荊の墓標 03

第1章 吸血の堕天使(3)

011

 敵は全部で十人。
 ロゼウスはカミラを背に庇いながら、相手の様子を窺う。一番手前のリーダー各の男が、カミラへと剣先を向けたままロゼウスに告げた。
「お引き取りください。ローゼンティアの姫君」
「何?」
「我等が用のあるのは、そちらの王妹殿下だけです。シェリダン王の妃陛下に傷をつけるわけにはまいりません」
「……つまり、お前たちは国王の味方というわけか」
 ロゼウスの背後に立つカミラは、心細いだろうに悲鳴を上げることも取り乱すこともなくよく堪えている。背中にそっと触れられて、その震えが伝わってきた。恐ろしくないわけはないだろう。だがここで自分を失うことは、彼女の矜持が許さないのだ。
 研ぎ澄ました刃のようだと思う。カミラも……そしてシェリダンも。それが人の命を奪う白刃の煌きだとしても思わず目を奪われるような輝き。
 そしてロゼウスが思ったとおりであるのなら、シェリダンは。
「退いてください、妃陛下。御身に危害を加えるつもりはありません」
「一つ、聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
「お前たちの行動は、シェリダンが命じたものではないな」
 仮面の男たちに一瞬だけ動揺が走る。
「何を、馬鹿な」
「妹の暗殺など、彼の意志ではない」
 ロゼウスは知っている。周りがどう思っているかは知らないが、シェリダンはカミラを手下に暗殺させるような人間ではない。それほど簡単に命を狙うような相手なら、ロゼウスに彼女が自分の妹だと告げた時のような、あんな反応はしない。
 カミラがシェリダンを疎ましく思っていることから考えても、兄妹仲は良いとは言えないだろう。けれど、それでも。
 それにシェリダンなら、本当に殺したい相手は刺客を放つよりも、自らの手に刃を携えて首を斬りに行くような性格だ。他国の王城に侵入して王を打つ最前線に自ら乗り込んでくるような奴だ。
 しかし目の前の男たちはその思惑こそ知らないが、とにかく自分たちこそシェリダンの味方であり、国のためにカミラを討つと言い張っている。
「……お逃げください。ロゼ様」
「カミラ」
「奴等の狙いはこの私。その理由もわかっています。これは、私とシェリダン、そしてこの国の問題です。ローゼンティアから無理矢理攫われてきたあなた様には関係ありません」
 ロゼウスの背中から一歩下がって、カミラがそう告げる。振り返れば、彼女は気丈に顔を上げて自らの命を狙う暗殺者たちの顔をその黄金の瞳で睨み付けていた。
「……そうですよ、王妃殿。あなたがわざわざ、陛下に歯向かうそんな小娘を庇って傷を負うことはないのです」
 ロゼウスはローゼンティアの者だし、エヴェルシードの内情など知らない。この国がどうなろうと、知ったこっちゃない。それを覚えるようになど、きっとシェリダンは強制しないだろう。ロゼウスは全てから目を瞑り耳を塞ぎ何も感じない人形のようにただ彼の庇護を受けて見返りに身体を差し出せば、それだけで、この国で安穏と暮らしていくことができる。
「さあ、妃陛下、こちらへ」
 先頭の男が一歩こちらへ歩み寄り、手を差し伸べる。薔薇園の整えられた芝生をざくざくと踏んで近付いてくる。
「ロゼ様」
 背後からは、諦めと希望の混ざったカミラの声。彼女はいくらなんでも自分がこの人数の成人男性に勝てるなどと思っていない。それでも、ロゼウスだけでも逃がそうとしている。自らの命が危ういこの状況で。たとえどれほどの権力を握っていても明日を保証されないのが王族の宿命だとしても。
 薔薇園に風が吹く。
 ロゼウスは心を決める。
「さあ、王妃様、こちらへ――」
 ロゼウスは、意識して女らしく、娼婦のように艶やかに微笑んで。
「断る」
 低い声で告げた。
「このっ……!!」
 仮面に隠れていてわからないが、気配からでも滲む怒気と殺気を漲らせて、男たちが動く。
「カミラ、離れて!」
「ロゼ様!?」
 ロゼウスはドレスのスカートの裾を力任せに破き、動きやすいようスリットを入れた。その間に眼前へ迫った男が長剣を振り上げる。
「なっ……!」
 いくらローゼンティアで剣の基本を他の兄妹たちと共に学んだロゼウスでも、十人相手に得物がないのでは無理だ。まずは最初の一人の剣を。
「手で……受け止め……」
 ヴァンピルを舐めてもらっては困る。隙を狙ったように見えてまんまとこちらの罠に引っ掛かり、ロゼウスに剣身を受けとめられた男が呆然と呟く。他の九人が追いつく前にロゼウスは自らの手のひらに刃が食い込むのも構わずに男の手から剣を奪い、その腹に蹴りを見舞った。
 吹っ飛んだ男が薔薇の茂みに突っ込む。ロゼウスは血の滴る自分の右手を口元に持っていき、流れている液体を舐め取った。錆びた鉄の味に反射的に意識が高揚する。痺れるような痛みこそあるが、思い切り刃を掴んだ割に指の一本も落ちなかった右手は、あっという間に傷が塞がっていく。
「ローゼンティアを侮るな」
 例えロゼウスが本当に女性で、年端も行かない子どもだったとしても、恐らく人間の男一人よりは強い。
 このアケロンティス中でも限られた栄誉、世界皇帝に選ばれし魔の眷属の一つ。それがローゼンティア――ヴァンピル。
「このっ……化物がっ!」
 残りの男たちが今まで以上の殺気をあらわにしてこちらへと向かってくる。それぞれの手には鋭利な得物。ロゼウスは最初の一人から奪った剣で迎え撃つ。
「この魔族風情が! 貴様なぞにエヴェルシードを好きにはさせぬ!!」
「シェリダン陛下がお気にいられているようだから、正妻を迎えるまでは生かしてやってもよいと思っていたものを!!」
 シェリダン自身にならともかく、なんであんたたちにそんなことを決められなきゃいけないんだよ。
 彼らの中では、ローゼンティアの姫君は正妃と言う名の妾らしい。向かってくる敵を次々に薙ぎ倒しながらロゼウスは思う。シェリダンとの取引だって確かに不本意だ。慰み者として生きたいわけではない。だが、エヴェルシードの王妃、それも正室に迎えると言ったのはそのシェリダン自身であって、ロゼウスではない。シェリダンがロゼウスを捨てようと、殺そうとしたのならロゼウスだってまだ諦めもつくが、何も知らない人間にそんなことを言われるのは不愉快だ。こんな眼中にもない奴等に。
 ロゼウスは力任せに剣を振るう。ローゼンティアの城にいた頃は毎日かかさずに稽古をしていたのに、エヴェルシードに連れてこられてからは一度も刃を握っていない。久々の感触に、意識よりも先に身体が順応する。
 平和主義でありながら、魔の血を持つゆえに戦いに長けるローゼンティア人。
 ロゼウスは二人目の剣を受け止めると見せかけて攻撃を受け流し、柄で顎を強烈に叩いた。昏倒した男の背から三人目が現れ、その剣を受けとめた次の瞬間には競り合っていた軸をずらし、くるりと素早い回転をかけた蹴りを鳩尾に見舞う。同時に突っ込んできた四人目を袈裟懸けにし、五人目の腹を突き刺すと、カミラを狙ってこちらには背を向けていた六人目の首筋に空いた手で手刀を叩き込んだ。七人目に一撃目をかわされ、二撃目で腹を裂く。八人目の攻撃を避け、隙を見せた後頭部に踵を落として迫り来る九人目に突きを放った。怯んで後退した相手をすかさず追って止めをさし、立ち尽くす最後の一人の腹部には強烈な膝蹴りを入れた。
 血塗れた剣を手に持ったまま、地面に一度屈みこんで体勢を立て直す。これで十人全員倒し終えたはず。
「ロゼ様……」
 カミラの声に振り返り、その無事を確認して思わず口元が綻ぶ。まだ息がある者もいるが殺してしまった刺客の死臭に満ち始めた薔薇園の地面は赤く、こんなものを見せてすまないという気持ちでロゼウスはカミラの元へと歩み寄る。
 その一瞬。
「!?」
 銀色の光の軌跡が走った。
 そういえば、襲撃者たちが一番初めに用いたのは、今のこれと同じく矢だった。なのに今倒した十人は誰も、弓もボーガンも持ってはいないよう。そしてこの矢が射られた方向は。
「――殿下、お覚悟を」
 カミラの背後の茂みから目にも留まらぬ速さで現れた十一人目の仮面の男が、無慈悲な刃を非力な少女の上へと落す。
「――っ!!」
 エヴェルシード王妹カミラの身体が、血に染まり血に倒れ付した。

 ◆◆◆◆◆

「――っ!!」
 声が出せなかった。
 気配や物音、何も感じなかった。それでも背中から斬られた感触はわかったし、一拍おいて傷口が焼け付くように熱を持ったのがわかった。カミラはなす術もなく地に倒れる。
 この痛みを言葉にすることもできない。喉の奥から溢れた塊を吐き出すとそれは濁った紅い血だった。
「カミラ!!」
 ロゼの悲鳴。そして剣戟の音。最後の刺客と戦っているのだろうと、どこか冷静に考える。傷口から昇った熱が頭を回ってすぐに下がり、今はただ手足の先が痺れて冷たく、深く深く切り裂かれた背が痛むばかりになる。痛いのは背中ばかりでなく、刺客の剣は彼女の内臓まで傷つけたらしく、背中からお腹の中までが熱にかき回されているように感じる。
「う……」
 一言呻くだけでも喉元に血の塊が込み上げて苦しくなる。顎の周りと傷の周りをしっとりと血で濡らす羽目になる。美しかった庭園はいまや花弁の色でない紅に染められ、カミラの身体の下敷きになった芝生がどす黒く変色していっている。
 硬質な金属の擦れ合う音が続いて、その他の十人を倒した時よりも時間をかけてロゼは最後の刺客を退ける。何か話しているようだけれど、内容まで聞き取れない。
 人間が死ぬ時は過去のことを思い出すというけれど、嘘だ。
 カミラは母の顔も父の顔も思い出せない。それよりも眩みかけた視界に浮かんだのは、在りし日のシェリダンの後姿だった。いくら追いかけても手を伸ばしても、決して届かないあの。
「……っ!!」
 何を、言おうとしたのだっけ。
 自分でもわからないまま、カミラの意識はそこで途絶えた。

 ◆◆◆◆◆

「カミラ!!」
 ロゼウスは叫びながら、彼女の身体が庭園の地面に倒れるのを見る。駆け寄ろうとするロゼウスを防ぐように、カミラの身体をまたいてこちらに駆けてきた十一人目の男が剣を向けてくる。
 ガキン、と金属の擦れ合う嫌な音がして、ロゼウスは刺客と剣を合わせた。男はこれまでの十人とは少々異なる風体をしていて、腰にはボーガンを下げている。得物も他の十人が普通の剣であったのに、この男だけはロゼウスが今まで見たこともないような奇妙な作りの剣を握っていた。ここでこの男を殺し、この剣を調べれば身元まで調べられるのではないかと思う。
 だが、今重要なのはそのことではない。刺客の身元はもちろん気になるが、それ以上にカミラの傷だ。ロゼウスがここから見た限りでも、あれは。
 致命傷。
「お前らは一体何者だ!! どうしてエヴェルシード王の妹の命を狙う!?」
 ロゼウスの問いにも男は動揺の一欠けらすら見せず、空気一つ変えなかった。
「ああ、答えるはずもないか! しょせん貴様は若い娘を背後から狙うような卑怯者だものな! 恥ずかしくて顔など晒せないのだろう!! それとも元から矜持など持ち合わせていない下郎か!!」
 ロゼウスの安っぽい挑発に少しは気分を害したようで、男が僅かに顔をしかめるのが気配でわかった。
「命を奪うことに変わりはないだろう。それを騎士道だなんだと綺麗事で飾りたがるのはお前たちの勝手な言い分だ」
 ロゼウスは相手の懐を狙って剣を打ち込み、男はそれをかわしてロゼウスの利き腕に狙いを定めて刃を振るう。その刃を受けとめて力任せに鍔迫り合いを押し返し、さらにロゼウスは怒鳴る。
「自らを恥じよ! 下賎の輩が!! 非力な少女を暴力でねじ伏せてまでシェリダン王に取り入り権勢を握りたいか!?」
「――この国の王権の話など、私は興味ない。この者たちが何を企もうと私には関係ない」
 関係ない? この男とそれまでの十人の刺客は別の団体なのか。だとしたら、この目の前の男は何者か。何故カミラを狙ったのか。
 仮面で狭まった視界の死角を狙ってロゼウスは飛び込み、男に一筋の斬撃を浴びせる。浅い。だが相手は怯んだようで、素早く剣を引くと後方へ飛び退った。
「待て!」
 ロゼウスは一応叫ぶが、もちろん相手が待つはずもない。それよりもさっさとこの場を離れて二度と現れないでいてくれれば今はそれでいい。だが刺客は最後に気になる一言を放った。
「聞いた以上に見事な腕だな。惜しいことを。それほどの腕を持ちながら、人間如きに下るなど」
「余計なお世話だ」
「また会おう、ローゼンティアの姫君ロゼ……いや、第四王子のロゼウス」
 何故、その名を――。
 ロゼウスの驚愕を見て取って男は一瞬だけ口元を笑みの形に歪め、後には残像すら残さずその場から姿を消した。十人の刺客はそのまま転がっているが、血の匂いが流れて誰かが気づいたらしく、人々のざわめく声が大きくなる。規則正しい足音の甲冑の兵士たちがやってきて、血で凄惨に染め上げられた底面を目にして度肝を抜く。
「王妃様! ……カミラ様!?」
 ロゼウスは咄嗟にカミラの傷を隠すように自分の腕で彼女の身体を抱きしめ、振り返ってやってきた兵士に顔だけを向ける。ロゼウス自身も戦いの間に服や肌を斬られ、何より返り血で汚れて酷い有様だった。
「王妃様! この惨状は」
「見てわかるだろう。この男たちに突然襲われたので応戦した」
 辺りには先程俺が伸した男たちが転がっている。宮殿警備の隊長らしき人物が続いてロゼウスに声をかけてくる。
「お二人はお怪我を?」
「これは返り血だ。カミラは……」
 ロゼウスは腕の中に収めた、美しい少女の死体を一瞥し。
「――賊の襲撃に驚いて、気を失っているだけ」
「そうですか。それではお二人をお送り」
「必要ない」
 鼻白む隊長の言葉に首を振り、ロゼウスはカミラの身体を抱きかかえる。
「ローゼンティア人はヴァンピル。身体能力は普通の人間より上。彼女を連れてこのまま戻ります。それよりも、ここを片付けて」
「……かしこまりました」
 女の振りをしながら軽々と力を失った少女一人を抱きかかえたロゼウスの腕力と、ヴァンピルという言葉を思い出したのか、警備隊長は呆気に取られた様子で引き下がる。後には怒鳴り声が聞こえ、彼らは刺客の残党狩りにせいを出すらしい。
ロゼウスはカミラの体を抱え、建物の中に戻ると見せかけて人が入り込んでいない庭園の片隅へと移動した。
 早く、早くと気が急く。抜け殻となったカミラの身体を地面に降ろし、その傍らに膝を突く。
 カミラ。……カミラっ!
 兄との絆しか知らない自分が、この世で始めて、自分から愛した少女。
 鼓動も呼吸も止まり、流す血も無くなるほどの傷を負った彼女は、間違いなく死んでいる。
 けれど、ロゼウスはどうあってもこの少女を死なせたくはない。だから。
「――古のヴァンピルの血よ、ロゼウス=ローゼンティアの言葉に従い、目を覚ませ」
 ざわりと身体の中で力が蠢く感触を感じながら、ロゼウスは自分の腕の皮膚を噛み切る。乾ききらない、流れたばかりの新鮮な血を口に含み、そうして。
「この者に、新たな命を――」
 横たわる少女の亡骸に、そっと口づけた――。

 ◆◆◆◆◆

 感じたのは、唇に落ちる柔らかな感触。染みとおった鉄錆の、血の味。
 そして、その腐臭をかき消すかのような薔薇の香り。不思議なことにその香りは流し込まれた血から香ってくるようだった。
 目覚めて一番に見たものは、この世の何よりも美しい花のかんばせ。
「ロゼ……様……」
 やたらと苦しく、どこもかしこも貼り付いた喉でその名を呼ぶ。口の中に錆びた味が広がって、カミラはようやく自分の舌を貼り付けていたのが血だと知る。
 そうよ、私は、だって。
 あの男に斬られて――死んで。
 なのに何故こうして生きているのか。まさか今までのは全部夢? 自分は昼間から寝ぼけていたというの? 慌てて身を起こしかけて、彼女ははたと気づく。
 ドレスが濡れていた。紅い液体に染められたかのように。さらに今カミラがいる場所は、先程まで居座っていた薔薇園の四阿ではなかった。同じ庭園の別の一角。
 そして目の前のロゼも、ずいぶん荒れた服装をしている。自分は彼女に助けられて……
「ロゼ様……」
 そうしてカミラの身体を支える人に何事か尋ねようとして、彼女はついそれを見てしまう。見てしまった。
斬られた服の隙間から見える彼女の肌は、引き締まった筋肉と、平らな胸。肌は確かに白くて美しいけれど、女性のものではない。
「あなた……男の人?」
 言われてロゼは初めて自分の様子に気づいたようだった。切り裂かれた胸元を見て顔をしかめている。
 その顔を見て、何故女装しているのだとか、ローゼンティアの王女でなかったらあなたは誰なのか、とか、カミラの中でロゼに対する一切の疑問が吹き飛ぶ。
 代わりに口をついて出たのは。
「……お慕いしています」
「え?」
「カミラは、あなたをお慕いしています」
 そう、ずっと好きだった。愛していた。同性に恋をするなんて変だと、それを認めたくなくて単なる友情のように誤魔化していたけど。
 私は、この人が好き。
 男だと知ってようやく全てがしっくりきた。それでも残る疑問は、またの機会に聞けばいい。それよりも。
「あなた様が……私を生き返らせたのですね」
 そう、自分は確かに死んだはずだ。それなのに今、生きてここにいる。
 覚えているのは、今も彼女の体を支えるこの人の、ロゼ様と呼んでいた少年の優しい口づけ。
「あなたは、誰?」
 身分や戸籍ではなく、あなたの存在そのものが不思議。
「俺は」
彼は目を伏せる。それから意を決したようにカミラの眼を見て。
「俺はロゼウス……ヴァンピル王国ローゼンティアの、第四王子ロゼウス」
 
 ローゼンティア。それは世界皇帝より一つの国を作ることを認められた、古の魔物ヴァンピル――吸血鬼の住まう国。