毒薬試飲会

毒薬試飲会 毒薬試飲会

About

BL/R18/FT/猟奇/残酷/戦闘/ゲーム/アリス/長編/連載中】
『快楽の土地』。チェシャ猫によって案内されるその場所には、危険な毒のような魅力がある。 「禁じられた遊び」と呼ばれるゲームに出場するコンビ、アランとフェイ。 しかし二人の絆は、突如現れた男、ノワールによって打ち砕かれた。 明かされるフェイの過去、アラン自身知らざる己の力、そして不思議の国の住人たちと彼らに敵対する勢力が複雑に入り混じったとき、それはどんな毒へと変化するのか……。
※猟奇・残酷描写注意。

登場人物紹介(イラスト付) | 世界設定

Story

1.アルカロイド (原稿用紙65枚)

【001】1.アルカロイド 001 | 002

2.ルイサイト (原稿用紙56枚)

【002】2.ルイサイト 003 | 004

3.弗化水素 (原稿用紙94枚)

【003】3.弗化水素 上  005 | 006
【004】3.弗化水素 下  007

4.アセトシアンヒドリン(原稿用紙85枚)

【005】4.アセトシアンヒドリン 008 | 009 | 010

5.鈴蘭(原稿用紙255枚)

【006】5.鈴蘭 上 011 | 012 | 013
【007】5.鈴蘭 中 014 | 015 | 016
【008】5.鈴蘭 下 017 | 018 | 019

6.ベラドンナ (原稿用紙64枚)

【009】6.ベラドンナ 020 | 021

7.アニリン (原稿用紙112枚)

【010】7.アニリン 白 022 | 023
【011】7.アニリン 黒 024 | 025

8.ニコチン(原稿用紙46枚)

【012】8.ニコチン 026 | 027

9.アンフェタミン(原稿用紙158枚)

【013】9.アンフェタミン 上 028 | 029
【014】9.アンフェタミン 中 030 | 031
【015】9.アンフェタミン 下 032 | 033

10.ダイオキシン (原稿用紙132枚)

【016】10.ダイオキシン 上 034 | 035 | 036
【017】10.ダイオキシン 下  037 | 038

11.DES (原稿用紙185枚)

【018】11.DES 上 039 | 040
【019】11.DES 中 041 | 042
【020】11.DES 下 043 | 044

12.オゾン (原稿用紙79枚)

【021】12.オゾン 045 | 046 | 047

13.ニッカリンT (原稿用紙56枚)

【022】13.ニッカリンT 048 | 049

14.カドミウム (原稿用紙103枚)

【023】14.カドミウム 上 050 | 051
【024】14.カドミウム 下 052 | 053

15.ベンゼン (原稿用紙90枚)

【025】15.ベンゼン 054 | 055 | 056

16.タキシン (原稿用紙88枚)

【026】16.タキシン 057 | 058 | 059

17.ストリキニーネ (原稿用紙171枚)

【027】17.ストリキニーネ 赤 060 | 061 | 062
【028】17.ストリキニーネ 緑 063 | 064 | 065

Other

小ネタ系

あとがき
毒薬誤飲会
媚薬試飲会
漫画
リクエスト品 カップリングなりきり100の質問

Link

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「薔薇廃園」(共同サイト名義)、作者名:無依で登録しております。
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毒薬試飲会

毒薬試飲会 028

17.ストリキニーネ 緑 063  一歩ずつ、進んでいけばいい。  そうしたら、必ずどこかしらには着くはずだ。  ……一歩ずつ、進む事ができたらの、話だけれどね。  「毒薬試飲会」  17.ストリキニーネ【GREEN-side】  ――突然ですが。絶賛、落下中の二人です。  アランもハーンにさんざん言われて第一階層に上る前に、不思議の国のアリスというルイス・キャロルというむっかーしむかしの人が書いた古代の童話の何とかダウンロード版を手に入れて読んだ。  ――感想を一言、変な話だった、以上。  そのアリスの冒頭、主人公であるアリスは白ウサギを追いかけて、兎の穴に落ちてしまう。そこから物語がスタートするのだ。だからといって、そう、だからといってだ! 「俺、自由落下に恐怖を感じず、退屈を感じるって初めてだよ」 「後にも先にもこれきりだと信じたいがな」  うす暗い縦穴のような空間をずっと落ち続けている。時間で計っていないが、感覚ではもう一時間は軽く超えていると思う。しかも自由落下を続けてはいるものの、その落下速度はそこまで恐怖を感じるほどには速くない。エレベーターでゆっくり下降を続けているとい...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 027

17.ストリキニーネ 赤 060  変化を求めるのに、それを恐れ。  結局何も変わっていない。  ……それでも。  それでも、俺は変わらない日常を選ぶ。  俺は――。  「毒薬試飲会」  17.ストリキニーネ【RED-side】  第二階層の寂れた教会。これは昔狂った科学者達が実験を繰り返し、人が暮らすことが出来なくなった地域。禁術のおかげで隔離は出来たものの、人が中に脚を踏み入れれば即死はせずとも確実に死ぬことが出来る。  廃墟と化した街はそのまま残され、禁術で空気さえ遮断された空間は、風さえ吹かない。空気は腐ったように濁り、土埃が舞うことさえない街は、実験の痛々しい跡だけを残して、建物を爆心地から円形に均等に破壊されている。  教会が寂れつつも姿を残しているのは爆心地から遠かっただけの話だ。その教会の周りは集落があったはずだが、そちらの建物は建物の土台や跡だけを残し、ほぼ姿がない。使われた建築材料の差だろう。  その教会は亀裂や皹が入っているものの、建物としての姿を残している。破れたステンドグラスや傾いた十字架が教会の名残と言えよう。  金属製の観音開きの扉を潜れば、朽ちた木に変わ...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 026

16.タキシン 057  最初から結果なんてわかってんだ。  ――なら、  笑うしかねェじゃねーか  「毒薬試飲会」  16.タキシン  第一階層、ランク1のゲームへの挑戦権を得られたハーンとアランだったが、第一階層の行き方は皆無だった。  唯一ビルと会った際に得られた情報だけが頼りで、そのことがあったからこそ、無謀な階層登りなどといった考えに陥らなかったのである。ビルと出遭った経緯や、質問の回答を考えれば嘘は言っていないだろう。 「やはり、チェシャ猫を頼るべきだろうな」  チェシャ猫は十指にあたるツインの前には必ずといっていいほど姿を現していたと言う。今考えれば、それは第一階層に行くことになった際に自分を頼れ、という意味ではないかとアランは思う。  この快楽の土地で唯一階層移動に制約を受けないという不思議の国の住人。猫のような出たちをし、会う度に姿というか己の持つ色を変える少年は実力を見せないだけではなく神出鬼没だ。 「ハーンは? チェシャ猫とはどれくらいなんだ?」 「俺はそんなに会ってないんだな、これが」  チェシャ猫は入矢と仕事をしていたというか入矢がノワールから身を隠すためにチ...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 025

15.ベンゼン 054  時々、おまえのことを夢に見るよ  懐かしくて、愛おしくて  でもな、知ってるよ  それで……砕けるのも夢のうち  「毒薬試飲会」  15.ベンゼン 『さぁて、賭けて、賭けてぇぇえええ!!』」  この前、入矢とノワールが立っていた場所にアランがこうして立っているのが不思議に感じる。客からしてみた時には、騒がしく激しいと感じた客の声も気にならない。このいつものゲームより激しい眼帯と拘束のせいだろうか。心が逆立たない。入矢とのゲームと違って、戦う前なのに静かでいられる。  ハーンは入矢のようなすべてを任せるような、絶対的な支配をしてくれるような安心感はない。だけど、背中を預けられるような違った安心感はある。それともハーンが初戦は一発でそれも一瞬で勝つと言ったからだろうか。  鎖が一つ外されて、一つまた一つ外されていく。身体が軽くなり、視界が開く。上空で椅子が浮かび上がり、回転が始まる。 『初戦の相手はぁああ、桃色の誘惑・アナン・マージョリーとミュミン・マッケンのツイン!!』  わぁあああと歓声が上がる。静かに視線を上げた。蛍光色の桃色の髪の女性が支配者の席に座ってい...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 024

14.カドミウム 下 052  舐めるなよ。  俺がやられたまま、黙っていると思ったら大間違いだ。  そうだろう?  「毒薬試飲会」  14.カドミウム・下  ベットタイムが終了し、入矢と敵の奴隷、ナグアが向かい合う。  入矢は先ほどのボルバンガー戦とは違い、殺意も怒りも抱いてはいない。ゲーム前の緊張感が支配している。  しかし先ほどと違う点といえば、ノワールがわずかに顔に緊張をのぞかせている所か。相手の支配者サイネリアも軽い緊張を顔に見せていた。  アランとハーンの隣で観客がゲームの勝敗について語り合っているのが聞こえる。このようにして会場全体がざわつき、それぞれが楽しみにしている様子が伝わってきた。 「やっぱ、勝つのは女帝だろう?」 「そうかぁ? だってノワールはまだ、禁術の1つさえ使っていないんだぞ」 「だって、片や十指の最強を争う女だぜ?」  様々な憶測が行き交う中で、入矢とナグアの視線が交錯する。そして、瞬間二匹の獣が疾走を開始した。紅い髪が残像を残して、それすなわち真紅の弾丸。迎え撃つ獣は青白い髪を揺らして、ふらふらと何度か頭を揺らした瞬間に姿が消える。激しい金属の摩擦音が...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 023

14.カドミウム 上 050  思い知らせてやろう。  私と君の絆を絶とうとした輩に、  我が、想いの強さを。  「毒薬試飲会」  14.カドミウム・上  アランは初めて足を踏み入れる第二階層中央もコロッセウム、禁じられた遊びの会場を見まわした。久々に行われる一代イベントであるからか、会場は始まる前から溢れんばかりの客で埋め尽くされていた。  スリーコインを用いたゲームは相当珍しいらしく、その日の会場で他のゲームは行われない。一切をノワールと入矢のためだけに捧げられる。 「開始まであと15分か」  対戦カードも何もないのに、この集客率はアランには理解不能だ。客は誰との対戦カードを見たいだとか、このツインと当たればいくらかけるか、等と騒いでいる。そんなこんなで過ごすうちにとっくに15分なんて経ってしまい、一瞬照明が落とされ、その後にスポットライトに照らされた女が現れる。 『皆様ぁあ、お待たせいたしましたぁああ!!』  うおぉおお!! 一言に波の様な歓声が返ってくる。 『今宵は皆様待ちに待ったゲーム、ノワール・ステンファニエルによって宣言されたスリーコインゲームを開催いたしまァす!! さぁ...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 022

13.ニッカリンT 048  あっしはアンタに出会ってから、ずっと忠実にあんたの僕でさぁ。  あっしらは配役に縛られる。だけど、それで叶う望みがあるならば、  喜んでその役に人生、賭けやすよ。  それが、あっしの代金でさぁ。  「毒薬試飲会」  13.ニッカリンT 「ぷぎー、ぷぎー」  子豚が鳴いて、そして逃げる。足が速いわけではないから、小さな体躯から必死さが伝わってくる。そんな子豚を無視して、金属の音が響く。片方は包丁を両手に逆手で構え、すばやく動く。  料理女はナイフのように、剣のように包丁を扱う。それに対してビルは笑いながら、避けていく。金属製の梯子はちょうど真ん中で折れる構造をしており、巧みに梯子を伸ばしたり、曲げる事で効率よく料理女の包丁からガードする。  梯子は長いぶん、扱うのに困りそうなものだが、ビルは手際よく梯子を振り回す。リーチが長いので振り回された時に空を斬り、重さが感じられる。一度当たったら、ダメージは相当なものだろう。  だからこそ、料理女も安易にその領域に踏み込まず、決定打を逃し続ける。 「そういやぁ、料理女。第一階層には戻らなくていいんでやんすか?」 「私...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 021

12.オゾン 045  ああ、このたゆたう温かな場所から出たくないんだ。  この場所は永久に、無償で幸福を与え続けてくれる。  ああ、ソニーク。  俺はお前とずっと一緒にいたかったよ。  「毒薬試飲会」  12.オゾン  アランが眠りに誘われ、まどろんでいた時、ふっと己の耳元に呼気を感じた。そして次の瞬間にこう、大声で叫ばれ飛び起きることとなる。 「アラン、アランの若旦那!!」 「ふぇああぁ??!」 「おんやぁ、奇特なお目覚めの挨拶ですねぇ、アランの若旦那」  アランはようやく目を覚まし、そしてこの場所が今までいた所とは少々異なる事を発見する。確か灰色一色の景色だった場所にいたはずだ。だがここは灰色ではなく、どちらかというと濃いセピア色、否、温かみのある茶色……といったところだろうか。 「……その声、ビルか?」  ここがどこかはわからないが、おそらくハーンを元に戻す場所にはきているはずだ。だってビルから買った道具があるのだから。アランは切符をポケットからは出さずにその感触で存在を確かめた。しかし、トレインはいったいどこに、いつ来るのだろうか? 肝心な事を聞いていないことにいまさら気付い...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 020

11.DES 下 043  イライラするったら!  もう、思い通りにならない世界なんて、変えてやる!  その労働力は労力に見合わないって?  ハン!  そんなことないわ。  自分がもっとも生きやすい、愉しみやすい環境作りをするために、  人間は生きているんじゃなくて?  「毒薬試飲会」  11.DES 下  御狐さまに追いやられて、黒白の両面はどんどんチェシャ猫を救出しようとしている不思議の国の住人から離されていった。心の中で舌打ちを一つ。  対峙する美女の両手に握られる大きめの羽扇。右手は白色、左手に黒色の双子扇とでもよべばいいのか、まったく同じデザインのもの。その扇が編み出すのは衝撃波だけではない。そのことは一緒に過ごしていた経験が物語っている。  小手調べでもしているのだろうか。聞こえていないとでも思っているのだろうか、その心の声が。 「老いたのかしら? あなたの技量はこの程度ではなかったはずだけれど?」 「まぁ、記憶力だけはよいことで、何より」  にっこりと笑うその顔から放たれるのは、一般人なら即死の領域にある攻撃。 「だって、あなた今本調子じゃないでしょう? だから、手抜きさ...
毒薬試飲会

毒薬試飲会 019

11.DES 中 041  メルヘンチックなこの場所で、  殺意と悪意を練り合わせて最高のスィーツを  さあ、召し上がれ!!  あなたとまた悪夢で出会えますように。  「毒薬試飲会」  11.DES・中 「ハーンの根幹って言われてもなぁ……」  困り果ててハーンの寝顔というか死に顔を眺めてどのくらい時間が経っただろうか。  ハートの女王が一方的な殺害報告をされてわけのわからない時間を過ごしている。 「困ったな……」  アランは何度目かわからないため息をついた。この事態に転機が訪れなかったら永遠にこのままということは理解できる。この場所から脱する、というか本当に死んでいるのか不思議ではあるが状況を変えるにはハーンをどうにかしなければいけないのだが。 「入矢なら、得意って言ってたな。ってことは、禁術解体って事で、つまりは人形化も禁術ってことになるよな」  アランは人形師でもなければ、禁術使いでもない。しかし禁術という事なら構造さえ理解できれば破壊、もしくは解体できると入矢は言った。  入矢は確かに禁術を使いこなす、という点においては基本を教えてくれた。スペルの組み立て方、構造、禁世の触れか...