きつねがさき
概要
銘文、表記、呼び方等
「狐ヶ崎為次」
「狐ヶ崎」
「狐崎太刀」
「狐崎の太刀」
「狐崎御太刀」
「狐崎の為次」
「太刀 銘為次 附革巻太刀拵」
「太刀 銘為次(狐ヶ崎) 附黒漆太刀拵」
「太刀 銘為次(狐ヶ崎)」
(小さい「ケ」、「が」が入る名称の表記揺れや、~~の太刀のバリエーションが多い)
略歴
鎌倉時代の備中の古青江の刀工・為次が打った太刀。
1200年(正治2)正月20日、梶原景時が三浦義村らの諸将に弾劾され(梶原景時の変)、京都に逃げていく途中。
狐ヶ崎という土地において、梶原景時の三男・影茂を、吉香の領主・吉香友兼が、この太刀をもって討ち取った。
そのため“狐ヶ崎為次”と命名されたという。
1933年(昭和8)1月23日、国宝(旧国宝)指定。
1951年(昭和26)6月9日、国宝(新国宝)指定。
現在も国宝として吉川家の文化財などを所蔵する「吉川史料館」が所蔵している。
古青江の青江為次は1200年頃の人なので、この刀は当時の現代刀であったという。
それから実に800年以上の間、この刀は同じ家が所蔵し続けていることとなる。
1200年(正治2)正月20日、吉香友兼が梶原景茂を討った太刀
『日本刀大百科事典』によると、
吉香友兼が梶原景茂(梶原景時の三男)を斬った備中青江為次の太刀。
梶原景時が三浦義村らの諸将に弾劾され、京都に逃げていく途中。
正治2年(1200)正月20日、駿州安倍郡吉香、清水市吉川の北方、狐ヶ崎において、景時の三男・三郎兵衛尉影茂を、吉香の領主・吉香小次郎友兼が、この太刀をもって討ち取った。
そのため“狐ヶ崎為次”と命名された。
吉香友兼もそのとき重傷をおい、翌日落命した。
芸州の名家・吉川家はその嫡流であるため、この太刀は今日まで同家に伝来し、国宝に指定されている。
出典は『吾妻鏡』『大日本史』『駿河国志』などとなっているが、これらの資料には吉香友兼が梶原景茂を討取ったことは載っているが、刀に関しては検索しても見つからなかった。
吉川家が現代でも存続している名家なので、資料から判別しているわけではなく800年伝来してきた家の伝える事実・現物から明白なこととしてこの来歴が語られていると考えられる。
1933年(昭和8)1月23日、国宝(旧国宝)指定
昭和8年(1933)1月23日、国宝(旧国宝)指定。
吉川元光子爵名義。
「太刀 銘為次 附革巻太刀拵」
『官報 1933年01月23日』
著者:大蔵省印刷局 [編] 発行年:1933年(昭和8) 出版者:日本マイクロ写真
目次:文部省告示第十五号 昭和八年一月二十三日
ページ数:460 コマ数:3
1951年(昭和26)6月9日、国宝(新国宝)指定
昭和26年(1951)6月9日、国宝(新国宝)指定。
吉川重喜氏名義。
官報の年月日と指定の年月日がずれていますが、この年月日であっています。
昭和26年6月9日に重要文化財から国宝指定された工芸品は昭和27年1月12日に告示が出されたという話です。
官報の告示が第何号でどういう法律によるかは5コマ目に説明が載っています。
「太刀 銘為次(狐ヶ崎) 附黒漆太刀拵」
『官報 1952年01月12日』
著者:大蔵省印刷局 [編] 発行年:1952年(昭和27) 出版者:日本マイクロ写真
目次:文化財保護委員会告示第二号 昭和二十七年一月十二日
ページ数:140 コマ数:7
現在
現在も国宝として吉川家の文化財などを所蔵する「吉川史料館」が所蔵している。
保管施設の名称は「吉川史料館」。
所有者名は「公益財団法人吉川報效会」。
1200年当時は現代刀であった青江為次の刀を、当時から同じ名家・吉川家が所蔵し続けて800年以上経っていることになる。
参考:「国指定重要文化財等データベース」
作風
刃長二尺六寸(約78.8センチ)、
地肌は小板目つまり、地沸えが厚くつく。
刃文は小乱れ刃に葉がよく入り賑やか。
鋩子は沸え崩れる。
茎の鑢目は大筋違い。
銘は「為次」と二字、古青江の為次である。
『日本刀大百科事典』(紙本)
著者:福永酔剣 発行年:1993年(平成5) 出版者:雄山閣
目次:きつねがさきためつぐ【狐ヶ崎為次】
ページ数:2巻P95
外装
鎌倉期の作と見える黒漆塗り革巻きの太刀拵が附属している。
この太刀につく拵は肉取りを薄く仕立て、柄と鞘をともに全体薄革で包み、黒漆を塗り、さらにその上から柄と鞘の渡巻を革で菱に巻いたものであり、諸金具は山金でつくり、黒漆を塗っているが、ある部分は竹の節をかたどり、ある個所には笹の枝葉を彫り、余地には輪魚子をうっている。
鐔は鉄板を山金で包んだもので角丸形である。
『国宝 第4 (鎌倉時代 上) 解説』(データ送信)
著者:毎日新聞社国宝委員会 編 発行年:1966年(昭和41) 出版者:毎日新聞社
目次:工芸品
ページ数:107 コマ数:123
調査所感
・ゲーム関係のフライング調査
とうらぶ関係としては実はまだゲームに刀剣男士として実装されていませんが、物語の重要な位置にいるキャラとなっていますのでこうしてあらかじめ調べておくことにしました。
・800年同じ家に伝来し、来歴のほぼすべてが埋まっている名刀
1200年に吉香友兼が梶原景茂を討って号がついた時から800年以上ずっと同じ家が持っている刀……?(スペキャ)
そんなの来歴のほぼ全てが埋まってると言えるじゃん(驚愕)
『日本刀大百科事典』の記述なんかも他の刀に比べると簡素な方ですが、それは情報がないからではなく情報の信頼性が高くて他の刀みたいな誤伝の整理が一切必要ないってこと……だと……!?
あまりに来歴がしっかりしすぎて逆に語ることがないようです。
・戦陣の太刀で最も時代の信ずべきもの
刀剣の来歴について調べていると、どの刀はなんとかの時や理由に打たれてどこどこの戦に使われた、という記述自体は結構見かけるものの、その来歴は結構怪しいものが多いです。
それに対し、狐ヶ崎為次はこの来歴の信用度がやはり高いようです。
「Museum (134)」(雑誌・データ送信)
著者:東京国立博物館 編 発行年:1974年7月(昭和49) 出版者:東京国立博物館
目次:刀匠鐔と甲冑師鐔 / 佐藤寒山
ページ数:2、3 コマ数:3
・刀装研究の資料としても貴重
刀装が残っている刀剣は他にもありますが、狐ヶ崎為次の刀装は打たれた当時の刀装だろうとかなり注目されているようです。
『日本刀講座 第3巻 新版』(データ送信)
発行年:1967年(昭和42) 出版者:雄山閣出版
目次:新版日本刀講座<古刀鑑定編(中)> 目次
ページ数:58、59 コマ数:42
参考サイト
「国指定文化財等データベース」
「文化遺産オンライン」
「吉川史料館」
参考文献
『巌山金玉集 巻3』
著者:南方書佐 (厚) 編 発行年:1901年(明治34) 出版者:南方厚
目次:狐崎太刀記
ページ数:106、107 コマ数:33
『剣話録 下』
著者:剣話会 編(今村長賀) 発行年:1912年(明治45) 出版者:昭文堂
目次:二十三 古の太刀
ページ数:208~214 コマ数:113~117
『吉川広家公三百年祭記念講演集』
著者:井原豊 編 発行年:1926年(大正15) 出版者:吉川家編輯所
目次:一 吉川家の略歴
ページ数:3 コマ数:10
『日本刀講座 第8巻 (歴史及説話・実用及鑑賞)』(データ送信)
著者:雄山閣 編 発行年:1934年(昭和9) 出版者:雄山閣
目次:(實用及鑑賞四)國寶刀劍解題(上)
ページ数:106、107 コマ数:538
『吉川家史梗概』
著者:吉川家編纂所 編 発行年:1935年(昭和10) 出版者:吉川家編纂所
目次:吉川家史梗概 一 駿河時代
ページ数:2 コマ数:9
『東京帝室博物館復興開館陳列目録 第6』
著者:東京帝室博物館 編 発行年:1938年(昭和13) 出版者:東京帝室博物館
ページ数:135 コマ数:71
『名刀集美』(データ送信)
著者:本間順治 編 発行年:1948年(昭和23) 出版者:日本美術刀剣保存協会
目次:解説
コマ数:208
『国宝図録 第1集』(データ送信)
著者:文化財協会 編 発行年:1952年(昭和27) 出版者:文化財協会
目次:工芸の部
ページ数:84 コマ数:113
『武将と名刀』(データ送信)
著者:佐藤寒山 発行年:1964年(昭和39) 出版者:人物往来社
目次:吉香友兼と狐ケ崎為次の太刀
コマ数:22~24
『日本刀講座 第8巻 (外装編) 新版』(データ送信)
発行年:1966年(昭和41) 出版者:雄山閣出版
目次:鎌倉時代の様式
ページ数:380 コマ数:208
『国宝 第4 (鎌倉時代 上) 解説』(データ送信)
著者:毎日新聞社国宝委員会 編 発行年:1966年(昭和41) 出版者:毎日新聞社
目次:工芸品
ページ数:107 コマ数:123
『日本刀講座 第3巻 新版』(データ送信)
発行年:1967年(昭和42) 出版者:雄山閣出版
目次:新版日本刀講座<古刀鑑定編(中)> 目次
ページ数:58、59 コマ数:42
『指定文化財総合目録 [昭和43年版] (美術工芸品篇)』(データ送信)
発行年:1968年(昭和43) 出版者:文化財保護委員会
目次:山口県
ページ数:71 コマ数:45
『原色日本の美術 21』(データ送信)
著者:尾崎元春、佐藤寒山 発行年:1970年(昭和45) 出版者:小学館
目次:一、日本刀概説
コマ数:243
「Museum (280)」(雑誌・データ送信)
著者:東京国立博物館 編 発行年:1974年7月(昭和49) 出版者:東京国立博物館
目次:青江刀工の研究 / 加島進
ページ数:22 コマ数:13
『日本刀大百科事典』(紙本)
著者:福永酔剣 発行年:1993年(平成5) 出版者:雄山閣
目次:きつねがさきためつぐ【狐ヶ崎為次】
ページ数:2巻P95
「文化庁月報 (10)(349)」(雑誌・データ送信)
著者:文化庁 編 発行年:1997年10月(平成9) 出版者:ぎょうせい
目次:イベント案内 東京国立博物館日本のかたな――鉄のわざ・武のこころ
ページ数:40 コマ数:21
概説書
『図解 武将・剣豪と日本刀 新装版』(紙本)
著者:日本武具研究界 発行年:2011年(平成23年) 出版者:笠倉出版社
目次:第3章 武将・剣豪たちと名刀 梶原景時と狐ヶ崎為次
ページ数:114、115
『日本刀図鑑: 世界に誇る日本の名刀270振り』(紙本)
発行年:2015年(平成27) 出版者:宝島社
目次:狐ヶ崎
ページ数:67
『図解日本刀 英姿颯爽日本刀の来歴』(紙本)
著者:東由士 編 発行年:2015年(平成27) 出版者:英和出版社(英和MOOK)
目次:名刀の物語を読む 狐ヶ崎
ページ数:50
『刀剣目録』(紙本)
著者:小和田康経 発行年:2015年(平成27) 出版者:新紀元社
目次:≪第二章 鎌倉時代≫ 備中国青江 為次 狐ヶ崎為次
ページ数:62、63
『物語で読む日本の刀剣150』(紙本)
著者:かみゆ歴史編集部(イースト新書) 発行年:2015年(平成27) 出版者:イースト・プレス
目次:第3章 太刀 狐ヶ崎
ページ数:81
『刀剣物語』(紙本)
著者:編集人・東由士 発行年:2015年(平成27) 出版者:英和出版社(英和MOOK)
目次:名刀の逸話 狐ヶ崎
ページ数:210、211
『刀剣説話』(紙本)
著者:編集人・東由士 発行年:2020年(令和2) 出版者:英和出版社(英和MOOK)
(『刀剣物語』発行年:2015年を加筆修正して新たに発行しなおしたもの)
目次:武家社会と刀 狐ヶ崎
ページ数:68、69