明石国行

あかしくにゆき

概要

「太刀 銘 国行」

鎌倉時代の刀工・来国行作の太刀。

播州明石の城主・松平家に伝来した。

1937年(昭和12)5月25日、国宝(旧国宝)指定。

戦後、明石松平家を出て個人蔵に。

1953年(昭和28)3月31日、国宝(新国宝)指定。

現在は日本美術刀剣保存協会により運営される「刀剣博物館」蔵。

明石松平家伝来

『新・日本名刀100選』によると、
播州明石の城主松平家に伝来。

『新・日本名刀100選』(紙本)
著者:佐藤寒山 発行年:1990年(平成2) 出版者:秋田書店
(中身はほぼ『日本名刀100選』 著者:佐藤寒山 発行年:1971年(昭和46) 出版社:秋田書店)
ページ数:146

『原色日本の美術 21』によると、来派の祖・国行の最高作。

『原色日本の美術 21』(データ送信)
著者:尾崎元春、佐藤寒山 発行年:1970年(昭和45) 出版者:小学館
目次:図版解説Ⅲ
ページ数:105 コマ数:111

1937年(昭和12)5月25日、国宝(旧国宝)指定

昭和12年(1937)5月25日、国宝(旧国宝)指定。
松平直頴子爵名義。

「太刀 銘 国行」

『日本刀分類目録』(データ送信)
著者:郷六貞治 編 発行年:1944年(昭和19) 出版者:春陽堂
目次:目録
ページ数:11 コマ数:22

『官報 1937年05月25日』
著者:大蔵省印刷局 [編] 発行年:1937年(昭和12) 出版者:日本マイクロ写真
目次:文部省告示第二百五十号 昭和十二年五月二十五日
ページ数:738 コマ数:8

戦後、明石松平家を出て個人蔵に

1953年の新国宝指定時にはすでに藤沢乙安氏名義になっている。
明石国行はこの頃の刀剣書ではまだ「藤沢家の国行」と呼ばれていることもある。

1953年(昭和28)3月31日、国宝(新国宝)指定

昭和28年(1953)3月31日、国宝(新国宝)指定。
藤沢乙安氏名義。

『指定文化財総合目録 〔昭和33年版 第2〕』(データ送信)
発行年:1958年(昭和33) 出版者:文化財保護委員会
目次:東京都
ページ数:28 コマ数:21

『指定文化財総合目録 [昭和43年版] (美術工芸品篇)』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:文化財保護委員会
目次:東京都
ページ数:22 コマ数:21

現在は「刀剣博物館」蔵

現在は公益財団法人日本美術刀剣保存協会により運営される「刀剣博物館」蔵。

「刀剣博物館」のサイト、所蔵品ページ参考。

作風

刃長七六.五一センチ(二尺五寸二分半)
反り三.〇三センチ、元幅二.九一センチ、先幅二センチ、峰長二.九七センチ

鎬造り、庵棟、生ぶ茎、
中峰猪首ごころに詰って力強く、腰反り高く、踏張りのある堂々たる太刀姿。
鍛は板目肌がよく約んで、地景が交じり、地沸が冴えて美しい。

樋中に三鈷付剣の浮彫がある。
「国行」と二字銘。

『新・日本名刀100選』(紙本)
著者:佐藤寒山 発行年:1990年(平成2) 出版者:秋田書店
(中身はほぼ『日本名刀100選』 著者:佐藤寒山 発行年:1971年(昭和46) 出版社:秋田書店)
ページ数:146

『国宝日本刀特別展目録:刀剣博物館開館記念』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:太刀 銘 国行 藤沢乙安氏蔵
コマ数:28、29

調査所感

明石は『日本刀大百科事典』に載っていないので、概要からある程度調べる必要はあるが、『新・日本名刀100選』に載っているのでそこで明石の松平家伝来であることは確認できる。

私自身は現時点で昔の研究書では明石国行と呼ばれているのを確認できず、「藤沢家の国行」と表記されていることが多いように思う。確実に明石国行と呼ばれているのは『日本名刀100選』の1971年ころからではないだろうか。

明石国行と呼ばれていないことも多いと考えてどういう特徴の刀なのか知っておかないと検索に苦労する刀の一振り。

そのせいかどうかはともかく、最近の概説書などでは長崎為基の「面影の太刀」が紆余曲折を経て明石松平家に伝来して明石国行になったという俗説と、明石に磨り上げの痕跡がないため否定されることが説明されている。
俗説の出典は見つけられなかったがネット上だと承久記(つまり長崎為基の面影の方の話)の内容を紹介しているサイトが明石の写真を載せてこれが面影だと説明しているくらいなので、確かに俗説とそれを信じる人はいるらしい。発祥はどこなんだろ?

出典を知りたいが明石側から調べても全然引っかからないということは、面影……長崎為基の刀の方から調べた方が良いだろうか。

他の刀の研究史を眺めながらとうらぶの物語構造に関して言えば、史実という確証があってもなくても一度語られた物語はその刀のものとして含むようなので、明石の考察に面影が必要となる可能性はなくはない。
ただこの説は概説書でも磨り上げの有無を持ち出してはっきり否定されているので、他に似たような条件の刀と完全に同じように考えていいのかどうかいまいち不明である。

参考サイト

「刀剣博物館」
「文化遺産オンライン」
「国指定文化財等データベース」

参考文献

『官報 1937年05月25日』
著者:大蔵省印刷局 [編] 発行年:1937年(昭和12) 出版者:日本マイクロ写真
目次:文部省告示第二百五十号 昭和十二年五月二十五日
ページ数:738 コマ数:8

『指定文化財総合目録 〔昭和33年版 第2〕』(データ送信)
発行年:1958年(昭和33) 出版者:文化財保護委員会
目次:東京都
ページ数:28 コマ数:21

『東京帝室博物館復興開館陳列目録 第6』
著者:東京帝室博物館 編 発行年:1938年(昭和13) 出版者:東京帝室博物館
ページ数:109 コマ数:58

『紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜』
著者:遊就館編 発行年:1940年(昭和15) 出版者:遊就館
目次:古刀の部 十二 太刀 銘国行(国宝) 東京 子爵 松平直頴
コマ数:50、51

『日本刀講座 第1巻 新版』(データ送信)
著者:監修 本間薫山、佐藤寒山 発行年:1966年(昭和41) 出版者:雄山閣
目次:新版日本刀講座〈概説編〉目次 図版目次 太刀 国行
ページ数:34、35 コマ数:37

『国宝 第5 (鎌倉時代 下) [本編]』(データ送信)
著者:毎日新聞社国宝委員会 編 発行年:1966年(昭和41) 出版者:毎日新聞社
目次:図版 79 太刀 銘 国行 藤沢乙安蔵
コマ数:176、177

『国宝 第5 (鎌倉時代 下) 解説』(データ送信)
著者:毎日新聞社国宝委員会 編 発行年:1966年(昭和41) 出版者:毎日新聞社
目次:工芸品
ページ数:77 コマ数:93

『国宝日本刀特別展目録:刀剣博物館開館記念』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:太刀 銘 国行 藤沢乙安氏蔵
コマ数:28、29

『国宝 : 原色版 第9 (鎌倉 第3)』(データ送信)
著者:毎日新聞社「国宝」委員会事務局 編 発行年:1969(昭和44) 出版者:毎日新聞社
目次:工芸品 コマ数:32
目次:解説 コマ数:136

『原色日本の美術 21』(データ送信)
著者:尾崎元春、佐藤寒山 発行年:1970年(昭和45) 出版者:小学館
目次:刀剣 ページ数:89 コマ数:95
目次:図版解説Ⅲ ページ数:105 コマ数:111
目次:一、日本刀概説 ページ数:227 コマ数:233

『新・日本名刀100選』
著者:佐藤寒山 発行年:1990年(平成2) 出版社:秋田書店
(中身はほぼ『日本名刀100選』 著者:佐藤寒山 発行年:1971年(昭和46) 出版社:秋田書店)
目次:23 明石国行 国宝
ページ数:146

概説書

『図解 武将・剣豪と日本刀 新装版』(紙本)
著者:日本武具研究界 発行年:2011年(平成23年) 出版者:笠倉出版社
目次:第3章 武将・剣豪たちと名刀 松平家と明石国行
ページ数:140、141

『日本刀図鑑: 世界に誇る日本の名刀270振り』(紙本)
発行年:2015年(平成27) 出版者:宝島社
目次:明石国行
ページ数:15

『図解日本刀 英姿颯爽日本刀の来歴』(紙本)
著者:東由士 編 発行年:2015年(平成27) 出版者:英和出版社(英和MOOK)
目次:大名家が所有した名刀たち 銘国行
ページ数:20

『刀剣目録』(紙本)
著者:小和田康経 発行年:2015年(平成27) 出版者:新紀元社
目次:≪第二章 鎌倉時代≫ 山城国来 国行 明石国行
ページ数:126

『物語で読む日本の刀剣150』(紙本)
著者:かゆみ歴史編集部(イースト新書) 発行年:2015年(平成27) 出版者:イースト・プレス
目次:第3章 太刀 明石国行
ページ数:88

『刀剣物語』(紙本)
著者:編集人・東由士 発行年:2015年(平成27) 出版者:英和出版社(英和MOOK)
目次:大名・将軍が所持した刀 銘国行 明石国行
ページ数:190、191

『刀剣説話』(紙本)
著者:編集人・東由士 発行年:2020年(令和2) 出版者:英和出版社(英和MOOK)
(『刀剣物語』発行年:2015年を加筆修正して新たに発行しなおしたもの)
目次:名刀の物語 明石国行
ページ数:230、231

『刀剣聖地めぐり』(紙本)
発行年:2016年(平成28) 出版者:一迅社
目次:明石国行
ページ数:28