TINCTORA 009
9.集いの裏側 027 「やぁ、なかなか楽しいことになっているようだね」 「そういう問題じゃないんだけどね。まったく、こっちは気疲れが増すよ。」 ホドはそう言ってため息を吐いた。対するコクマーは楽しげに笑っている。 「まぁ、これから僕は会議に出てくるから、後のことは頼んだよ。あ、くれぐれも、遊びは厳禁! ビナーがいればよかったのに、なんでこういうときにコクマーしか残ってないんだろう」 「おや、心外だね。私だって仕事はちゃんとこなすとも」 「仕事はこなしてくれるだろうさ。自分の遊びを交えてならね」 ホドは牽制のつもりで言ったのだが、何せ相手がコクマーだ。聞いている様子ではない。 その証拠に黒い影を残しながら、笑い声をホドの耳に響かせてコクマーは消えた。 「ま、いいか。僕も帝都に行くんだからなかなか会えないレナとの甘い時間を過ごしてこよう」 ホドはそう言って自分を慰めて書斎の扉に鍵をかけた。 「では、僕の代わりをよろしく」 扉の外で控えていたケセドに伝える。 「了解いたしました」 表情を変えずに事務的にケセドは答えた。 キラは考えていた。困ったことになったと。ナックはキラのせ...