はくさんよしみつ
概要
「剣 銘吉光」
粟田口藤四郎吉光作の剣。
寛永10年、3代将軍家光の養女・阿智姫(大姫)が前田光高に嫁いだ際に持参したと言われている。
その後、明暦3年に阿智姫の息子・前田綱紀が母の冥福を祈念して「白山比咩神社」に奉納した。
以来、現代まで「白山比咩神社」の宝物として伝来。
1909年(明治42)9月21日、旧国宝指定。
1952年(昭和27)3月29日、新国宝指定
現在も所有者は「白山比咩神社」だが、「石川県立美術館」に寄託されている。
1633年(寛永10)、阿智姫が前田光高に嫁した際に持参した剣
寛永10年(1633年)、3代将軍・家光の養女・阿智姫が加賀藩3代藩主(前田家4代)・前田光高に嫁した際に持参した。
『鶴来町史 歴史篇 原始・古代・中世』(データ送信)
著者:鶴来町史編纂室 編 発行年:1989年(平成1) 出版者:鶴来町
目次:第四節 白山信仰の文化財
ページ数:439、440 コマ数:225、226
1657年(明暦3)8月、加賀藩4代藩主・前田綱紀が「白山比咩神社」に奉納
明暦3年(1657)の8月、加賀藩4代藩主(前田家5代)・前田綱紀が「白山比咩神社」に奉納した。
『白山比咩神社叢書 第7輯』(データ送信)
著者:白山比[メ]神社 編 発行年:1927~1934年(昭和2~9) 出版者:白山比[メ]神社
目次:第十二 寛政四年より留帳 元文元年長吏澄盛相續之事書入書
ページ数:95、96 コマ数:50、51
『石川県の文化財』(データ送信)
著者:川良雄 編 発行年:1962年(昭和37) 出版者:北国新聞社
目次:国宝
ページ数:6 コマ数:13
研究書系はほぼその記載がないが、現在「白山比咩神社」のWEBページなどを参照すると奉納理由は「綱紀が母の冥福を祈るために奉納した」となっている。
1909年(明治42)9月21日、国宝(旧国宝)指定
明治42年(1909)9月21日、国宝(旧国宝)指定。
白山比咩神社名義。
『日本刀分類目録』(データ送信)
著者:郷六貞治 編 発行年:1944年(昭和19) 出版者:春陽堂
目次:目録
ページ数:9 コマ数:21
1952年(昭和27)3月29日、国宝(新国宝)指定
昭和27年(1958)3月29日、国宝(新国宝)指定。
白山比咩神社名義。
『石川県の文化財』(データ送信)
著者:川良雄 編 発行年:1962年(昭和37) 出版者:北国新聞社
目次:国宝
ページ数:6 コマ数:13
現在も「白山比咩神社」所有
「白山比咩神社」のサイトによると、
所有者は「白山比咩神社」だが、「石川県立美術館」に寄託されている。
作風
一例として下記の本から引用する。
『紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜』
著者:遊就館編 発行年:1940年(昭和15) 出版者:遊就館
目次:古刀の部
コマ数:46
一〇 剣 銘吉光(国宝)
長さ七寸五分五厘
鍛は小板目よく詰りて梨地肌をなし地沸厚く、刃文は小沸深く中直刃が二十刃となり、小さき互の目乱れ交り小足入り、帽子は鎬に焼詰めて掃掛かかり、表裏鎬上に細き樋を掻流して居る。茎は長く生ぶ、鑢目は切少し下り、銘は二字細鏨で書風暢達である。
箱など
白鞘に入れて納められたことなどは下記の本に載っている。
箱蓋の表には、
加賀国石川郡白山妙理権現宝前 明暦三季八月十一日
加賀能登越中国三国主正四位下左近衛少将菅原綱利朝臣
と書かれている。
『国事雑抄 下』
著者:森田柹園 [著], 日置謙 訂 発行年:1933年(昭和8) 出版者:石川県図書館協会
目次:卷廿一 二 白山御奉納吉光之御剣之事
ページ数:791 コマ数:76
二 白山御奉納吉光之御剣之事
覚
一 吉光剣 白鞘に入。
一 臺鎺 上下金。
一 袋錦裏紋繻珍緒萌黄。
一 箱内梨子地、外黒塗、きちやうめん並御位署書金粉、鐶梅輪内滅金緒紫。
箱蓋の裏の文章はここで読める。
『石川県の文化財』(データ送信)
著者:川良雄 編 発行年:1962年(昭和37) 出版者:北国新聞社
目次:国宝
ページ数:6 コマ数:13
調査所感
・前田家の事情、光高と大姫の結婚
阿智姫が持参して、母の死後前田綱紀がその冥福を祈るために奉納、っていう来歴が意外と刀剣の本に載っていなくて割と最近の土地の歴史関係の本を引っ張ってくる羽目になりました。
この辺は白山比咩神社の説明と同じですし特に疑う必要もないと思いますが、どうして刀剣書のほとんどはこの来歴を書いてくれないんでしょうね。
前田光高と大姫(阿智姫)の結婚では、今まで調べた中にもいろいろな名刀がやりとりされています。
・白山吉光とはあまり呼ばれない
国宝なのでここ100年くらいの本にはずっと載っているのと神社関係の資料にも記録が載っている名剣なのですが、ずっと「剣 銘吉光」表記であって、「白山吉光」とはほぼ呼ばれません。
ただ私がいつも参考にしている『日本刀大百科事典』ではこの剣の項目はないものの、5巻に写真が載っていて、「白山吉光」として紹介されています。
つまり酔剣先生が「白山吉光」って呼んでる。
またいつもの、昭和時代から研究者はこう呼んでるよ、パターンだと思われます。
・「石川県立美術館だより」がデジコレで読める
参考文献にはいちいち載せなかったのですが、寄託先である「石川県立美術館」が発行している「石川県立美術館だより」がデジコレで読めます。
・吉光の剣でもう一振り有名なものは熱田神宮の重要文化財
「白山吉光」でほぼ検索に引っかからないので銘文で検索しますが、そうすると熱田神宮の「剣 銘吉光」も引っかかるのでお気を付けください。
今は白山吉光は国宝、熱田神宮の剣は重要文化財ですが、戦前の資料だとどちらも「国宝」表記ですので非常に混ざりやすいです。
・「白山比咩神社」のサイトの写真
「白山比咩神社」のサイトでは前田綱紀が奉納した際の箱に入った写真が見られます。
この写真だけで文字をはっきり読むのは難しいので上に資料あげましたが、箱に納まった白山くんの写真がとっても奇麗なので直接見に行くことをお勧めします。
参考サイト
「文化遺産データベース」
「国指定文化財等データベース」
「白山比咩神社」
参考文献
『白山比咩神社略志』
著者:長屋基彦 編 発行年:1913年(大正2) 出版者:白山比咩神社々務所
ページ数:12 コマ数:8
『白山比咩神社叢書 第7輯』(データ送信)
著者:白山比[メ]神社 編 発行年:1927~1934年(昭和2~9) 出版者:白山比[メ]神社
目次:第十二 寛政四年より留帳 元文元年長吏澄盛相續之事書入書
ページ数:95、96 コマ数:50、51
『白山比咩神社叢書 第7輯』(データ送信)
著者:白山比[メ]神社 編 発行年:1927~1934年(昭和2~9) 出版者:白山比[メ]神社
目次:白山御奉納物寫帳 寛政五年七月
ページ数:83 コマ数:60
『石川県史 第四編』
著者:石川県 編 発行年:1931年(昭和6) 出版者:石川県
目次:第五節 國寶及び特別保護建造物
ページ数:715、716 コマ数:412、413
『日本古美術案内 上巻』(データ送信)
著者:滝精一 編 発行年:1931年(昭和6) 出版者:丙午出版社
目次:金澤附近及能登地方
ページ数:425 コマ数:242
『大日本神社志 3』(データ送信)
著者:大日本敬神会 編 発行年:1933年(昭和8) 出版者:大日本敬神会本部
目次:白山比咩神社
ページ数:305、306 コマ数:38、39
『日本刀講座 第8巻 (歴史及説話・実用及鑑賞)』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1934年(昭和9) 出版者:雄山閣
目次:(實用及鑑賞四)國寶刀劍解題(上)
ページ数:81、82 コマ数:509、510
『国宝刀劒図譜 解説』(データ送信)
著者:本間順治 発行年:1936年(昭和11) 出版者:岩波書店
目次:國寶刀劒圖譜 第五囘配布(十圖版附解說) 目錄
コマ数:45
『国宝刀剣図譜 古刀の部 山城』(データ送信)
著者:本間順治 編 発行年:1938年(昭和13) 出版者:岩波書店
目次:〔古刀の部〕 山城
コマ数:53、55
『東京帝室博物館復興開館陳列目録 第6』
著者:東京帝室博物館 編 発行年:1938年(昭和13) 出版者:東京帝室博物館
ページ数:108 コマ数:58
『紀元二千六百年奉祝名宝日本刀展覧会出陳刀図譜』
著者:遊就館編 発行年:1940年(昭和15) 出版者:遊就館
目次:古刀の部
コマ数:46
『国宝宝物類目録』(データ送信)
著者:文部省宗教局保存課 編 発行年:1940年(昭和15) 出版者:文部省宗教局保存課
目次:石川縣
ページ数:107 コマ数:62
『日本刀分類目録』(データ送信)
著者:郷六貞治 編 発行年:1944年(昭和19) 出版者:春陽堂
目次:目録
ページ数:9 コマ数:21
『名刀集美』(データ送信)
著者:本間順治 編 発行年:1948年(昭和23) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:古刀の部 解説
コマ数:167、168
『国宝図録 第2集』(データ送信)
著者:文化財協会 編 発行年:1953年(昭和28) 出版者:文化財協会
目次:写真 ページ数:46 コマ数:49
目次:工芸の部 ページ数:38 コマ数:144
「季刊文化財 (2)」(雑誌・データ送信)
発行年:1955年3月(昭和30) 出版者:文化財保護委員会
目次:国宝・重要文化財展覧会の概況
ページ数:83 コマ数:45
『郷土の文化財 第7 (新潟・石川・福井)』(データ送信)
発行年:1961年(昭和36) 出版者:宝文館
目次:小松市・石川郡
ページ数:79 コマ数:47
『石川県の文化財』(データ送信)
著者:川良雄 編 発行年:1962年(昭和37) 出版者:北国新聞社
目次:国宝
ページ数:6 コマ数:13
『石川県史 現代篇 第2』(データ送信)
発行年:1963年(昭和38) 出版者:
目次:第三節 新法のもとにおける文化財保護活動
ページ数:1285 コマ数:654
『日本古刀史 改訂増補版』(データ送信)
著者:本間順治 著 発行年:1963年(昭和38) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:三、 鎌倉時代
ページ数:45 コマ数:58
『神道大辞典 : 3巻 第二卷』
著者:平凡社 編 発行年:1966年(昭和41) 出版者:平凡社
目次:シ シラヤマヒメジンシャ 白山比咩神社
ページ数:201 コマ数:119
『宝 第5 (鎌倉時代 下) [本編]]』(データ送信)
著者:毎日新聞社国宝委員会 編 発行年:1966年(昭和41) 出版者:毎日新聞社
目次:工芸品
ページ数:77 コマ数:93
『国宝 第5 (鎌倉時代 下) 解説]』(データ送信)
著者:毎日新聞社国宝委員会 編 発行年:1966年(昭和41) 出版者:毎日新聞社
目次:図版 77 剣 銘吉光 白山比咩神社蔵
コマ数:172
『国宝 : 原色版 第9 (鎌倉 第3)』(データ送信)
著者:毎日新聞社「国宝」委員会事務局 編 発行年:1969(昭和44) 出版者:毎日新聞社
目次:工芸品 ページ数:図版18 コマ数:30
目次:解説 ページ数:131 コマ数:135
『原色日本の美術 21』(データ送信)
著者:尾崎元春、佐藤寒山 発行年:1970年(昭和45) 出版者:小学館
目次:刀剣 ページ数:92 コマ数:98
目次:図版解説Ⅲ ページ数:106 コマ数:112
「博物館研究 = Museum studies 23(2)(237)」(雑誌・データ送信)
著者:日本博物館協会 編 発行年:1988年2月(昭和63) 出版者:日本博物館協会
目次:常設展の展示替・新展示品紹介 = Introduce of New Exhibit
ページ数:42 コマ数:23
『鶴来町史 歴史篇 原始・古代・中世』(データ送信)
著者:鶴来町史編纂室 編 発行年:1989年(平成1) 出版者:鶴来町
目次:第四節 白山信仰の文化財
ページ数:439、440 コマ数:225、226
『日本刀大百科事典』(紙本)
著者:福永酔剣 発行年:1993年(平成5年) 出版者:雄山閣
目次:写真
ページ数:5巻