
モグトワールの遺跡 006
第1章 水の大陸3.火神覚醒(2)021 駆け込んだ城の中はすでに煙と熱で正直言えばとても居られる状況ではなかった。しかしセダは素早く目的の場所へ行こうとした瞬間、かすかな声を聞いた。「セダ!」 振り返って絶句する。そこには煤にまみれて、汚れた光の姿があったのだ。セダは自分も同じように煤で汚れているのだろうとは感じたが、そんなことは正直どうでもいい。「お前! なんでここに!!」「楓は私が助けるのよ! 私のわがままなの。セダだけには任せちゃだめなんだよ」「だからって、お前なぁ!」 セダが本気で怒って言う。自分がこの炎の中を突っ切ったことすら正気でないと思っているのに、小さな光が後を追ってくるとは。考えなしというか無鉄砲というか。「セダは私や楓のためにそこまでする必要ないの。私が、私の……ごほっ」 光の言葉は熱気と煙による咳で途切れた。セダははっとして舌打ちを一つ。ポケットをあさっていつも身につけている止血帯を取り出すと、短く切り取り光に渡した。ないよりはましというものだ。「それで口と鼻を覆え。煙を吸っちゃダメだ」「わかった」 セダは自分も同じように止血帯で口を押さえるともう片方は光の手を...