さぶろうくにむね
概要
刀工の略伝
備前三郎国宗は、鎌倉時代中期の貞永頃を中心に活躍した刀工。
福岡一文字の分派の一つである、直宗派の備前国真の三男だと言われる。
相模国は鎌倉時代まで名工の形跡がなかった。
執権北条氏の時代になってから、北条時頼が京の粟田口国綱、備前の三郎国宗、同じく備前の一文字助真などを鎌倉に招いた。
それによりこの三人が相州鍛治(鎌倉鍛治)の祖となったと言われている。
粟田口国綱、備前三郎国宗、一文字助真は国元の伝法を守った作風だが、粟田口国綱の子で備前三郎国宗の弟子となった新藤五国光が相州伝を始め、その弟子行光、更に行光の子正宗の代に至って相州伝は完成していったとされる。
備前三郎国宗には古剣書にこのような伝承もあるという。
一説には、国宗が鎌倉幕府に召された時は18~20歳の前途有望な青年鍛治であった。
新藤五国光の師となり、鎌倉で名を挙げて、故郷の備前長船に帰ったのは暦仁元年(1238年)、58歳の時だった。
その後、弘長元年(1261年)には、幕府の執権・北条時頼の命に依り、82歳の高齢で再び出府して鍛刀した。
しかし82歳の高齢で鍛刀するのは現実的ではなく、鎌倉への下向は確かだとしても駐槌期間に関しては古来諸説あるところらしい。
新藤五国光との師弟関係なども、近年の研究では再検討されている。
直宗派の作品で現存するものは少ないが、この備前三郎国宗に関しては相当数の作品が残っているという。
代表作としては日光東照宮の国宝、照国神社の国宝などが有名。
照国神社の国宝太刀は戦後に一時期行方不明となったが、アメリカの愛刀家コンプトン博士が発見し日本に返還してくれたという話である。
相州鍛治(鎌倉鍛治)の祖の一人、備前三郎国宗とは
相模国を含む関東地方には、鎌倉時代以前には名工の存在した形跡がないと言う。
源頼朝が鎌倉幕府を開き、執権北条氏の時代になってからようやく北条時頼が京の粟田口国綱、備前の三郎国宗、同じく備前の一文字助真などを招き、この三人が相州鍛治(鎌倉鍛治)の祖となったと言われている。
粟田口国綱、備前三郎国宗、一文字助真の三人は国元の伝法を守ったと言われ、備前三郎国宗も備前伝であり相州伝ではない。
相州伝の始まりは新藤五国光といわれる。
新藤五国光は古剣書の伝によれば、粟田口国綱の子で備前三郎国宗の弟子だという。
その新藤五国光の弟子が行光であり、行光の子が日本一の名工と名高い正宗であり、正宗・貞宗の時代に相州伝が完成したという。
事実であれば備前三郎国宗は相州伝の創始に深く関わると言えるが、作柄に明らかな断層があることから、備前三郎国宗と新藤五国光との間に師弟関係などはないとも考えられている。
『日本刀の研究 後編』(データ送信)
著者:倉田七郎 発行年:1937年(昭和12) 出版者:偕行社
目次:第一章 古刀鑑定法 第六節 相州傳
ページ数:339、340 コマ数:40、41
https://dl.ndl.go.jp/pid/1116097/1/40
『日本刀随感 古刀編』(データ送信)
著者:片岡銀作 発行年:1982年(昭和58) 出版者:片岡銀作
目次:相模国
ページ数:50、51 コマ数:41
https://dl.ndl.go.jp/pid/12866768/1/41
「刀剣と歴史 (606)」(雑誌・データ送信)
発行年:1995年7月(平成7) 出版者:日本刀剣保存会
目次:鎌倉鍛冶・新考 / 近江紀夫
ページ数:6~16 コマ数:8~13
https://dl.ndl.go.jp/pid/7901300/1/8
『日本刀の歴史 古刀編』(紙本)
著者:常石英明 発行年:2016年(平成28) 出版者:金園社
目次:第2部 全国刀工の系統と特徴 相模国(神奈川県) 備前三郎国宗一派
ページ数:203、204
北条時頼の命で老年に下向したという伝承
一説には、国宗が鎌倉幕府に召された時は18~20歳の前途有望な青年鍛治であったという。
新藤五国光の師となり、鎌倉で名を挙げて、故郷の備前長船に帰ったのは暦仁元年(1238年)、58歳の時だった。
その後、弘長元年(1261年)には、幕府の執権・北条時頼の命に依り、82歳の高齢で再び出府して鍛刀した。
しかし82歳の高齢で鍛刀するのは現実的ではなく、鎌倉への下向は確かだとしても駐槌期間に関しては古来諸説あるところだという。
『日本刀大観 下巻』
著者:本阿弥光遜 発行年:1942年(昭和17) 出版者:日本刀研究会
目次:第一 古刀の部 国綱系 助真系 国宗系
ページ数:428~430 コマ数:89、90
https://dl.ndl.go.jp/pid/1125212/1/89
『日本刀の鑑定と鑑賞 (実用百科選書) 』(データ送信)
著者:常石英明 発行年:1967年(昭和42) 出版者:金園社
目次:関東地方 一、相模国(神奈川県)
ページ数:118~121 コマ数:88、89
https://dl.ndl.go.jp/pid/2512358/1/89
出自
直宗派
福岡一文字の分派の一つである直宗派の備前国真の三男だと言われる。
直宗派とは、福岡一文字直宗の子国真が、のち福岡の地を離れて、山一つ離れた和気庄で鍛刀したことに始まる伝系。
福岡一文字の分派であり、備前長船の正系である光忠系列とは別の派となる。
ただし備前三郎国宗は、二代目か三代目のものとみられる作品に「備前国長船住 正和」と銘を切った作品が存在するため、備前の福岡あるいは和気で生まれ育った後、同国の長船に移住したと考えられている。
『日本刀の歴史 古刀編』(紙本)
著者:常石英明 発行年:2016年(平成28) 出版者:金園社
目次:第2部 全国刀工の系統と特徴 備前国(岡山県) 直宗派
ページ数:329、330
『名刀の見どころ極めどころ』(データ送信)
著者:本間順治 発行年:1979年(昭和54) 出版者: 刀剣春秋新聞社
目次:第二十一講“別系刀工群” 1“直宗派”
ページ数:178、179 コマ数:108
https://dl.ndl.go.jp/pid/12871343/1/108
「刀剣と歴史 (609)」(雑誌・データ送信)
発行年:1996年1月(平成8) 出版者:日本刀剣保存会
目次:鎌倉鍛冶・新考(3) / 近江紀夫
ページ数:36 コマ数:23
https://dl.ndl.go.jp/pid/7901303/1/23
活躍年代
鎌倉時代の貞永頃(1232~1233年)を中心に活躍したといわれている。
鎌倉時代中期の刀工。
相州伝としては前期(正宗以前)の刀工。
『日本刀大観 下巻』
著者:本阿弥光遜 発行年:1942年(昭和17) 出版者:日本刀研究会
目次:第一 古刀の部 国綱系 助真系 国宗系
ページ数:428 コマ数:89
https://dl.ndl.go.jp/pid/1125212/1/89
銘
「国宗」と二字銘
作柄
備前三郎国宗の作柄はいわゆる鎌倉中期の太刀姿だが、助真のような豪壮さは見られない代わりに、反りの深い品格のある姿。
常に本国の備前伝を守り、刃文も備前伝の丁子乱を焼き、丁子映りも現れている。
明らかに相州打ちと見られる作品には、後世の相州伝の基本を成す焼入れ法で、物打ち付近に飛焼風のところも現れ、助真同様に小沸がつく。
(備前長船鍛治の丁子乱には沸が付かない)
国宗の特徴は、刃中の地肌の強い箇所にからんで刃染みの出るものが多い。
『日本刀の歴史 古刀編』(紙本)
著者:常石英明 発行年:2016年(平成28) 出版者:金園社
目次:第2部 全国刀工の系統と特徴 相模国(神奈川県) 備前三郎国宗一派
ページ数:203、204
『日本刀大観 下巻』
著者:本阿弥光遜 発行年:1942年(昭和17) 出版者:日本刀研究会
目次:第一 古刀の部 国綱系 助真系 国宗系
ページ数:437、438 コマ数:93、94
https://dl.ndl.go.jp/pid/1125212/1/93
刃染みに関しての解説は下記の本がわかりやすいと思われる。
『日本刀講座 第9巻 新版』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者: 雄山閣出版
目次:備前三郎国宗一派 概説および系図
ページ数:204、205 コマ数:175
https://dl.ndl.go.jp/pid/2475552/1/175
水心子正秀が備前三郎国宗流の焼刃に言及している
新々刀の祖である水心子正秀が備前三郎国宗への言及を著書に残している。
『水心子正秀全集 (刀剣叢書 ; 第1編) 』
著者:川口陟 編 発行年:1926年(大正15) 出版者:南人社
目次:劍工秘傳志 三卷 備前三郎国宗流焼刃の事
ページ数:213、214 コマ数:115、116
https://dl.ndl.go.jp/pid/1020678/1/115
代表作
※普段はできるだけ多めに代表作を載せたいと思っていますが国宗は重文指定の現存作も伝承の刀も比較的多いようなので今は国宝中心に一部だけ載せています。
日光東照宮の「太刀 銘 国宗」(1952年(昭和27)3月29日、国宝指定)
徳川家康遺愛の刀。
池田輝政から徳川家康に献じられた。
家康の死後、日光東照宮に奉納されている。
文化9年(1812)、日光東照宮の宝物庫が火災で焼けた時も、日光助実や備前勝光・宗光合作の脇指など他の宝刀と共に運び出されて無事だった。
付属の糸巻太刀拵は、総金具が赤銅魚子地金小縁で、五三桐紋を金色絵にし、鞘は金梨子地に同じく五三桐紋を金具蒔絵にした豪華なもの。
『日本刀大百科事典』などでは「日光国宗」とも呼ばれている。
明治43年(1910)4月20日、旧国宝指定。
昭和27年(1952)3月29日、新国宝指定。
「大日光 (11)」(雑誌・データ送信)
発行年:1958年10月(昭和33) 出版者:日光東照宮
目次:家康公とその愛刀/佐藤寒山
ページ数:10 コマ数:7
https://dl.ndl.go.jp/pid/4416134/1/7
『家康の遺産 : 駿府御分物』(データ送信)
著者:徳川美術館 編 発行年:1992年(平成4) 出版者:徳川美術館
目次:図版解説
ページ数:224 コマ数:115
https://dl.ndl.go.jp/pid/13264984/1/115
『殿さまのひとりごと』(データ送信)
著者:徳川義宣 発行年:1994年(平成6)
目次:4 家康の財宝と遺品 「駿府御分物刀剣元帳」の発見
ページ数:209 コマ数:112
https://dl.ndl.go.jp/pid/13258756/1/112
『日本刀大百科事典』(紙本)
著者:福永酔剣 発行年:1993年(平成5) 出版者:雄山閣
目次:写真
ページ数:2巻
照国神社の「太刀 銘 国宗」(1964年5月26日(昭和39)、国宝指定)
島津公爵家の旧蔵。
1927年(昭和2)に島津家から照国神社に寄進された。
終戦後行方不明になったが、アメリカの愛刀家コンプトン博士がアメリカで発見し、日本に返還されたという話が有名。
昭和2年(1927)7月21日、旧国宝指定。
昭和39年(1964)5月26日、新国宝指定。
『日本刀講座 第8巻 (歴史及説話・実用及鑑賞)』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1934年(昭和9) 出版者:雄山閣
目次:(實用及鑑賞四)國寶刀劍解題(上)
ページ数:98 コマ数:534
https://dl.ndl.go.jp/pid/1265855/1/534
『刀剣鑑定の一考察』(データ送信)
著者:浅川義雄 発行年:1985年(昭和60) 出版者:浅川義雄
目次:一、日本刀の魅力
ページ数:4 コマ数:48
https://dl.ndl.go.jp/pid/12721968/1/48
『国宝日本刀特別展目録 : 刀剣博物館開館記念』
発行年:1968年(昭和43) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:太刀 銘 国宗 照国神社蔵
コマ数:72
https://dl.ndl.go.jp/pid/8799585/1/72
徳川美術館の「太刀 銘 国宗」(1954年(昭和29)3月20日、国宝指定)
尾張徳川家二代光友が、次男である高須松平家初代義行に与えた一振り。
その後、高須松平家出身で尾張徳川家八代当主となった宗勝により、ふたたび尾張徳川家へもたらされた。
昭和28年(1953)11月14日、重要文化財指定。
昭和29年(1954)3月20日、国宝指定。
ちなみに徳川美術館は他にも国宗が存在する。
『黎明会名刀図録』(データ送信)
著者:近藤周平、吉川賢太郎 共編 発行年:1960年(昭和35) 出版者:日本刀剣保存会本部
目次:三一 太刀 国宗
ページ数:48、49 コマ数:64、65
https://dl.ndl.go.jp/pid/8799586/1/64
『刀剣刀装具 第2版 (徳川美術館蔵品抄 ; 6) 』(データ送信)
著者:徳川美術館 編 発行年:1992年(平成4) 出版者:徳川美術館
目次:図版目録
ページ数:176 コマ数:90
https://dl.ndl.go.jp/pid/13231308/1/90
『徳川美術館所蔵 刀剣・刀装具』(紙本)
著者:徳川美術館 編 発行年:2018年(平成30) 出版者:徳川美術館
目次:図版解説
ページ数:202、203
ふくやま美術館の「太刀 銘 国宗」(1953年(昭和28)11月14日、国宝指定)
2025年現在は広島県の「ふくやま美術館」蔵の太刀。
ふくやま美術館は小松安弘コレクションの一部として寄贈されたことを市のホームページで説明している。
同じ太刀と目されるものが昭和の一時期は青山孝吉氏蔵。
(青山孝吉氏は同じく小松コレクションに含まれている太閤左文字や江雪左文字の所有者でもあった方なので、青山孝吉氏から小松安弘氏、そしてふくやま美術館へという流れだろうか?
更に言えば太閤左文字や江雪左文字の青山氏以前の所有者は長尾美術館の長尾氏であり、国宗の太刀も所有していた。
『指定文化財総合目録』で元長尾氏所有と思われる国宝が大量に青山氏のもとに移動しているのを見ると、
長尾氏→青山氏→小松氏→ふくやま美術館
という来歴の可能性がある。)
昭和13年(1938)7月4日、旧国宝指定。
昭和28年(1953)11月14日、新国宝指定。
『指定文化財総合目録 [昭和43年版] (美術工芸品篇)』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:文化財保護委員会
目次:東京都
ページ数:16 コマ数:18
https://dl.ndl.go.jp/pid/2476991/1/18
『国宝 : 原色版 第9 (鎌倉 第3)』(データ送信)
著者:毎日新聞社「国宝」委員会事務局 編 発行年:1969(昭和44) 出版者:毎日新聞社
目次:解説
ページ数:151、152 コマ数:155、156
https://dl.ndl.go.jp/pid/2526453/1/155
ふくやま市ホームページ
小松安弘コレクションについて
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-museum/194068.html
久能山東照宮の「太刀 銘 国宗」(1950年(昭和25)8月29日、重要文化財指定)
久能山東照宮の重要文化財の国宗。
11代将軍家斉が天明8年(1788)5月、正遷宮に際して久能山東照宮に奉納したもの。
葵紋絲巻太刀拵が付属する。
昭和25年(1950)8月29日、重要文化財指定。
『久能山東照宮伝世の文化財 刀剣編』(データ送信)
発行年:1994年(平成6) 出版者:久能山東照宮博物館
目次:一九 重要文化財 太刀 銘 国宗
ページ数:161、162 コマ数:169、170
https://dl.ndl.go.jp/pid/12659524/1/170
柞原八幡宮の「太刀 銘 国宗」(1950年(昭和25)8月29日、重要文化財指定)
大分県の柞原八幡宮蔵の重要文化財の国宗。
大友氏の寄進と伝えられる。
『大分県の文化財』(データ送信)
発行年:1971年(昭和46) 出版者:大分県教育委員会
目次:太刀 一口 大分市八幡 柞原八幡宮蔵
ページ数:34 コマ数:38
https://dl.ndl.go.jp/pid/12418887/1/38
東京国立博物館蔵の「小太刀 銘 国宗」(1988年(昭和63)6月6日、重要文化財指定)
国指定文化財等データベースによると、
有栖川宮家伝来、高松宮家より国(文化庁)に寄贈されたものであるとのこと。
「時の動き 32(9)(796)」(雑誌・データ送信)
著者:内閣府 編 発行年:1988年5月(昭和63) 出版者:国立印刷局
目次:文化財新指定(美術工芸品関係)
ページ数:69 コマ数:35
https://dl.ndl.go.jp/pid/2783428/1/35
国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/201/6703
戒杖刀
長さ約78㎝の長刀で仕込杖として用いられたもの。
上杉謙信が二度高野山参詣をした際に携行したと伝えられるもの。
重要美術品。
『米沢の文化財』(データ送信)
発行年:1967年(昭和42) 出版者:米沢市文化財保護協会
目次:戒杖刀
ページ数:21 コマ数:36
https://dl.ndl.go.jp/pid/2511883/1/36
調査所感
◎ まとめておいてなんですが
備前三郎国宗は粟田口国綱や一文字助真と共に鎌倉鍛治の祖の一人となった……というのは古剣書と呼ばれる大昔の刀剣の研究書にみられる伝承であって、確かな話ではないです。
その辺の古剣書の記述に関する検討が入っている論文もいくつかあります。
「Museum (366)」(雑誌・データ送信)
著者:東京国立博物館 編 発行年:1981年9月(昭和56) 出版者:東京国立博物館
目次:新藤五国光に関する一考察 / 小笠原信夫
ページ数:12~25 コマ数:8~14
https://dl.ndl.go.jp/pid/4429754/1/8
「刀剣と歴史 (606)」(雑誌・データ送信)
発行年:1995年7月(平成7) 出版者:日本刀剣保存会
目次:鎌倉鍛冶・新考 / 近江紀夫
ページ数:6~16 コマ数:8~13
https://dl.ndl.go.jp/pid/7901300/1/8
◎ 文脈ごとの地名の意味の読み取りがめんどい
直宗派(本によっては真宗と書いてなおむねと読んでいるものもあり)は福岡一文字派の直宗からの派生らしいので福岡一文字の分派らしいのですが、この辺りを説明する時の文脈が刀派としての長船と地名としての長船のどちらであるかによってめちゃくちゃ紛らわしいです。
備前三郎国宗は、刀工としての系統としては福岡一文字の分派であり、長船の光忠系とは別系だそうです。
福岡一文字の分派というのは基本的に省略されて一文字とも長船とも違う別系の刀工だと説明されていることの方が多いかもしれない。
だた、土地としての長船には備前三郎国宗も住んでいたとされています(そのせいでますますややこしいことに)。
ついでに直宗派の作品は他の刀工のものが少なくほぼ備前三郎国宗の作品を指すことになるので、本によってはそもそも直宗派と説明せず「国宗一派」とか備前三郎国宗の名を全面に押し出したりもしています(そのせいで余計にややこしい)。
◎ 国宗という名の刀工は多い
「太刀銘国宗」で結構検索をかけましたが、これだと別の国宗さんも引っかかってしまうので気を付けた方がいいかも。
特に久能山の重要文化財を調べてる時なんか一見二振りあるように見えて片方は伯耆国宗なので流し読みだとごっちゃになると思います。
昔の国宝図譜なんかだとこの辺を区別せずに載せているっぽい節があるのと、国指定文化財等データベースも解説文が載っていないページがあるのでちょっと注意が必要です。
◎ 名作多し
現在の国宝4振りの方は日光東照宮、照国神社、徳川美術館、ふくやま美術館と足取りを掴みやすいですが、それ以外にも重文などが多くあります。
昔の資料と見比べれば少しは判明するかもしれませんが、多すぎて大変なので今回は手を引きます。あとは趣味の世界ですので一振り一振り調べたい方は頑張ってください。
『国宝刀剣図譜 古刀の部 備前2』(データ送信)
著者:本間順治 編 発行年:1938年(昭和13) 出版者:岩波書店
目次:〔古刀の部〕 備前
コマ数:101~109
https://dl.ndl.go.jp/pid/1686077/1/101
『日本刀分類目録』(データ送信)
著者:郷六貞治 編 発行年:1944年(昭和19) 出版者:春陽堂
目次:目録
ページ数:29~31 コマ数:31、32
https://dl.ndl.go.jp/pid/1806260/1/31
『指定文化財総合目録 [昭和43年版] (美術工芸品篇)』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:文化財保護委員会
目次:東京都
ページ数:16 コマ数:18
https://dl.ndl.go.jp/pid/2476991/1/18
参考サイト
国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index
ふくやま市ホームページ 小松安弘コレクションについて
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-museum/194068.html
参考文献
『剣話録 上』
著者:剣話会 編(別役成義) 発行年:1912年(明治45) 出版者:昭文堂
目次:十九 同国物にして作の違ふ所を弁す(四)
ページ数:160~162 コマ数:90、91
「刀剣と歴史 (209)」(雑誌・データ送信)
発行年:1928年5月(昭和3) 出版者:日本刀剣保存会
目次:諸國鍛冶往來史(3) / 淸水吉堂
ページ数:11~15 コマ数:14~16
『日本刀の近代的研究』(データ送信)
著者:小泉久雄 発行年:1933年(昭和8) 出版者:小泉久雄
目次:備前三郎国宗一派
ページ数:155、156 コマ数:160、161
『日本刀講座 第8巻 (歴史及説話・実用及鑑賞)』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1934年(昭和9) 出版者:雄山閣
目次:(實用及鑑賞四)國寶刀劍解題(上)
ページ数:98 コマ数:534
『日本刀の研究 後編』(データ送信)
著者:倉田七郎 発行年:1937年(昭和12) 出版者:偕行社
目次:第一章 古刀鑑定法 第五節 備前傳 ページ数:322 コマ数:32
目次:第一章 古刀鑑定法 第六節 相州傳 ページ数:339、340 コマ数:40、41
『国宝刀剣図譜 古刀の部 備前2』(データ送信)
著者:本間順治 編 発行年:1938年(昭和13) 出版者:岩波書店
目次:〔古刀の部〕 備前
コマ数:101~109
『大日本刀剣史 中卷』(データ送信)
著者:原田道寛 発行年:1940年(昭和15) 出版者:春秋社
目次:諸家秘藏の正宗と名工正宗考
ページ数:138、139 コマ数:79
『日本刀大観 下巻』
著者:本阿弥光遜 発行年:1942年(昭和17) 出版者:日本刀研究会
目次:第一 古刀の部 国綱系 助真系 国宗系
ページ数:428~430 コマ数:89、90
『日本刀 : 各時代の様相 (美術懇話会叢書 ; 第3) 』(データ送信)
著者:三矢宮松 著 発行年:1943年(昭和18) 出版者:清閑舎
目次:第三 鎌倉時代 四 新興の相州物
ページ数:33、34 コマ数:28、29
『日本刀の鑑定と鑑賞 (実用百科選書) 』(データ送信)
著者:常石英明 発行年:1967年(昭和42) 出版者:金園社
目次:関東地方 一、相模国(神奈川県)
ページ数:118~121 コマ数:88、89
『日本刀全集 第5巻』(データ送信)
著者:加島新、藤代松雄、池田末松、高橋信一郎(監修:本間順治、佐藤貫一) 発行年:1967年(昭和42) 出版者:徳間書店
目次:古刀II 藤代松雄
ページ数:100、101 コマ数:58
『国宝日本刀特別展目録 : 刀剣博物館開館記念』
発行年:1968年(昭和43) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:太刀 銘 国宗 照国神社蔵
コマ数:72
『日本刀講座 第9巻 新版』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者: 雄山閣出版
目次:備前三郎国宗一派 概説および系図
ページ数:204、205 コマ数:175
『刀華会講話 : 名刀のみどころ極めどころ 第4集 (備前国古刀編)』(データ送信)
著者:本間順治 講述, 刀剣春秋新聞社編集局 編 発行年:1968年(昭和43) 出版者:刀華会
目次:第二十一講 別系刀工群 1 直宗派
ページ数:82、83 コマ数:44
『刀剣のみかた : 技術と流派』(データ送信)
著者:広井雄一 発行年:1971年(昭和46) 出版者:第一法規出版
目次:国宝刀剣目録
ページ数:282 コマ数:144
『名刀の見どころ極めどころ』(データ送信)
著者:本間順治 発行年:1979年(昭和54) 出版者: 刀剣春秋新聞社
目次:第二十一講“別系刀工群” 1“直宗派”
ページ数:178、179 コマ数:108
「Museum (366)」(雑誌・データ送信)
著者:東京国立博物館 編 発行年:1981年9月(昭和56) 出版者:東京国立博物館
目次:新藤五国光に関する一考察 / 小笠原信夫
ページ数:12~25 コマ数:8~14
『刀剣鑑定の一考察』(データ送信)
著者:浅川義雄 発行年:1985年(昭和60) 出版者:浅川義雄
目次:一、日本刀の魅力
ページ数:4 コマ数:48
『刀剣刀装具 第2版 (徳川美術館蔵品抄 ; 6) 』(データ送信)
著者:徳川美術館 編 発行年:1992年(平成4) 出版者:徳川美術館
目次:図版目録
ページ数:176 コマ数:90
『家康の遺産 : 駿府御分物』(データ送信)
著者:徳川美術館 編 発行年:1992年(平成4) 出版者:徳川美術館
目次:図版解説
ページ数:224 コマ数:115
『日本刀大百科事典』(紙本)
著者:福永酔剣 発行年:1993年(平成5) 出版者:雄山閣
目次:写真
ページ数:2巻
『殿さまのひとりごと』(データ送信)
著者:徳川義宣 発行年:1994年(平成6)
目次:4 家康の財宝と遺品 「駿府御分物刀剣元帳」の発見
ページ数:209 コマ数:112
『久能山東照宮伝世の文化財 刀剣編』(データ送信)
発行年:1994年(平成6) 出版者:久能山東照宮博物館
目次:一九 重要文化財 太刀 銘 国宗
ページ数:161、162 コマ数:169、170
「刀剣と歴史 (606)」(雑誌・データ送信)
発行年:1995年7月(平成7) 出版者:日本刀剣保存会
目次:鎌倉鍛冶・新考 / 近江紀夫
ページ数:6~16 コマ数:8~13
「刀剣と歴史 (609)」(雑誌・データ送信)
発行年:1996年1月(平成8) 出版者:日本刀剣保存会
目次:鎌倉鍛冶・新考(3) / 近江紀夫
ページ数:36 コマ数:23
『徳川美術館所蔵 刀剣・刀装具』(紙本)
著者:徳川美術館 編 発行年:2018年(平成30) 出版者:徳川美術館
目次:図版解説
ページ数:202、203
『日本刀の歴史 古刀編』(紙本)
著者:常石英明 発行年:2016年(平成28) 出版者:金園社
目次:第2部 全国刀工の系統と特徴 相模国(神奈川県) 備前三郎国宗一派 ページ数:203、204
目次:第2部 全国刀工の系統と特徴 備前国(岡山県) 直宗派 ページ数:329、330

