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0番のTEXTEpisode.101: 橘 快人の呟き ――俺にとって、兄貴は光だった。 母の、そうだ。母さんの話をしよう。俺が13歳、いやもうすぐ14歳のときに俺は母さんを亡くした。事故だった。母さんは最後まで俺と会話をすることもなく、しかし微笑みながら静かに病院で息を引き取った。 俺は悲しんだし、途方に暮れた。なにせ、俺には母さんしか家族がいなかったからだ。父は俺が小さいときに離婚して消えた。写真はあるが印象はほとんどない。 これからどうするのか、俺はお医者さんが連れてきた市役所だから児童施設だかの大人に連れられて初めて母さんの親戚というものに会った。 母さんは一人立ちするときにほぼ絶縁状態になったと言っていたのでいたことすら、初耳だった。葬式だけは母さんの兄だという叔父が勝手に喪主となり形だけのものがあげられた。 まぁ俺は子供だったし、知識もないから任せる他なかったがせめて母さんの好きな曲くらい流してやりたかった。 そして俺の引き取り先は揉めに揉めた。母さんは貧乏ではないが裕福でもない家に生まれた。幼い頃に習い始めたヴァイオリンだけが特技で好きな事。 バブル時に始めたヴァイオリン...