モグトワールの遺跡 モグトワールの遺跡 014
第2章 土の大陸1.男装少女と女装少年(3)054 うなだれるミィをなんとか促して一行はキィを取り戻すという作戦の失敗感を抱いてヴァン家の屋敷に戻った。 ミィの様子を一目見て、執事の青年が無言で一行に一礼し、ミィの肩を抱いて奥に引っ込んだ。それに入れ替わるようにして、別の青年が一行の前に現れねぎらってくれた。食事や扱いは今までと同じように賓客の扱いだが、そこに明るいミィの笑顔がない。それだけで太陽が陰ってしまったように一行には一抹の寂しさが募るのだった。 翌日になってミィが一行に今まで見せていた姿とは別の姿で現れた。身体のラインがくっきり出るような詰襟の服は、今までと襟の合わせが逆になっている。美しい花々の刺繍が施された服。それは先日会ったエイローズの当主と比べてそん色ないものだった。 身体のラインが露わになった事で胸のふくらみや女性的なくびれがさすがのセダや光にでもわかる。「今まで騙していたみたいで、ごめんね」 うっすら泣いた後が薄い化粧の上からでもわかる。「改めまして、ミィ=ヴァンです。御覧の通り、女なの。光にも嘘をつかせてごめんね」 ミィが力なく微笑むので、光が慌てて首を振ってい...
