第1章 水の大陸
2.大国鳴動(1)
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はじまりのこの地は、なにもなかったという。神はそれをさみしく思ったという。
神は己が最初何かすら知らず、さみしさからか、はたまた己の理解しえない義務感からか、原初なるこの世を作りだすことを行った。
何もない空間に、導となるものが必要だ。すなわち、まず神は光のエレメントを配置した。第一のエレメント、光である。
その時同時に光に照らされて出来た影。それに気付いた神が無の空間に最初からあったことに気付いた闇を第二のエレメントと定めた。
神は己の意志を持って初めてこの二つのエレメントを創造した。光と闇。二つは対象とされるが、個の成り立ちもあって、二つの力が同一のものとされる。
次に神は吐息を吹きかけ、昼と夜を交替に来るようにエレメントを動かした。二つのエレメントを動かし、全てを鳴動させる第三のエレメント・風である。風のエレメントが自由を意味するのはこのためだとされる。
そして次に神は動かぬものも必要と大地を創造し、第四のエレメント・土が生まれた。
これで光と闇、大地と大気が生まれた。しかし神は一人きり。何が足りないのか。最後に命を育むために涙を一滴こぼし、それが広がって雲となり、雨とをなりやがて命を生む礎となる。これが第五のエレメント・水。
そして命を育むに必要な温かさ、大地を、否、全てを動かすための力となるよう生まれた最後のエレメント・炎である。
六つのエレメントが生まれうまく機能したとき、全てが複合され、融合され、そして世界が開花した。これが原初の世であった。