第1章 水の大陸
0.―プロローグ―
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神は人間を創造し、人間に住みかを与え、その生活を見守った。
人間は弱く、その代わりに神から知能を授かった。
神は体が弱い人間のために地上にある6つの自然のエレメントをこれからの生活に役立てるようにと新たに与えた。
神は人間を愛しんだ。
しかし人間は新たに授かった力をその知能をもって生活に役立てることはしたがそれ以上に悪用し始めた。人間はエレメントを用いて殺し合いを始めた。
神は嘆いた。
嘆きに果てに神はエレメントどころか人間に与えた全ての物を取り上げた。
人間は己の過ちをやっと省みた。
生活の苦しさにもがき、呻いて、人は神に許しを請い、慈悲を願った。
神はそれを聞き入れた。
神は人間だけでなく己の過ちにも気づいた。神は嘆きに支配され、人間に苦痛を与えたことを後悔したのだった。弱き人間になんという仕打ち。神は己の大いなる過ちに気づいた。
神は自分の体を6つに分け、それぞれにエレメントの管理を任せた。それぞれの神はその力を持って弱き生き物に苦痛を与えることがないよう、自我を持たず、ただエレメントの管理をするだけに己を律した。
分けられた神々はもとの神の意思を継いだ。分けられた神はもとの神との区別をつけるために、自らを魔の力、エレメントを受け継ぎし神として、魔神(まじん)と名乗った。エレメントを魔の力としたのは、争いの原因であったためだ。よって人間にエレメントを返してはならないとも知っていた。それでも弱き人間にエレメントの力による恩恵を授けてやりたいとも考えた。
それぞれの魔神はそれぞれ新たに人間を創った。
エレメントをそれぞれの人間に与え、管理させるようにして、間接的に人間にエレメントを与える事にしたのだ。魔神が創ったエレメントを管理する人間はもともといた人間と共存し、もともといた人間は神と魔神の慈悲を前にありがたがり、それぞれのエレメントを持つ人間を宝を持った人、すなわち宝人(ほうじん)と呼んで敬愛し、神と魔神に祈りを捧げた。
それでも魔神たちは心配だった。
これから魔神たちはエレメントを管理するだけのモノとなる。自我を失った時、再び人間がエレメントを悪用する時が来たならば、ただ滅ぶしかないのか。
だから魔神はその時に向けて、自我を持つ魔神を復活させる仕組みを作った。
人間が再びエレメントを手に戦うならば宝人はエレメントを集結させて魔神を創造する。
再びの時が来た時、人間に与えられる慈悲はない。
だから己を律せよ。
『創世記より』