荊の墓標 06

032

「ローゼンティアの王族の一部に逃げられた、と?」
 客室の一つで、シェリダンはハデスから報告を受けていた。先日の下町の件での礼を遅ればせながら伝えなければと気づいたのだが、意外にも入ってきたのは新しい情報だ。《預言者》として名高い皇帝の弟は、ローラをまるで自分の妾のように膝の上に抱きながら言った。
「そ。一部は捕らえたみたいだけど、大部分には逃げられたようだよ。さすが人間の何倍もの身体能力を持つ吸血鬼だけあって、速さでは敵わないね」
「なるほど」
 ロゼウスから聞き出したところと、部下からの報告を総合して考えれば、ローゼンティアの王族で生き残った者はロゼウスを含めて十三人。まだ若く生命力に溢れた王の子どもたちだけだった。そのうちの十一人がまだローゼンティア国内に残っていたはずで、詳しく何人を捕らえたかはまだ伝わっていない。しかし、一人でも捕まえれば残りの者たちの状況をも聞きだせるだろう。
「話はそれだけだよ、シェリダン」
「ああ……ところで、そろそろ彼女を放していただきたいのだが」
 部屋の片隅に控えたリチャードが今にも死にそうな顔色をしている。エヴェルシード国内で間違いなく一番の愛妻家である男は妻の身体に他の男が触れているということが耐えられないらしい。こちらが見ていて気の毒になるほど動揺していた。
 そんなリチャードの気を知ってか知らずか……この男の性格から考慮するに前者であろう。ハデスは膝の上に跨がせたローラの肩を抱き、頬に唇を寄せ、髪を撫でている。変幻自在の外見を持つ少年は今は十五、六のローラに似合いの姿をしていて、なおさらタチが悪い。
「えー、もう少しいいじゃん。皇帝領では姉上様のご機嫌ばっかりとって暮らさなきゃいけないからこの歳になって女遊びの一つもできやしない。たまには羽目はずしたっていいじゃんよー」
「羽目をはずすのは構わないが、できれば余所の国でやっていただきたい」
 シェリダンの言葉にハデスはしぶしぶとローラを放した。普段はリチャードの顔も見たくないような素振りを見せているローラが、珍しく夫の下へと駆け寄る。その背に隠れるようにして、ハデスを睨む。
 疎まれていると知りながらにこにこと笑顔で手を振って見せたハデスが、急に改まった顔つきで話し出す。
「ああ。そうそう。そう言えば今日は君の奥方は?」
「ロゼウスなら寝室だ」
「そう。それは仲がおよろしくて結構なことで。今の話、伝えるの? 伝えないの?」
「ローゼンティアの王族に関して、か」
 伝えた方が良いのか。
 伝えない方が良いのか。
「詳しい話は、捕らえた王族についての情報が入ってからになる」
 ローゼンティアから離反したヴァンピルの貴族と組ませて残党狩りに出したのは、確か王権派でも反王権派でもない中立の女公爵、エルジェーベト=バートリ。本人の態度こそ有能とは思いがたいが、その実力は国内でも随一のものだ。ただ、性格には難があるので御しにくい。
「ふうん……まあ、いいや。好きにしなよ。僕はもうすぐ皇帝領にいったん帰還して姉さんに報告に上がるけど」
「皇帝陛下によろしくお願いいたします」
「うん、わかった。伝えとく~」
 普段から何を考えているのかわからない男、《冥府の王》は自らに与えられた部屋へと戻った。その背を見送ってシェリダンは、深く溜め息をつく。
「陛下」
「相変わらず、何を考えているのか全くわからない方だ」
 彼には聞きたい事があった。何故、この城からロゼウスを連れ出すような真似をしたのか。その際に、ロゼウスとどんな言葉を交わし、取引したのか。結果的にはそのおかげでシェリダンもエチエンヌやクルスも助かったわけだが、どうも腑に落ちない点もある。こちらが何か問いただしても「預言者に不可能はない」などともっともらしいことを言って、いつものらりくらりとかわされているのだが。
「今回の事は、一体どういう風の吹き回しだろうな」
 シェリダンが尋ねる前にローラとリチャードもそれを問いただしたというが、彼の思惑がはっきりとわかるような答えではなかったという。
 シェリダンはあの手の人間が一番苦手だ。真面目で融通の利かないバイロンのようなタイプや、餌を与えればすぐに媚び諂って擦り寄ってくるような輩の方が扱いやすい。同じ手駒であっても何を考えているのか微妙につかめないジュダより、年若く感情の激しいクルスの方が御しやすいように。自ら道化の仮面を被るものは、仮面の笑みで人々を誤魔化す内側で何を企んでいるかわかったものではない。
「シェリダン様、お部屋にお戻りになりますか?」
「ああ」
 片付けはローラたちに任せて、シェリダンは客間を後にする。ロゼウスの妹でありローゼンティアの王女であるロザリーの調教を任せたエチエンヌは珍しくも梃子摺っているようで、今日はまだ朝から顔を出さない。
 シェリダンは寝室へと戻った。中にはロゼウスが一人ぽつんと寝台に座っている。本日は目の醒めるような青いドレスで、瞳の深紅と相反する色ではあるがそれもまた普段と違った趣があって良い。だが、そのドレスを着ている肝心の本人がまだ夢の中にでもいるようにぼんやりとしている。朝目覚めた時に二、三わけのわからないことを呟いていたのだが、その後から午後を迎えた今になっても、変わる様子はないようだ。
 昨夜と言えば、ロゼウスの長兄への歪んだ思慕を聞き出して怒り、ついつい手ひどく当った……という自覚があるシェリダンにとっては、そのように普段と違う態度をとられると戸惑う。怒っているのか、あれは。それとも何か企んでいるのか?
 やはり感情の読みにくい相手は苦手だ。ロゼウスは普段がわかりやすいだけに、こんな時はとくにそう思う。
 いや、しかし今のこの状態こそが、本当の彼なのだろうとも思う。一見はまともな王子に見えるロゼウスも、その本音を暴いていけば、シェリダンに勝るとも劣らず……過激で狂的だ。世界の破滅を望むシェリダンとは方向性が違うだけで、彼の内面は酷く歪んでいる。そのくせ魂は獣のように純粋で本能に忠実だ。実の兄に恋するなど通常やありえない想いを当然のように受けとめている姿には、一種異様なものさえ感じる。
 それでも、その危うい美しさにシェリダンは魅了されてならない。
「ロゼウス」
 シェリダンは寝台に腰掛け、その名を呼んだ。周囲に余人のいないこの瞬間にしか呼べない名前。薄青い衣装に隠した本当の彼。
 いつもは呼ばれるたびに今度は何を企んでいるんだと言わんばかりに警戒心を露にするロゼウスが、今日ばかりは名を呼ばれるとすぐに寄ってきた。シェリダンの腕に抱きついて、膝に擦り寄る。懐きやすい猫のように、シェリダンにひっついて離れない。
「……お前、何があった?」
「別に何も」
 さらっと返された答えはそれ故に疑惑の霧を孕む。
「なあ、シェリダン」
「なんだ?」
「あんたはさ、俺を死出の道連れにしたいんだよな」
「……ああ、それがどうした」
 自分は破滅の道を行く。親兄妹を殺し身内さえも傷つけ纏い付く者を服従させ、死体の山を築きながら血で描かれた道を行く。
「だったら、俺はあんたが死ぬ時に一緒に死ぬはずだよな」
「お前がそれを了承すると言うのならな」
 ロゼウスは二、三度その長い睫毛で瞬いて。
「……うん、誓う。誓うよ。でも……」
 何事か気がかりでもあるようにきつく目を閉じる。シェリダンの膝にしなだれかかり上半身を預けた少年の身は軽く、その肌は冷たい。
 ふと、ロゼウスが身を起こした。
 感情の読めない瞳でシェリダンの顔を覗き込んでいたかと思えば、次の瞬間シェリダンの視線は天井にあった。彼に押し倒されたのだと気づくまでに、情けない話だが数秒を要した。
「ロゼウス?」
「……いかないよな」
 上から覗き込み、窓から差し込む斜めの陽光で顔に影を落としながら、行かないよな、と。まるでそれは「逝かないよな」とでも問うているように聞こえた。
「あんたは、俺を置いていったりしないよな」
 お前を裏切ったという兄のように? どの口でそれを言うのか、シェリダンを裏切ったのはお前だろう。
「ずっと一緒にいてよシェリダン。独りは寂しいから。死ぬ時も側にいてよ」
 この世で最も悪意なき微笑み。
「――っ」
 その血のように濃く美しい深紅の瞳に、瞬間、シェリダンは総毛立つのを感じる。
「……ああ」
「本当? 約束してくれる?」
 差し出された小指に、自らの小指を絡める。ロゼウスの表情は無邪気で、何の悪意もない。
 それでも何故か、彼のそんな顔は今までシェリダンが見たどんなものよりもシェリダンを恐怖させた。先日の下町、『炎の鳥と赤い花亭』で鬼の形相で血濡れて立ったロザリーよりもなお一層、シェリダンはロゼウスに恐れを感じる。
「約束する」
 今更恐れたところで何になる。シェリダンもお前も、共に地獄へと堕ちるしかないのだから。
「約束する。置いてはいかない」
「うん」
 薔薇の下の虜囚。秘密の囚人。
 だが、本当に囚われたのは私の方かもしれない。
 仰向けになったシェリダンの胸にぽすんと顔を落とし、ロゼウスが満足げな笑みを浮かべて頷く。
 それはとても幸せそうで、けれどどこか切なかった。

 ◆◆◆◆◆

「いいのかい、あれ」 
 ハデスは闇の中の人に話しかけた。見惚れるほど美しい美貌の青年は長い足を組んで、ゆったりとした姿勢で椅子に座っている。
「弟君、シェリダンにとられちゃうよ?」
 秘密の隠れ家にて、ハデスは秘め事の共犯者と逢瀬を重ねる。暗い部屋の中に白い肌と白い髪が映えて、まるで幽鬼のように美しい。
 その血のように紅い瞳。
「ねぇ、いいの? ―――ドラクル王子」
 外見年齢は二十歳にも満たない。しかし不思議に大人びた空気を漂わせる青年が、しなだれかかるハデスの体を受け止めながら答える。
「大丈夫ですよ、ハデス卿」
 余裕ある笑みで、彼は答える。
「例え寂しさゆえに他者に甘える事はあろうとも、ロゼウスは必ず私の元に戻ってきます……必ず、ね」
 艶やかな朱唇を綻ばせるその笑顔は、彼の弟とよく似ている。けれど、その弟王子よりも数段禍々しい。
「ロゼウスが私から離れて生きていけるわけないですから」
「余裕だねぇ」
 まだ二十七年しか生きていないはずの王子。その確信に満ちた目を見ると、むらむらと嗜虐心が芽生えた。
「君が義理の父上からどんなに酷いことされても、忘れられないように?」
 笑みながら告げれば、思わぬ反撃に出会う。
「そしてあなたがどんなに姉上に弄ばれても、皇帝陛下から離れられないようにね、皇帝の玩具殿」
「…………っ!」
「お気づきでなかったのですか? ご自身に関する噂を」
「……お前」
「御気分を害したのなら失礼いたしました」
 言葉の上では慇懃を装いながら、ドラクルの口元は愉悦に歪んでいる。
「いい度胸だね……この僕を怒らせようなんて」
「その言葉、そのままそっくりあなたにお返ししますよ。閣下」
 ドラクルの長い指がハデスの輪郭を辿る。場面に応じて使い分けているハデスの現在の姿は、十五、六歳ほどの少年のもの。
 まさしく、彼に呼ばれた皇帝の玩具となっているときの姿だ。
 ハデスの姉は、十八の時に世界皇帝へと選ばれ、その成長を止めた。ただ、平民出であった彼女は皇帝領に代々集い皇帝に忠誠を誓う貴族たちとの関わりが薄く、誰の手も借りられない時期が長く続いた。そのため姉は一計を講じ、自らの最も近い肉親を皇族として迎えることを目論んだ。すなわち、父母に不老不死を与えることを条件に弟であるハデスを作らせたのだ。そしてハデスが生まれた途端、両親を殺した。
 ハデスは最初から彼女のためだけに生まれてきた。あの人に傅き謙り側近く侍る。そのためだけに。
 目的あって与えられた生。姉がいなければハデスは生まれてくることはなかった。だからハデスは姉の言う事にはなんでも従わなければならない。
「ねえ、ドラクル王子。あなたはシェリダン王がロゼウス王子に触れる事は嫌ではないの?」
「嫌?」
 《冥府の王》としてのハデスの力は地上においても発揮される。ハデスはシェリダンが夜毎に彼の弟と何をしているか知っている。
「あなたが知りたいなら、何ならその光景を見せてあげるけど?」
 要は覗き見だ。いい趣味とは言えないが、他人の弱味を掴むにはもってこいの能力だ。
 だが弟を使って吸血鬼王国の王太子を揺さぶろうとするハデスの思惑はことごとく失敗に終る。
「閣下。私は万人に認められる悪趣味でして」
「うん、それは知ってるけど?」
「もしも私の愛しい弟が、私好みの美しい少年と睦みあっているところなど見たら至福のあまり仕事になりませんが」
 一瞬、こちらをかわすための冗談かと思ったが目がどうやら本気のようだ。
「悪趣味」
「だからそう言っているでしょうが」
「んもう」
 この王子に対するのは疲れる。無駄な駆け引きは諦めて、ハデスはその膝に手を置いた。
「ところで、悪趣味の殿下、せっかく此処まで来てあげたんだし、ちょっと僕とも遊んでくれない? 君の弟とその旦那の熱愛ぶりを間近で見てる上に女遊びも姉上から止められてて、正直たまってるんだよね」
 唇を啄ばみながら告げると、低い笑いとともに腰に手が伸びてきた。
「いいですよ。それではたっぷりと、あなたが望むのなら何でも楽しませてあげましょう。ああ、もちろん」
 着衣を乱しながら囁く。ハデスは彼の胸元に顔を埋める。
「あなたの皇位に関するお話もしないと、ね」

 ◆◆◆◆◆

「それでは、これで建物の修理は終りましたので」
「ああ。……いや、感謝いたします、閣下」
「そんなにかしこまらないで下さい。私はただシェリダン陛下の命に従ったまでですから」
 こんな下町の酒場には似合わない、お上品な服装の少年が言った。この王都の隣の土地を治めているクルス=ユージーン侯爵。まだ若干十六歳の侯爵だが、その剣の腕は国内でも随一と有名だ。
 表向きは反王権派を名乗っていたが、今回のシェリダン王の即位に際してはっきりと王権派の名乗りを上げた「反逆の侯爵」とも呼ばれている。新王への心酔ぶりはよほどのようで、先日お忍びで現れた国王の警護を自ら勤めるほどだ。務まっちゃいなかったが。
 フリッツは店を閉じている間、ずっと考えていた。姉のこと、両親のこと、甥のこと、そして。
 ロー。道端で拾った少女がまさか、ヴァンピルであったなんて。
 それだけではなく、あの時の様子をよくよく思い返して見れば、ローにそっくりな後から駆けつけてきた少女がローを庇うようにしていた。しかもその少女は王と関わりがあるようだった。
 エヴェルシードの新王シェリダンは、ヴァンピルの少女を妻に娶ったのだという。侵略した隣国の姫を。あまりにもローと似ていたあの少女。彼女がその妻だというのならば、彼女に売り二つのローは。
『私はロザリー=ローゼンティア』
 あの時、そう言った彼女は。
『暴虐の王よ! 死して我が父我が民の痛みを思い知れ!!』
 見えないと言っていた目を塞ぐ眼帯をもぎ取り、憎悪の視線で持ってフリッツの甥である少年を、この国の王を射抜いた少女は。
「ロー」 
 開店までにはまだ時間がある。破壊された建物の修復を終えたユージーン侯爵が帰った後、フリッツはグラスを磨いていた。硝子のグラスの水滴を拭き取りながら、目が見えないためあまり動く仕事はしたくないと、カウンターの中で一心に食器を拭っていた彼女のことをまた思い出してしまう。嘆息。
「フリッツ」
 開店にはまだ早く、あんなことの後だからすぐには客も入るとは思っていなかったのに、呼び鈴がなって扉が開いた。こちらの顔を見て声をあげた相手の顔は、申し訳なさそうに眉が下がっている。
「バイロン! ……いや、今は宰相殿か」
「バイロンで構わない。お前に届け物があって来た」
「俺に?」
 一国の宰相が何ゆえ郵便配達などするものか。いくら平民の出だとはいえ、この男にそんなことをさせることができるのはこの国には一人しかいない。
 フリッツはカウンターの端の棚にしまった、ヴァージニアの日記を意識する。あの凄まじい大破壊の最中ずっと抱えていたおかげで、傷一つまだついていない。
 案の定、二通の手紙の差出人のうち一人は甥と言うにはあまりにも高貴なお方の名前であった。そしてもう一つは。
 フリッツは目頭を押さえて机に付す。バイロンが痛ましいものでも見るような顔でフリッツを見下している。
「……から」
「フリッツ」
「これだから、俺はエヴェルシードの王族なんか嫌いなんだ」
 それが例え実の甥であっても。

 フリッツ=トラン=ヴラド様。
 マスター、先日は大変なご迷惑をあなたにまでおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。ごめんなさい。私は怒ると周りが見えなくなる性質なので、どこかお怪我などなさっていませんでしょうか? お元気であることをお祈りしています。……今、私は訳あって兄妹と共にエヴェルシードの王城にいます。マスターと王が血縁だなんて、夢にも思いませんでした。私のせいで、マスターの肩身が狭くなることだけはないように、シェリダン王とはこちらで話もしています。
今まで、あなたには言っていないことも多くありました。目が見えないなどと嘘もつきました。それでも、みすぼらしい乞食のようだった私を拾い上げて世話してくださったあなたへの感謝は本物です。あなたにどうか神様と皇帝陛下のご加護がありますように。私はもうただ、祈ることしかできませんけれど。
 今まで、短い間でしたが本当にお世話になりました。手紙など書きなれていないもので、乱筆乱文失礼します。
 ロー。こと、ヴァンピル王国ローゼンティア第四王女、ロザリー=テトリア=ローゼンティア。

 涙が出てくるんだ。
「ロー」
 彼女は帰ってこない。この国の新しい王が連れて行ってしまった。手紙の感じではそう酷い扱いを受けているわけでもなさそうだが、事実上人質には代わらないだろう。侵略した国の姫君を生かしておくなど、それ以外にない。
 彼女はもう戻らない。フリッツの店の可愛い店員ローには。長い白髪を揺らして目隠ししたまま危なげもなくグラスを運ぶこの店の給仕には、戻らない。
「だから、王なんて嫌いだ」
 フリッツはあの甥っ子と、一生和解などはできないだろう……。

 《続く》