作者(以下N):これはリクエストにお応えすべく無依が作った透明水彩で描いた絵のメイキングになります。見たい方はどうぞー。
ホド:ってこれ、血飛んでんですけど…
N:いや、無依といえば血痕のつけ方とか見たい方いるかなって。
ホド:いらない気遣いだよ!というわけで、そういうのが苦手な方は見ないで輝血さんのを参考になさってください。作者より超すげーメイキングですから。(※現在輝血のサイトではメイキングを公開しておりません。)
道具用意
N:おっけーですか?血痕ゲヴラー見ても平気な方ですね?では、説明を始めましょう。
私使っている画材は右のようなもの。24色の全芯色鉛筆です。筆は主に透明水彩用の細いものです。
あと今回は普通平筆。背景に平筆を使っています。普段は平筆は使いません。塗る面積が多いと使ってみようって気になります。
緑色のは100均のカッターマットです。作者の机の上はボコボコしていたり、潜んでいる消しゴムかすに惑わされないように使っています。
ペン入れは同じく100均のマルチライナーもどきペン。水性ですが、水ににじまない優れものです。0.1とか0.3をよく使っています。透明水彩を塗り終わったあとはにじみの心配がないので、普通の黒ボールペンやHI-TECを使ったりします。シャーペンは適当。0.5でHBがほとんどです。
紙はこだわっていません。普通のコピー用紙。ただ水をつけすぎるとしわしわしたり、破れやすいです。え?スケブは使わないのかって?
ホド:作者は金がないんだ。
N:まぁ、スケブのような厚い紙だと水張りをしなきゃいけないのが面倒ですしね。作者は基本的にお金をかけません。“芸術は食費を削ってでも”っていうのがセオリーですが、作者は何事もけちって使う主義、あるもので済ませる主義ですから。
0.構想
N:まず、もへもへしてください。
ホド:もへもへ?
N:絵を描くには妄想が一番、好きなだけ具体的イメージを沸かしてくださいってこと。描きたいって思うものをできるだけ具体的な自分のイラストにしてみてください。私個人の意見としては絵を描くときは、その絵に合った音楽を聴くとノリますよ。今回は私はアリ/プロを聴いてました。おかげでいい血痕描けました。
ホド:おい
N:ちなみに、今回は背景に凝ったので構想みたいなのありますが、普段、作者は構想ありません。そのままなんとなく下絵ですよ。
ホド:輝血さんに触発されただけでしょ。普段の落書きのほうがもっとましな絵です。
N:ご覧なればおわかりかと思いますが、人物の表情はほとんど変わりません。一筆してそのままですね。
1.下絵
N:いつも描く落書き絵などがこの程度。ここから普通始まります。
ホド:構想とは違って首落ちていたり、服着てたりしますが、ご覧の通り、下半身適当ですねー。
N:私は「適当主義者」です。だから、きっちり下絵を描くこともあんまりないです。その場のノリで描く感じですね。今回は後ろの女性は石像をイメージしていまして、壊れた石像(壊したのはゲヴラーか…?)の上に座るゲブラーです。今回は結構時間かかったほうで、ゲヴラーと天使の翼が皮肉って感じにしたかったんで(ちょうどゲヴラーから羽が生えているように見えなくも無い感じにしたい)、石像の大きさの関係から、周りに子供の石像を置いて、その頭の上に座らせるとか(描いたらギャグになった)、死体の山の上に君臨させるとか(メイキングなので止めました)やって、面倒になって白紙のまま…と。
ホド:それもどうなんだよ
N:ちなみに下絵はカラーを描くぞと意気込んだ時点で、納得いくまで書き直します。鉛筆の跡が消えないときは必然的に透明水彩かコピックで色つけますね。色鉛筆は跡が出ますので。
2.ペン入れ
N:ペン入れはもー、さらーっと流すように適当に描きます。
ホド:適当ばっかだね。
N:すいません。ただ、下絵のときにある程度線を減らしてます。そうしないとどの線をなぞっていいのかわからなくなるアフォなので。あと、下絵のときに力を入れるのはやはり、顔。顔は真剣に描きます。じゃないと絵そのものが失敗してしまうので。
ホド:他に力入れるとこはないの?
N:場合によっては手とかですね。迷うと絵はそこで流れが止まっちゃうと考えてまして、例えば髪をペン入れするときは多少失敗しても、すっと引かなければ、それは髪に見えない、そう思うんです。だから流れを大事にして適当に。
ホド:いいこと言ってるって思ったのに…適当なんだ。
N:消しゴムかけは一方向からしかかけないようにすると「ぐしゃ」ってなりません。そのとき左手(利き手と逆)でしっかり紙を押さえてくださいね。
ホド:よく見ると右側の脚とか失敗してるよね?
N:はい。失敗して二重になってます。けど、気にしません(断言)
ホド:しないの!!?
N:描いたものはしゃーないし、それに透明水彩ならどうとでもごまかせますので。
3.色塗り1
N:色塗りは人物から私は塗ります。肌、髪、目、上半身、下半身の順でだいたい塗ります。複数人物がいる場合は同じ順で左上から右下にかけて塗っていきます。透明水彩が乾かないうちに色をばんばん塗るので、そうしないと右利きなので手についてしまうんです。普通のセオリーは色が薄いものや、面積が広い場所などから塗っていく場合が多かったと記憶しています。
ホド:セオリーな方法でしないの?
N:する場合もありますが、透明水彩はけっこう色ごまかせるんで、自分の描きなれた方法でやりますね。
ホド:じゃ、その色を塗る順番の基準は?
N:特に無いです。昔は髪から塗ってましたが、最近はこれがしっくりきます。
ホド:色を選ぶ基準は?
N:キャラにあった色を適当に。としか。
ホド:また適当か。
4.色塗り2(人物完成+背景着手)
N:えー、先ほどのをご覧いただければわかると思いますが、最初の色塗りは超適当です。水張りみたいなもんです。薄く(そんなに薄くもないですが)色を加えていきます。そのときに光はどこから射しているかを決めて、その方向は色を塗らないようにして、単色の濃淡で光と影をつくります。ここ塗るぜポイントみたいな塗り方です。
ホド:で?
N:だいたいその上で同じ色を重ねて、濃淡をつけます。瞳は中心を、髪は線で一本一本描くイメージで。つまりゲヴラーの瞳は赤単色、髪は灰色単色です。瞳は光(白い丸)を描いているときは、塗らないよう気をつけて塗ります。このときに眉やまつげが長いキャラはそれを塗りますね。今回は珍しくゲヴラーの髪色と背景が同じ色なので薄く水色を影に加えています。
ホド:背景も入ったね。灰色一色しか塗ってないけど。
5.色塗り3(背景2度塗り)
N:ババン!
ホド:何がしたいんだ!
N:背景灰色単色でここまでできるという自慢をしたかったんです(すいません)。石像なので、影ははっきりと、同じ濃さで描きます。ゲヴラーの下は崩れた石像というイメージなので、適当に灰色を重ねて、筆をぽんぽん、と置くイメージで塗っています。で、石っぽさを出す為に、ここで灰色を飛ばします。
6.色塗り4(背景完成)
N:ドドん!
ホド:そのネタもういいから。
N:てんどんじゃんかよー。
ホド:すいません。さっさと進めろってかんじですよね。
N:仕上げですね。灰色で塗った上に、黒で、石像の割れた、壊れたを表現しました。あと、適当に壊れて何かがうずもれてるんだよってことで、ゲヴラーの下の空白を黒で山を描き、やっとゲヴラーが座ってくれた状態になりました。
ホド:空は?
N:これは曇天を表そうと思って、ウルトラマリンと黒を使って雲っぽい空を作ってみました。平筆を使い慣れていないので、あんまりうまく表現できていないですが。上のほうに薄く黒を塗るだけで距離が出るんですよ。
ホド:これ、塗りムラむっちゃあるけど?
N:基本的に私は塗りムラを気にしません。塗りムラはできます。しょうがないです。なら、それを利用しちゃえばいいじゃーんという考え方です。塗りムラで服のしわを表したり、今回のように雲にしてみたりします。うまくいかないときはそれはそれで油絵とかにそういう技法あるじゃん、と開き直ります。
ホド:どうしようもない。
7.仕上げ
N:最後に血痕を飛ばします。カーマインやバーミリオンが血の色ではおすすめです。透明水彩は血のぼかしがうまく出るのでナチュラルな血痕がかけますよ?
ホド:なに勧めてんの?
N:血痕入りの絵を描くときは血痕は最後に飛ばします。飛ばすのは意外と簡単で、筆と透明水彩鉛筆を直角にクロスさせて、水を筆に良く含ませたら、はじくように筆を勢いよく、鉛筆から叩くようにおろします。すると、筆の方向に向かって血痕のように飛びます。広さや大きさなどは工夫でいかようにもなりますよ。ちなみに血痕を人物には当てたくないっていうときには、私は適当にティッシュとかを上に置いて飛ばしています。
ホド:仕上げってそれだけ?
N:絵によっては血痕を飛ばす前にもう一度ペン入れします。今回はペン入れの後にしました。どこかというと、石像の首だけです。透明水彩は色を私は何度も重ねるので、ペン入れが目立たなくなるんです。すると主線なしではわかりにくい、人物の表情にもっと力をこめたい時にもう一度ペン入れします。
反省
・ゲヴラーのポーズが意味不明。
・普通裸体の女性で頭にベールを被った石像は存在しない。
・シャツの色が水色すぎて白に見えない。靴下はいてない。
・なんか違和感と思ったらゲヴラー正面のイラスト初めてだった。
・石像の手が石像っぽくない。
・空が曇天に見えない。
N:で、一応時間を計っていないのですが、たぶん、構想からペン入れまでが1時間くらいじゃないでしょうか。もっと普通は短いと思います。で、色塗りが2~4時間くらいですかね。そんなにかかっていないときもありますが。で、トータル3~5時間くらいでこの絵は描けてると思います。
ホド:ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
N:本当にありがとうございます。ただ、無依は素人ですので、あくまで参考や冷やかし程度でお願いします。自分の描きなれた方法で描くのが一番楽しいと思いますよ。