モグトワールの遺跡 012
第2章 土の大陸 0.―プロローグ― 046 これは昔々のお話です。まだ私たちの住んでいた土の大陸が一つの国にまとまっていない時のお話。 この頃、土の大陸には大小様々な数多くの国が在りました。いいえ、国と云うのは少し不自然かもしれません。多くの集団があったと言った方が正しいでしょう。その集団は時には衝突し、時には手を取り合って暮らしていました。 在る日、この土の大陸を守護している魔神さまが、人々に向かってこう言ったのです。 ――他の大陸に倣い、我もこの土地に我の守護を約束する国を定めたい。 人々はそれを聞いて目を輝かせました。魔神の守護を得られれば、少なくとも災厄に怯えることは在りません。 ――ただし、我が守れるのは一国のみ。証明せよ。我が護るに値する国を。その証に我が永久の守護を約束するものとしよう。 つまり、魔神が認める国を決めろ、ということだったのです。そして、大小様々な集団は魔神に我こそが守護されるにふさわしいと、活動を始めました。 とある集団は、富を。 とある集団は、権力を。 とある集団は、武力を。 とある集団は、民を。 とある集団は、知識を。 富、...