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モグトワールの遺跡

モグトワールの遺跡 006

第1章 水の大陸3.火神覚醒(2)021 駆け込んだ城の中はすでに煙と熱で正直言えばとても居られる状況ではなかった。しかしセダは素早く目的の場所へ行こうとした瞬間、かすかな声を聞いた。「セダ!」 振り返って絶句する。そこには煤にまみれて、汚れた光の姿があったのだ。セダは自分も同じように煤で汚れているのだろうとは感じたが、そんなことは正直どうでもいい。「お前! なんでここに!!」「楓は私が助けるのよ! 私のわがままなの。セダだけには任せちゃだめなんだよ」「だからって、お前なぁ!」 セダが本気で怒って言う。自分がこの炎の中を突っ切ったことすら正気でないと思っているのに、小さな光が後を追ってくるとは。考えなしというか無鉄砲というか。「セダは私や楓のためにそこまでする必要ないの。私が、私の……ごほっ」 光の言葉は熱気と煙による咳で途切れた。セダははっとして舌打ちを一つ。ポケットをあさっていつも身につけている止血帯を取り出すと、短く切り取り光に渡した。ないよりはましというものだ。「それで口と鼻を覆え。煙を吸っちゃダメだ」「わかった」 セダは自分も同じように止血帯で口を押さえるともう片方は光の手を...
モグトワールの遺跡

モグトワールの遺跡 005

第1章 水の大陸3.火神覚醒(1)016 人と宝人と動物が全て等しく、全て仲良く暮らしていた時代。人の住む町には宝人と人が半々住み、互いに種族の差など気にせず暮らしていた。 人はエレメントをありがたがり、宝人を敬い、魔神に感謝の祈りを捧げる聖なる場所を作った。その場所は魔神がその大陸に初めて宝人を遣わし、人に恩恵を与えるようにした場所でもあった。その場所は魔神と唯一繋がれる場所と人に信じられ、その場所には神殿が建ち、魔神の信仰の礎となった。 やがてその場所に国が生まれ、その国は神殿と共に魔神の祝福を受けた約束された国となった。 人々はその国を魔人との盟約の国として永久の平和を望んだ。 地上に遣わされた多くの宝人もそれを願い、魔神はそれを叶えたという。 一つの大陸にたった一つの盟約の国。その国は神殿と共に人だけではなく宝人の為、その世界のために常に平和を祈り、平等で、幸せな国づくりを目指すと約束した。 魔神はその想いをサポートする為に、その国を導く王に祝福を授けた。 すなわち、この世界で唯一人と宝人との架け橋となれるよう、双方の力を持つ『半人』という存在を。 各エレメントを持つ魔神はそれ...
モグトワールの遺跡

モグトワールの遺跡 004

第1章 水の大陸2.大国鳴動(3)013 ジルタリアという国に行った事がないのはこの面子の中では光だけだった。 なんだかんだいっても、優秀な成績を残しているセダ達は任務で水の大陸内にはほとんど足を伸ばしている。グッカスなど頻繁に訪れていると思われた。 リュミィは宝人だが、成人しているらしく一人旅をよくしているとのことだった。 光は初めて見る人間の大きな国を見て、きょろきょろと視線を移している。一行は密入国のような形に近い入国をしたのだが、いつもなら首都に行き着くまではない検問がすでに河口に設けてあって、町ごとに検問があって大変焦った。 なにせ自分達人間は身分の証明ができるが、光については考えていなかったのだ。 しかし、そこはグッカスが役人をどうにか言いくるめた。本当に特殊科の授業は何やってんだ、と今ほど突っ込みたかったことはないと後にセダは語る。「今の時期はシャイデとのやり取りが盛んで、もっと町には人がいた気がするんだけど」 テラが寂しげなメインストリートを歩きながら呟く。 ここは城下町。首都に一番近い河口から町を一つ抜けるだけで入ることができ、町の端から城を見ることができるジルタリア...
モグトワールの遺跡

モグトワールの遺跡 003

第1章 水の大陸2.大国鳴動(2)010「うわー、これじゃ一歩進むたびにうんざりするな!」 セダはそう言って足首まで浸かってしまう泥だらけの道ですらない場所を踏み分ける。 船で降り立った場所は確かに沼地と呼ぶに相応しい、水気たっぷりの土であった。川がすぐそこで流れていることもあり、足が一歩踏み出すごとに沈む。光に言われてブーツでない靴を履いているものは靴をすでに脱いでいた。 幸い害になるような生き物はいないらしい。生々しい土と水の感触がセダの脚をくすぐるが、その感触は優しい。水がもう少し温かければそこまで苦しい道のりではなかろう。 鍛えられた武闘科なだけあって根を上げるものはいないが、歩きにくい行程は人間には苦しかろう。そういう意味でも隠れ里なのだと思われた。「で、隠れ里はどの辺だ?」 グッカスが問う。「うん、ここから遠くないはずだよ」 光はそう言って背の高い草を掻き分ける。それにしても人間が立ち入らないからと言ってこんなに深い林のような草木に囲まれるとは思っていなかった。見たこともないような、しかし姿から葦のような植物に囲まれている。大人をゆうに越す背丈の草木だった。 獣道ですらなく...
モグトワールの遺跡

モグトワールの遺跡 002

第1章 水の大陸2.大国鳴動(1)005 はじまりのこの地は、なにもなかったという。神はそれをさみしく思ったという。 神は己が最初何かすら知らず、さみしさからか、はたまた己の理解しえない義務感からか、原初なるこの世を作りだすことを行った。 何もない空間に、導となるものが必要だ。すなわち、まず神は光のエレメントを配置した。第一のエレメント、光である。 その時同時に光に照らされて出来た影。それに気付いた神が無の空間に最初からあったことに気付いた闇を第二のエレメントと定めた。 神は己の意志を持って初めてこの二つのエレメントを創造した。光と闇。二つは対象とされるが、個の成り立ちもあって、二つの力が同一のものとされる。 次に神は吐息を吹きかけ、昼と夜を交替に来るようにエレメントを動かした。二つのエレメントを動かし、全てを鳴動させる第三のエレメント・風である。風のエレメントが自由を意味するのはこのためだとされる。 そして次に神は動かぬものも必要と大地を創造し、第四のエレメント・土が生まれた。 これで光と闇、大地と大気が生まれた。しかし神は一人きり。何が足りないのか。最後に命を育むために涙を一滴こぼ...
モグトワールの遺跡

モグトワールの遺跡 001

第1章 水の大陸0.―プロローグ―000  神は人間を創造し、人間に住みかを与え、その生活を見守った。 人間は弱く、その代わりに神から知能を授かった。 神は体が弱い人間のために地上にある6つの自然のエレメントをこれからの生活に役立てるようにと新たに与えた。 神は人間を愛しんだ。 しかし人間は新たに授かった力をその知能をもって生活に役立てることはしたがそれ以上に悪用し始めた。人間はエレメントを用いて殺し合いを始めた。 神は嘆いた。 嘆きに果てに神はエレメントどころか人間に与えた全ての物を取り上げた。 人間は己の過ちをやっと省みた。 生活の苦しさにもがき、呻いて、人は神に許しを請い、慈悲を願った。 神はそれを聞き入れた。 神は人間だけでなく己の過ちにも気づいた。神は嘆きに支配され、人間に苦痛を与えたことを後悔したのだった。弱き人間になんという仕打ち。神は己の大いなる過ちに気づいた。 神は自分の体を6つに分け、それぞれにエレメントの管理を任せた。それぞれの神はその力を持って弱き生き物に苦痛を与えることがないよう、自我を持たず、ただエレメントの管理をするだけに己を律した。 分けられた神々はもと...
モグトワールの遺跡

モグトワールの遺跡 登場人物紹介

登場人物紹介【主要キャラ】■ セダ=ヴァールハイト18歳・男・人間・金髪・蒼眼(魂名:セファルダルク=ヴァールハイト)水の大陸 テトベ公共地 セヴン黒スクールの武闘科長刀武器専攻の主席生。楽天的で後先考えないが、なぜかうまく事を運ばせる、人生舐めてんだろ、お前、な人間。捨て子でセヴンスクールの敷地内に捨てられていた所を学園長に発見され、保護された後、セヴンスクールで育つ。なぜか生まれた時から刺青が彫られており、身体が成長すると共にその刺青も増えるという奇病を持っていたりするが、やはり本人は気にしていない。■ テラ=S(シード)=ナーチェッド18歳・女・人間・茶髪・青眼(魂名:テルルラーシェ=シード=ナーチェッド)水の大陸 テトベ公共地 セヴン黒スクールの武闘科弓道専攻の第3次席生。セダとは青のスクールからの幼馴染に当たり、楽天的な彼と共に行動している苦労人。頭もそこそこよいが、変なところで熱血で世話好き、おせっかいなところがあって、そこはセダでさえ付き合いきれない。■ ヌグファ=ケンテ19歳・女・人間・緑髪・黒眼(魂名:ヌギグラーファ=ラス=アテ=ケンテ)水の大陸 テトベ公共地 セヴン...
モグトワールの遺跡 小ネタ

モグトワールの遺跡 キャラ紹介イラスト

セダ&テラキャラ紹介イラスト第1弾。セダと幼馴染のテラ。ヌグファ&グッカスドジッ子魔法少女ヌグファと火の鳥グッカス。リュミイ&光&楓宝人組です。ジル&ヘリーシャイデ組。三の王ジルと四の王ヘリー。イェンリー&ランタン拍手とランタンはかなり異なりましたが、あれは予告だからと逃げてみる。キュヴィエ&エウロ土の大陸編第2章から出てくる敵役。キュヴィエ=リンネとエウロ。
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I will be with you

自分の隣にいた人が突然いなくなってしまったら世界のために死んでしまうと知ったらあなたなら どうしますか――?I will be with youI will be with you あとがき■ 目指したのは現代モノの恋愛マンガでした。予定では! ……でもできたものは意味不明なマンガになってしまい、スイマセン。これは私が中学生の時に傘は凶器だと思い込んだところからできた少年マンガっぽくしたかった話です。いろいろ設定に無理があり、わからないことだらけで申し訳ありません。■ 氷室麗花:美人が描きたかった+大人の恋愛が描きたかったんです■ 鶴丸:巫は女、覡は男を指します。この二つを総称して巫覡(かんなぎ)です。巫女さんみたいな存在で、彼は人間ではありません。でも雨魔でもないんです。高尚な妖といったところです■ 唯凪:鶴丸の双子という設定。彼女含むあちらの世界の住人は能力を耳飾にしてためるという設定があり、力を示すために鶴丸と唯凪の耳飾の数は一緒にしてありますが、鶴丸が一個足りないのは、探してください。見つけやすいです■ 本郷タケル:話を考えた時にはコイツが主人公でした■ 空木セツナ:決して00...
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0番のTEXT 裏話

0番のTEXT あとがき さすがにあれで終わってはダメか、と思い輝血さんの言うとおり、無理やりなお手紙終了を作ってみましたが、こんなんじゃわかんねーよ(怒)という方がいらっしゃいましたら、簡単な設定とあらすじを記しておきますので、「次へ」をクリック!