がうるさいとばかりに、ウェイは体半分振り向かせたアイオンの口に、自らの指を突っ込む。
「舐めろ。これは、お前のためなんだからな。このまま突っ込まれたくはないだろ?」
かたかたと震えながらも、アイオンはその言葉に従った。無造作に口内を撫でる褐色の指にこちらから舌を絡め、唾液を塗布していく。
「ん、んんぅ……」
ほどよく指が濡れたところで、ウェイはアイオンの口の中からそれを引き抜き、彼の後ろの蕾に当てた。
ずぷ、と前触れもなく指が二本、中に沈み込む。アイオンは息が詰まるような衝撃を覚えた。思わず手元の敷布をきつく握りしめる。
「うう……」
夜毎ルーファスに抱かれ、使いこまれている体だ。幼い少年の回復は早く、よほど手荒に扱われでもしない限りは、秘部が腫れあがることなどない。しかし慣れた場所とはいえ、いきなり二本は負担が大きかった。
長い指が容赦なく、アイオンの中をかき回す。
「ふん……淫乱な体だな。もうこんなに指を締めつけてきてる」
「あ、そ、そんな……」
ウェイは指の腹でアイオンの中の作りを確かめるかのように、奥の方までじっくりと探っていく。最も感じる突起を突かれて、内壁が彼の指をきゅっと締めつけた。
「あ、あんっ、ふぁ、ぁぁ……」
ぐりぐりと指先に力を加えながら中をかき回されて、アイオンは甘い声をあげた。
しかし背中に落ちて来た低い声に、次の瞬間凍りつく。
「この身体で、ルーファス様を誘ったんだな?」
「な……」
「こんな……男に犯されるのに慣れきった汚らわしい肉体で、あの方を誘惑したんだ」
「そんなことしてない!」
「黙れ!」
ウェイは後ろから指を引き抜くと、アイオンの白い尻を力いっぱい叩いた。
「ひぎゃあ!」
緩みかけた後ろの孔が、その刺激にきゅっと引き締まる。先程抓られた場所に加え、強烈な力で叩かれた場所が腫れあがり、赤い手形を残す。
ウェイの平手打ちは一度では終わらなかった。バシバシと何度も、少年の尻が白いところを失くして全面真っ赤に染まるまで叩き続ける。
「や、やぁ! 痛いぃいいい!」
一度腫れた場所にまたしても力を加えられることによって、痛みが何倍にもなって襲ってくる。ひりひりとして熱を持つ臀部は、そのうち指先で撫でられるだけでも少年に痛みを与えるようになった。
ぽろぽろと涙を零すアイオンの様子に構わず、ウェイは細い腰を掴んで、その足を広げさせる。
「お前みたいな下らない牝犬の尻穴に、ルーファス様の慈悲を頂こうなんてもったいない。お前のいやらしい身体は、俺が滅茶苦茶にしてやる……!」
そう言って彼は、アイオンの中に、これまでの加虐に興奮してすっかり勃ちあがったものを突き刺した。
「ひ、やぁああああ! いや、いやぁああ!」
一度は解されたとはいえ、先程激しく打たれたことによって括約筋は閉じている。それを無理矢理こじ開けるようにして、ウェイのものが中に侵入してきた。アイオンの身体にまったく考慮しないその行為は、肉の槍で少年を串刺しにするかのようだ。
「かはッ……!」
ずぷずぷと褐色肌の少年の欲望が、白い子どもの中へと埋まっていく。ウェイはアイオンの身体を、自分にとって具合が良くなるよう揺さぶって位置を整える。腰を乱暴に掴み、腫れあがった赤い尻に自分の身体をぶつけるようにして動き始めた。
「いぁあああああ! や、やめ、やぁああああ!」
パンパンと肉がぶつかる音がするたびにアイオンの口から高い悲鳴が零れる。尻の痛みとその奥の快感がごちゃまぜになり、アイオンはもう訳がわからなかった。
「は……! なんつぅ締めつけだよ……やっぱりお前、どうしようもない淫乱だ」
がつがつと自分のものをアイオンの中に打ちつけていたウェイが、侮蔑と恍惚の入り交じった声でアイオンを罵る。
「ち、ちがっ……! ああああ!」
涙目のアイオンは抵抗の言葉を紡ぎかけるが、それは最後まで辿りつけず悲鳴に変わる。背後でウェイが短く呻くと、腹の奥に熱い感触が広がった。
「はぁ……!」
ウェイが自身を引き抜くと、アイオンの後ろの孔からはとろとろと白い液体が零れ出した。
「う、ううっ」
「いいざまだぜ」
尻を腫らし、精液を垂らしながらうつ伏せになって泣くアイオンの姿にウェイが嗜虐的な笑みを浮かべたその瞬間、背後から馴染んだ声が飛んできた。
「私に黙って随分楽しそうなことをしているじゃないか、ウェイ」
自身も下半身を晒したまま恐る恐る振り返ったウェイの目に、底冷えのするような笑みを浮かべた主人の姿が映る。
「ルーファス、様」
茶髪の青年は冷ややかな色を湛えた瞳で、褐色肌の少年を笑いながら睨んだ。