孫六兼元

まごろくかねもと

概要

刀工・孫六兼元

濃州末関の代表工。
“関の孫六”の名で大衆にも知られ、和泉守兼定と末関の双璧をなす。

しかし、その身許については異説が多いという。

『日本刀の歴史 古刀編』によると、一説には関の和泉守兼定と兄弟の契りを結んだと言われている。

武人の差料として有名な刀が多く、大業物の作者として講談や演劇でも名高い。

三本杉という特徴の刃文は、その切れ味によって讃えられている。

以下、刀工については主に『日本刀大百科事典』の記述をもとにまとめたもの。
出典となる古剣書は国立国会図書館デジタルコレクションでも読めないものが多い。

身許についての異説が多い刀工

『日本刀大百科事典』によると、もっとも信頼すべき『宝徳二年関係図』でも、

・行滿の子に左衛門尉一人をあげたもの
・行滿の子の太郎左衛門尉清関兼元と、兼枝の子の初名兼茂、のち孫六兼元の二人をあげたもの

と二種ある。

そのほか、

・六郎左衛門尉の子の太郎左衛門尉清関兼元と、信濃守兼定の門人の孫六兼元の二名をあげたもの(『古今銘盡大全』)
・赤坂千手院国長の末で、大吉法師と名乗る兼元一人をあげたもの(『新刊秘伝抄』)

・孫六兼幸の子が太郎左衛門尉清関兼元、二代が兼基の次男で、養子にきた孫六兼元、三代が初め兼茂の孫六兼元とするもの(『金子氏暦由記』)

などがある。

刀工・兼元の系図をどう理解するか

『日本刀大百科事典』によると、通説としては、『校正古刀銘鑑』にある系図、つまり初代兼元兼宗の子で、兼基の弟とする説が用いられているという。

系図理解の結論としては、『日本刀の歴史 古刀編』の端的なまとめ方の方がわかりやすいかもしれない。

『日本刀の歴史 古刀編』(紙本)
著者:常石英明 発行年:2016年(平成28) 出版者:金園社
目次:美濃国(岐阜県) (二)兼元(孫六)系 初代孫六兼元
ページ数:172

然しいずれにしても、善定系に属していて、関町から美濃国赤坂の地に移り、この家系を樹立した刀工です。その孫に当る孫六兼元は、大業物の作者として天下にその名声をとどろかせて家名を挙げ、それ以後代々『孫六兼元』と称し、『兼元』を屋号のようにして継承して繁栄を続けています。

有名なのは二代兼元

『日本刀大百科事典』ではこのように解説されている。

初代を「清関兼元」、二代を「孫六兼元」と呼んでいるが、賞玩のあついのはむろん、孫六のほうである。

俗に“関孫六三本杉”と言われていながら、孫六には「関住」と切った銘がない。
すべて「赤坂住」と切ってある。それが兼元を赤坂千手院国長の末、とするゆえんである。

関には、一年おきに赤坂に出張していた、という伝説があるが、刀銘の年紀を調べていると、そうはなっていない。

「赤坂住」と切るのは、赤坂が本籍地であることを示すので、出張製作、つまり駐槌のさいは「於赤坂」と切るのが通則である。

したがって孫六は中仙道の駅で、注文も多い赤坂に定住していたと見るべきで、三代目になって関に帰住したものであろう。

活動時期や特徴

1510年頃(永正)に活動した刀工で、講談などで名高い『関の孫六三本杉』はこの二大兼元(初代孫六兼元)だという。

和泉守兼定(之定)と義兄弟の間柄とも言われているらしい。

『日本刀の歴史 古刀編』(紙本)
著者:常石英明 発行年:2016年(平成28) 出版者:金園社
目次:美濃国(岐阜県) (二)兼元(孫六)系 初代孫六兼元
ページ数:173

一説に、関に住した和泉守兼定とは兄弟の契を結んだ親交の間柄ともいわれ、或いは親族関係があったともいわれています。
なお、兼元と同時代の関町にも、兼元と名乗る同名異人の鍛冶がおり(後述)、更に後代にもこの家系でない、別人兼元の作品もありますから要注意です。
世間では『関の孫六三本杉』と称し、大業物の作者として、講談や演劇などで名高い孫六はこの永正頃(一五一〇)の兼元をいいます、

作風

身幅に元先の差少なく、鎬低めに、鎬幅の広い姿で、地鉄は板目肌に柾まじり、粘り気がある。

特徴は有名な“三本杉”という刃文であるが、鋸刃の三本目が少し高くなっているもので美術的価値は低い。
かえって初期作に見られる五の目乱れの方が、芸術性に富む。

しかし、単純な三本杉が歓迎されるのは、その切れ味の素晴らしさにある。
“最上大業物”に選ばれているだけあって、古剣書にもその切れ味を讃えたものが多い。
(『如手引抄』『関目録』)

『日本刀大百科事典』(紙本)
著者:福永酔剣 発行年:1993年(平成5年) 出版者:雄山閣
目次:かねもと【兼元】
ページ数:2巻P35

著名な作品、武人の差料が多い

『日本刀大百科事典』によると、
武人の差料としては、真柄十郎左衛門を斬った青木兼元・前田家の二念仏兼元・細川家の指し艾兼元・石川家の地蔵切り兼元・山内家の大仙兼元・奥平家の僧正兼元・槇嶋家の笹雪兼元など、世上に名高いものが多い。

『日本刀大百科事典』ではこうなっているが、軽く調べた感じでは、
「大仙兼元」は「山内家」ではなく「黒田家」の伝来が正しいと思われる。
「山内家」には別に有名な兼元が二振り存在する。
最後の「槇嶋家の笹雪兼元」についてはほとんど情報がなく謎が多い。

真柄十郎を斬った青木一重の青木兼元(真柄切兼元)

徳川家康の家臣である青木所右衛門、後の民部少輔一重は元亀元年6月、姉川の戦いで真柄十郎を討取った。
その時の刀を「青木兼元」または「真柄切兼元」と呼ぶという。

(真柄父子の歴史は現代でもまだ整理が難しいが、この真柄十郎に関しては「太郎太刀」の主・真柄直隆ではなくその息子で「次郎太刀」の主・真柄隆基の方のようだ)

「青木兼元」はその後いつからか丹羽子爵家に伝来し、昭和14年に重要美術品に認定され、『武将と名刀』によればその頃は岐阜方面の愛刀家が秘蔵していたという。

孫六兼元の傑作と名高い。

『剣話録 附録』
著者:剣話会 編 発行年:1912年(明治45) 出版者:昭文堂
コマ数:43

『日本刀講座 第8巻 (歴史及説話・実用及鑑賞)』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1934年(昭和9) 出版者:雄山閣
目次:(歷史及說話三)本朝名刀傳 青木兼元
ページ数:45~48 コマ数:259~261

『東京帝室博物館復興開館陳列目録 第6』
著者:東京帝室博物館 編 発行年:1938年(昭和13) 出版者:東京帝室博物館
ページ数:136 コマ数:72

『信翁刀剣随筆』(データ送信)
著者:石渡信太郎 著, 辻本直男 編 発行年:1956年(昭和31) 出版者:石渡信太郎
目次:孫六兼元に就て (鎌倉刀剣会にて発表 昭一五・一〇)刀剣会誌 四九四号(昭一七・八)
ページ数:71 コマ数:42

『武将と名刀』(データ送信)
著者:佐藤寒山 発行年:1964年(昭和39) 出版者:人物往来社
目次:青木一重と青木兼元の刀
ページ数:97~101 コマ数:53~55

『日本刀全集 第1巻』(データ送信)
発行年:1966年(昭和41) 出版者:徳間書店
目次:名物と国宝 辻本直男
ページ数:124、125 コマ数:66

『日本刀全集 第3巻』(データ送信)
発行年:1967年(昭和42) 出版者:徳間書店
目次:古刀(畿内・東海道・東山道・西海道)小泉富太郎
ページ数:116、117 コマ数:62

『日本刀講座 第3巻 新版』(データ送信)
発行年:1967年(昭和42) 出版者:
目次:作人個々の作風
ページ数:100 コマ数:106

『出品目録 : 第17回全国大会』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:日本美術刀剣保存協会
コマ数:10

『原色日本の美術 21』(データ送信)
著者:尾崎元春、佐藤寒山 発行年:1970年(昭和45) 出版者:小学館
目次:図版解説Ⅲ
ページ数:133 コマ数:139

『日曜随筆集 第9巻』(データ送信)
著者:福嶋悠峰 発行年:1971年(昭和46) 出版者:下野新聞社
目次:名物・青木兼元
ページ数:33~39 コマ数:24~27

前田家の二念仏兼元

斬った相手が念仏を二度唱えてから倒れたもしくは割れたという逸話を持つ刀。

『日本刀の近代的研究』(データ送信)
著者:小泉久雄 著 発行年:1933年(昭和8) 出版者:小泉久雄
目次:第十一章 各流派竝各刀工の特徵 東山道 美濃国 兼元
ページ数:123 コマ数:116

別掲押形、前田侯爵家の名物「二念佛」兼元と云ふのは、曾て供先を切つた者を斬つた處が、念佛を二度唱へてから倒れたので、名附けられたとのことである。

『趣味の日本刀』(データ送信)
著者:大河内常平, 柴田光男 共著 発行年:1963年(昭和38) 出版者:雄山閣出版
目次:古刀篇押形図版集
ページ数:16 コマ数:13

二念仏兼元というのは、前田利家の二男利政が、慶長三年に道先を横切った下手人を成敗したところ、念仏をたからかに二度となえてから、体が割れた。そこで二念仏というのである。

『日本刀の鑑定と鑑賞 (実用百科選書) 』(データ送信)
著者:常石英明 発行年:1967年(昭和42) 出版者:金園社
目次:名物の刀剣
ページ数:250 コマ数:154

二念物兼元は関の初代孫六兼元の作で、慶長のころ前田利家の二男利政が下手人を一刀の下に成敗したところ南無阿弥陀仏を二口となえて胴体が割れたといわれています。

細川家の指し艾兼元(さしもぐさかねもと)

細川忠興の佩刀。
「さしもぐさ」の語が登場する和歌から異名が付けられたという。

『日本刀講座 第9巻』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1935年(昭和10) 出版者:雄山閣
目次:名士と刀劍 肥後の刀剣家
ページ数:206 コマ数:263

公の半面には幽斎公譲りの風流の御趣味もありまして、其の佩刀兼元には「ただ頼めしめじが原のさしも草我れ世の中にあらんかぎりは」と云ふ古歌の意を取り「さしも草」の異名を附して帯せられました程で、和歌の御造詣も深い様に思はれます。

石川家の地蔵切り兼元

それらしき刀が刀剣書に登場するが詳細までは見つけられなかった。

『趣味の日本刀』(データ送信)
著者:大河内常平, 柴田光男 共著 発行年:1963年(昭和38) 出版者:雄山閣出版
目次:古刀篇押形図版集
ページ数:16 コマ数:13

地蔵を切った石川家の地蔵切り兼元、天草の乱のおりに、原城で兜の八幡座を切りさいた兼元もある。

黒田家の大仙兼元

黒田長政の佩刀。
「福岡市博物館」蔵、長さ76.4センチ、反り1.8センチ。

古い刀剣書だと存在は良く知られていて名前だけは出るがどんな刀なのかの詳細を書いているものが国立国会図書館デジタルコレクションには見当たらない。

現在も「福岡市博物館」蔵なのでそちらで情報を探した方がいいと思われる。

『紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜』
著者:遊就館編 発行年:1940年(昭和15) 出版者:遊就館
目次:古刀の部
コマ数:323

『日本古刀史 改訂増補版』(データ送信)
著者:本間順治 発行年:1963年(昭和38) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:五、 室町時代
ページ数:175 コマ数:123

「刀剣と歴史 (447)」(雑誌・データ送信)
発行年:1969年1月(昭和44) 出版者:日本刀剣保存会
目次:美濃物の作風 / 吉川賢太郎
ページ数:13 コマ数:11

山内家の兼元のうちの一振り、「仮名銘兼元」(仮名銘孫六)

山内家の二代藩主・山内忠義の佩刀。
二尺三寸五分、『剣話録 下』によれば「まこ六」、『刀剣談』によれば「かねもと」と仮名銘のあるものだったという。

非常の大業物で、この刀で度々家来を手打ちにした、役人などが前へ出て何か気に入らぬ事を云ふと、ハツタと睨んで、「身が孫六をまへるぞ」と大声で叱りつけると皆恐れ入って平伏してしまった、という。

『刀剣談』
著者:高瀬真卿 発行年:1910年(明治43) 出版者:日報社
目次:第六門 諸家の名刀 假名銘兼元
ページ数:137~139 コマ数:93、94

『刀剣談 再版』(データ送信)
著者:羽皐隠史 著[他] 発行年:1927年(昭和2) 出版者:嵩山房
目次:第五 諸家の名刀 假名銘の刀【兼元】
ページ数:196~199 コマ数:110、111

『日本刀物語』
著者:小島沐冠人 編著 発行年:1937年(昭和12) 出版者:高知読売新聞社
目次:山内家の兼元
ページ数:1~3 コマ数:8、9

『日本刀全集 第9巻』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:徳間書店
目次:新刀・新々刀
ページ数:148 コマ数:78
(刀の解説の思い出話の中で入札に仮名銘孫六が出た話をしている)

山内家の兼元のうちの一振り、「まこ六兼元」

山内家伝来、「まこ六兼元」と五字銘で本文にある脇差。

『剣話録 下』
著者:剣話会 編(今村長賀) 発行年:1912年(明治45) 出版者:昭文堂
目次:二十七 本阿弥光山の押形(上)
ページ数:272、273 コマ数:146

『紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜』
著者:遊就館編 発行年:1940年(昭和15) 出版者:遊就館
目次:古刀の部
コマ数:323

奥平家の僧正兼元

出羽羽黒山にて鳥居強右衛門が僧正から与えられた刀。
僧正孫六と呼ばれる。

『渋柿叢書 巻10 長篠合戦』
著者:塚原渋柿園 発行年:1907~1909(明治40~42) 出版者:左久良書房
コマ数:4

鳥居強右衛門遺物

此刀は奥平信昌が功臣鳥居強右衛門の佩用せし所の物たり、奥平家刀剣録に仍れば、記して左の如くに曰り
出羽國羽黒山に於テ異僧此刀ヲ鳥居強右衛門勝商信昌功臣に与テ去ヌ依りテ僧正孫六と称す
因みに此寫眞は奥平伯爵家の珍蔵にかかる実物を、請諾を経て撮影せる者也。

槇嶋家の笹雪兼元

『日本刀大百科事典』の兼元の項目だと名前だけ挙がっている。

残念ながら現在国立国会図書館デジタルコレクションで確認できる範囲の本には記載がないようである。
兼元は有名な作品が多いので記載を省略する系の文言を研究書に散見するので、他の名作の記述が優先された結果、記述された本が少ない可能性はある。

また、「笹雪」「笹の雪」は刀剣の世界では切れ味を譬えるのに使われる言葉で、「笹の雪」の号を持つ刀の中で有名なものには笹の雪兼定と呼ばれるものがある。兼元ではなく兼定である。

類似表現として「笹露」という言葉が冠せられることもあり、ネットなどでざっくり検索した限り槇嶋家の兼元は笹雪よりも「笹露」と呼ばれている可能性が高そうである。

赤穂義士・堀部安兵衛の関孫六

赤穂義士の一人、堀部安兵衛の刀は、赤鞘の「関孫六」とされている。
バリエーションがかなり多いらしく、国立国会図書館デジタルコレクションで検索をかけると様々な作品が引っかかる。下記引用は一例。

講談であって、史実としての保証はない。

『堀部安兵衛 (袖珍講談叢書 ; 第1編) 』
著者:小金井蘆洲 口演 発行年:明治44(1911) 出版者:東亜堂
ページ数:209 コマ数:109

傍らに在つた関孫六三本杉兼元の例の赤鞘の大小を落差にして、堀部弥兵衛金丸に連れられて、四五町ほど来ると、ちよつとした料理屋があつた、

その他の赤穂義士も兼元を所有?

下記の本では大石良雄、吉田澤右衛門が兼元の刀を所持したという話がされている。

『刀剣夜話』(データ送信)
著者:前田稔靖 発行年:1932年(昭和7) 出版者:九州帝国大学刀園会
目次:二 赤穗義士と日本刀
ページ数:14~18 コマ数:15~17

新選組・斎藤一の関孫六

明治時代の講談師・松林伯知による『新撰組十勇士伝』の中では斎藤一の刀は「関孫六」とされている。

講談であって、史実としての保証はない。

『新撰組十勇士伝』
著者:松林伯知 講演, 今村次郎 速記 発行年:1898年(明治31) 出版者:いろは書房
ページ数:173 コマ数:91

斎藤肇に於ては關孫六の一刀を引抜き、エイとばかりに土州藩の一人の腰の邊りより斬て落した、

調査所感

・とにかく作品が多い

とうらぶから孫六兼元の情報に入ると確かに兼元の刀は使い手のエピソードごと有名なものが多いようです。

刀工名は普通下の名前の方で呼ばれるものなんですが、兼元に関しては例外的に「関の孫六」の呼び名で通っているためか、○○兼元ではなく〇〇孫六と呼ばれている例が結構あります。
仮名銘孫六とか僧正孫六とか。

・でも笹雪兼元に関してはよくわからない

しかし作品が多すぎるせいかあまり情報が表に出てこないものもあって。
笹雪兼元に関する情報が今のところデジコレにないっすね……。

ネットにこの刀らしき刀の情報を載せているサイトが複数あるのでそれらの情報を総合するとそもそも「笹雪」より「笹露」の名の方が妥当かもしれないんですが、笹露で検索しても引っかかりませんでした。どうすっかなこれ。

デジコレの収蔵本もちょこちょこ増えているので(2023年は一度に10万冊単位で3回くらい追加があったような)、こまめにチェックしていずれ出会えることを願いましょうか。

・青木兼元について、昔は初代の作品だと判断されていた?

青木兼元は現在だと二代目の傑作扱いだと思うんですが、昭和初期の研究書だと初代の傑作扱いのようです。

『日本趣味十種 国学院大學叢書第壹篇 (国学院大学叢書 ; 第1編) 』(データ送信)
著者:芳賀矢一 編 発行年:1924年(大正13) 出版者:文教書院
目次:八 刀剣の話 杉原祥造
ページ数:368 コマ数:205
(本によって1コマずれる)

『大日本刀剣新考 訂』(データ送信)
著者:内田疎天 発行年:1934年(昭和9) 出版者:岡本偉業館
目次:第四章 古刀略志(第三) 東山道
ページ数:496、495 コマ数:575、576

・その青木兼元は、真柄の刀(次郎太刀)の仇では

寒山先生の『武将と名刀』がこの刀を取り上げていますしその他の本の扱いでも孫六兼元ではこの刀が一番有名だと思うんですが、この刀、別名を「真柄切兼元」ともいうくらいで真柄十郎三郎……つまり、次郎太刀の主であった真柄隆基を斬ったと言われている刀です。

割と気になるところだったんですが、今後触れられることはあるんでしょうかね。

・刀の講談人気の話

赤穂義士の堀部安兵衛の刀が「関の孫六」だと言う話は講談で大人気らしく、デジコレで検索に引っかかった文面をざっと見るだけでも割とバリエーションがあります。

新選組なんかの検索結果だと史実を求めて今だと信頼性が低いと言われていてもその当時は信頼性の高い情報をみんな使うので文面が割と似通うんですが、堀部安兵衛に関する講談は割と表現がばらけます。

つまり、色々な講談が作られ語られていったと。
とうらぶでの扱いを考えるなら、孫六兼元の実装は歌舞伎や能、謡曲、浄瑠璃なんかの伝統芸能と同じくこの講談も視野にいれなければならないってことかもしれませんね。

刀剣の研究書でも孫六兼元は講談で「関の孫六」と呼ばれているのがこの初代孫六兼元(二代目兼元)だという風に説明されるくらいですし。

・とうらぶの兼元を考えるのも難しい

青木兼元や大仙兼元のように現存する名作があるのにとうらぶの兼元の登場時点での執心先はだんだら羽織……つまり赤穂義士と新選組のようです。

いつものことですが、話を聞くと「ん?」となる設定ですね。
とうらぶはとうらぶでかなり複雑なシナリオを組んでいるのでこれは変化する前提で考えるべきとはいえ、おかげで有名作の調査に加えて講談の方の情報も集めなければいけないと。

歴史というものは確定した史実だけではなく、ある意味ではこうした講談のような創作・フィクションを通じて人口に膾炙し、それが歴史だと認識されていった物語をも含むと言えます。

そういうことを考えるならまぁ兼元の講談人気は物凄く重要な話題ではあるんですが、調査が面倒な男士のうちの一振りであることは間違いないですね……。

参考文献

『新撰組十勇士伝』
著者:松林伯知 講演, 今村次郎 速記 発行年:1898年(明治31) 出版者:いろは書房
ページ数:173 コマ数:91

『渋柿叢書 巻10 長篠合戦』
著者:塚原渋柿園 発行年:1907~1909(明治40~42) 出版者:左久良書房
コマ数:4

『刀剣談』
著者:高瀬真卿 発行年:1910年(明治43) 出版者:日報社
目次:第六門 諸家の名刀 假名銘兼元
ページ数:137~139 コマ数:93、94

『堀部安兵衛 (袖珍講談叢書 ; 第1編) 』
著者:小金井蘆洲 口演 発行年:明治44(1911) 出版者:東亜堂
ページ数:209 コマ数:109

『剣話録 下』
著者:剣話会 編(今村長賀) 発行年:1912年(明治45) 出版者:昭文堂
目次:二十七 本阿弥光山の押形(上)
ページ数:272、273 コマ数:146

『剣話録 附録』
著者:剣話会 編 発行年:1912年(明治45) 出版者:昭文堂
コマ数:43

『日本趣味十種 国学院大學叢書第壹篇 (国学院大学叢書 ; 第1編) 』(データ送信)
著者:芳賀矢一 編 発行年:1924年(大正13) 出版者:文教書院
目次:八 刀剣の話 杉原祥造
ページ数:368 コマ数:205
(本によって1コマずれる)

『刀剣談 再版』(データ送信)
著者:羽皐隠史 著[他] 発行年:1927年(昭和2) 出版者:嵩山房
目次:第五 諸家の名刀 假名銘の刀【兼元】
ページ数:196~199 コマ数:110、111

『刀剣夜話』(データ送信)
著者:前田稔靖 発行年:1932年(昭和7) 出版者:九州帝国大学刀園会
目次:二 赤穗義士と日本刀
ページ数:14~18 コマ数:15~17

『日本刀の近代的研究』(データ送信)
著者:小泉久雄 著 発行年:1933年(昭和8) 出版者:小泉久雄
目次:第十一章 各流派竝各刀工の特徵 東山道 美濃国 兼元
ページ数:123 コマ数:116

『日本刀講座 第6巻 (刀剣鑑定・古刀)』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1934年(昭和9) 出版者:雄山閣
目次:(古刀鑑定)美濃の部(東山道二) 六 兼定と兼元・兼吉
ページ数:55~66 コマ数:213~219

『大日本刀剣新考 訂』(データ送信)
著者:内田疎天 発行年:1934年(昭和9) 出版者:岡本偉業館
目次:第四章 古刀略志(第三) 東山道
ページ数:496、495 コマ数:575、576

『日本刀講座 第8巻 (歴史及説話・実用及鑑賞)』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1934年(昭和9) 出版者:雄山閣
目次:(歷史及說話三)本朝名刀傳 青木兼元
ページ数:45~48 コマ数:259~261

『日本刀講座 第9巻』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1935年(昭和10) 出版者:雄山閣
目次:名士と刀劍 肥後の刀剣家
ページ数:206 コマ数:263

『日本刀物語』
著者:小島沐冠人 編著 発行年:1937年(昭和12) 出版者:高知読売新聞社
目次:山内家の兼元
ページ数:1~3 コマ数:8、9

『東京帝室博物館復興開館陳列目録 第6』
著者:東京帝室博物館 編 発行年:1938年(昭和13) 出版者:東京帝室博物館
ページ数:136 コマ数:72

『紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜』
著者:遊就館編 発行年:1940年(昭和15) 出版者:遊就館
目次:古刀の部
コマ数:323

『紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜』
著者:遊就館編 発行年:1940年(昭和15) 出版者:遊就館
目次:古刀の部
コマ数:323

『日本刀研究の手引』(データ送信)
著者:神津伯 発行年:1940年(昭和15) 出版者:雄山閣
目次:美濃國 兼元(二代)
ページ数:174、175 コマ数:94

『日本刀大観 下巻』
著者:本阿弥光遜 発行年:1942年(昭和17) 出版者:日本刀研究会
目次:第三章 各國刀匠の略歴と其の掟と特徴 第一 古刀の部
ページ数:493~498 コマ数:122~124

『信翁刀剣随筆』(データ送信)
著者:石渡信太郎 著, 辻本直男 編 発行年:1956年(昭和31) 出版者:石渡信太郎
目次:孫六兼元に就て (鎌倉刀剣会にて発表 昭一五・一〇)刀剣会誌 四九四号(昭一七・八)
ページ数:71 コマ数:42

『趣味の日本刀』(データ送信)
著者:大河内常平, 柴田光男 共著 発行年:1963年(昭和38) 出版者:雄山閣出版
目次:古刀篇押形図版集 ページ数:16 コマ数:13
目次:大業物のはなし ページ数:252、253 コマ数:131

『日本古刀史 改訂増補版』(データ送信)
著者:本間順治 発行年:1963年(昭和38) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:五、 室町時代
ページ数:175 コマ数:123

『武将と名刀』(データ送信)
著者:佐藤寒山 発行年:1964年(昭和39) 出版者:人物往来社
目次:青木一重と青木兼元の刀
ページ数:97~101 コマ数:53~55

『日本刀全集 第1巻』(データ送信)
発行年:1966年(昭和41) 出版者:徳間書店
目次:名物と国宝 辻本直男
ページ数:124、125 コマ数:66

『日本刀の鑑定と鑑賞 (実用百科選書) 』(データ送信)
著者:常石英明 発行年:1967年(昭和42) 出版者:金園社
目次:名物の刀剣
ページ数:250 コマ数:154

『日本刀全集 第3巻』(データ送信)
発行年:1967年(昭和42) 出版者:徳間書店
目次:古刀(畿内・東海道・東山道・西海道)小泉富太郎
ページ数:116、117 コマ数:62

『日本刀講座 第3巻 新版』(データ送信)
発行年:1967年(昭和42) 出版者:
目次:作人個々の作風
ページ数:100 コマ数:106

『日本刀全集 第9巻』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:徳間書店
目次:新刀・新々刀
ページ数:148 コマ数:78
(刀の解説の思い出話の中で入札に仮名銘孫六が出た話をしている)

『出品目録 : 第17回全国大会』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:日本美術刀剣保存協会
コマ数:10

「刀剣と歴史 (447)」(雑誌・データ送信)
発行年:1969年1月(昭和44) 出版者:日本刀剣保存会
目次:美濃物の作風 / 吉川賢太郎
ページ数:13 コマ数:11

『日本刀講座 第10巻 新版』(データ送信)
発行年:1970年(昭和45) 出版者:雄山閣出版
目次:北陸・東海・山陽道
ページ数:121~124 コマ数:182~184

『原色日本の美術 21』(データ送信)
著者:尾崎元春、佐藤寒山 発行年:1970年(昭和45) 出版者:小学館
目次:図版解説Ⅲ
ページ数:133 コマ数:139

『日曜随筆集 第9巻』(データ送信)
著者:福嶋悠峰 発行年:1971年(昭和46) 出版者:下野新聞社
目次:名物・青木兼元
ページ数:33~39 コマ数:24~27