パンクヒルズ5兄弟インタビュー

小説

パンクヒルズご兄弟インタビュー

その1 長男が見る弟たち。 長男 ルードヴィヒ・パンクヒルズ

 >インタビューにお答えくださって感謝します。かの名門パンクヒルズ家ご長男、ルードヴィヒ・パンクヒルズさんにお越しいただきました。さっそくご自分についてどうぞ。

 まぁ、我ながら私は優秀だと思うよ。名門パンクヒルズ家の長子たる責務を存分果たした地位にはいると思うし。地元でも結構古い血筋でね、私の家系は。だからこそ、親父さまは結構張り切っちゃって。私は親父さまの望むように昔から学問も武術も叩き込まれて育ったよ。でもある日気づいてね、ああなんてつまらないんだろうって。
 実は私、天才って奴だったんだね。あれ、いやみに聞こえる? まぁまぁ仕方がないのさ。そういうもんなんだよ。天才って。で、やれるところまでを求めたわけさ。そうしたら軍の最高部隊に選ばれたわけさ。幹部にもなっちゃったし。最年少だとか、この街の誇りだとか言われたけれど、私としてはただ、自分がどこまでいけるのか見てみたいだけだったんだよ。
 今は武術一本に絞っているけれど、学問のほうもどうなるかやってみたかったな。学問も飛び級の飛び級で、国家に名を残す論文を何本か書いたら飽きてしまったのさ。だから、今はどれだけこの軍隊の最高舞台で、武術を志す全ての人間があこがれるという舞台でどれだけ出来るか試しているのさ。
 え、飽きたらどうするのかって? さぁ? 今度は敵に回ってみるとかね。で、どれだけ国家を傾けられるか試すんだ。面白いと思わないかい? おぉっと、今のは内緒で頼むよ。一応まだ死にたくはないんだ。
 違うよ。いくら天才の私でも上には上がいるもんでね、隊長とかにはまだ勝てないんだ。だからこそ、面白いわけだけどね。なんか、王家の人たちは隊長よりずっと強いんだってさ。いつか手合わせ願いたいもんだよ。
 え? 戦闘狂じゃないかって? 私が? そんなことはないさ。確かに自分に限界を見るというところでは、そうかもしれないが……一応一般人もできるんだから、普通に。

 >次男についてどうぞ。

 あぁ、ザックかい? あれにはちょっと申し訳ないことをしたよ。なんてったって、ザックだって中央軍に入れるんだから、何年に一度かという逸材だと思うのに、兄の私がいたばかりに、自分を追い詰めていて。まぁ、まじめなんだろうね。私は基本的に私のことだけでいいからね。だから、親父さまがなんと言おうと家督はザックに継いでもらいたいな。そのほうが私は永遠にやりたいことをできるし。一応、ザックの面も保てるだろう?
 だけど。あれだよ。あの威嚇みたいに、「打倒! 兄!!」は止めて欲しいねぇ。いや、ほほえましくはあるんだけれど、時々うっとおしいんだよね。それに才能はある、努力もしている。でも、ザックが私に敵う日は来ない。たぶん。だから、無駄なことは止めて、さっさといい女でも見つけて、家督をついで平和に幸せに平穏に暮らしてほしいよ。ザックは基本にまじめだから、家督を継ぐのに一番だと思うのさ。
 え? 私? 無理無理。この才能のせいかどうかわからないけど、基本的に自己中だからね。

 >三男についてどうぞ。

 カストルかい? あいつは何がしたいのかわからないでもないね。あいつもあいつでまじめなんだろうねぇ。だって、家督を継ぐのが私かザックが継ぐともう理解している。だからこそ、あんな方向に進んだんだろうねぇ。まったく、馬鹿だよ。恥でも私とザックが優秀であって、武術の道に進んだって誰も反対しやしないのにねぇ。きっと比べられることに耐えられなかったんだろうさ。目がさ、武術したいっていってるんだよね。でも、誰も気づかない。いや、気づいたフリをしないのさ。だから、芸術の道に進んだのさ。
 負け犬? そんなことはいわないね。賢い選択だとは思うよ。私は絶対しないとは思うけれどね。所詮、武術で成り上がったパンクヒルズ家だ。みんな武術に進みたいんだろうね。でも、いいんじゃないか? カストルはあの年で神童とうたわれるほどに才能溢れる芸術家になったのだから。このまま幸せになって欲しいと思うよ。

 >四男についてどうぞ。

 テッドについては私は一番理解できないね。なにせ、私にあこがれて、都市軍に入ったというんだから。でもね、私の言い分も聞いておくれ。テッドが生まれたとき、私はすでに軍に入っていて、兄弟というよりかは従兄弟みたいな親戚のような感覚で……里帰りしてみたら、生まれてたって感覚なんだ。
 だから、いまいちわからないんだよ。おそらく話した回数も数えるほどしかないだろうし。だから、いっそ何故私をあそこまで敬愛して、努力しているのかが私には理解不能だね。それに一応、ザックに比べると才能のない愚弟なんだなぁ。だから私にとっては興味はまったく沸かないよ。私にとって、今一番どれだけ私の興味があるものに近いかということが重要なんだ。一番印象が薄い弟ではあるね。と、いったらやっぱり申し訳ないだろうねぇ。
 でも、きっと究極の状態のときに一番に切り捨てるのはテッドかもしれないなぁ。ほら、誰かが言っていただろう? 理解と尊敬は逆だってさ。ま、私達に迷惑にならない程度に頑張ってくれればいいよ。

 >末弟についてどうぞ。

 イオンかい? あの子は最もわからないね。ただ、テッドと違うわからなさなんだ。
 テッドみたいに行動は理解できるが、そんな考え及ばないっていうのではなくて、本当になに考えているかわからないんだよ。テッドのときにも言ったけれど、親戚みたいな感覚だろ? たぶん、あっちもそう思っているんだろうね。あいつは私を見る目が他人だよ。
 だから私に縛られているようには見えないね。親父さまは僧侶の道を用意していたみたいだけれど……確かにあいつは予想外だよ。まさか私をも超える存在になったんだもの。誰にも実力を悟らせないで、ね。
 ああ、でもよく思い出せばあったな。いつぞやの日、あいつが珍しく剣を持っていた。私は影からそれを見ていた。そうしたら、イオンはきっと私の型を見ていたんだろう。伝統の大技の型を完璧にこなして見せたな。ザックより見事なものだった。驚いたよ。それで末弟の存在を記憶に残したんだけれどね。面白いのがそのあとでね、「ふーん。こんなもんか」ってそのまま。そのまま武術を手放したんだよ。
 あいつだけはパンクヒルズの血を引いていないのではないかと思ったほどだったよ。ま、あのルーヴィッヒ皇子直属の騎士になっちゃったくらいだから、やはり血は争えないのかねぇ。……あ、いいことを思いついたよ。武術に飽きたら血筋による才能と適正なんてのを調べてみてもいいねぇ。

 >次回のインタビューはパンクヒルズ家・次男。アイザック・パンクヒルズさんの予定です。

その2 次男が見る兄弟たち。 次男 アイザック・パンクヒルズ

 >インタビューにお答えくださって感謝します。かの名門パンクヒルズ家次男、アイザック・パンクヒルズさんにお越しいただきました。前回はお兄様であります、ルードヴィヒさんがお話くださいましたが、アイザックさんからはどのようなお話が飛び出すのでしょうか。ではお兄様である、ルードヴィヒさんについて一言。

 おまえは、あれか。おまえも俺と兄さんを比べているのか。どちらが優秀かと。
 ふん、わかっている。だがな、いつか、俺は兄さんを越えてみせる! 確かに兄さんは優秀だった。今の俺の年齢の時には軍で少佐の位をいただいていた。だが、私は軍曹の位だ。いや、違う。不当な扱いを受けているなどと思ったことは一度としてない。俺の実力が伴っていないことくらい、重々承知だ。おまえ達一般人は知らないだろうが、兄さんクラスの武人は、はっきり言って人間じゃない。考え方そのものが人間と違うんだ。いや、すまない。自分の弱さに言い訳を言っているようにしか聞こえないか。
 兄さんも父さんも俺を哀れんでパンクヒルズの当主にすえようとしてくれているようだが、まったく持って俺はそれを是としない。武術で成り上がったパンクヒルズにおいて、当主は一番力を持つ、兄さんが継ぐべきだと俺は考える。俺が当主となるのが許されるのは、兄さんを超えたときだけだ。そうでなければ、一番おろかな当主と成り下がるだろう。
 それに一生中央軍に従事する人生が悪いものだとは思ったことがない。軍とは己の実力を試す場だけではない。か弱い市民を暴虐の徒から守るこことこそ、本当の軍だろう。俺が強ければそれだけ市民が安心して、平和に過ごせる日々を送ることが出来る。それに増した幸福はないだろう。そのためにも、俺は己を鍛え続けていたいと思う。

 >それでは、ご自身についてどうぞ。

 うむ。まだまだ不出来な面が多いと感じているところだ。兄さんを超えたいとは日々思い、それを目標にしているが、そのままでもいけないのではないかと最近思う。なにせ、俺が所属している部隊にも優秀で、強い方は大勢おられる。兄さんこそ、今強いが、兄さんだけを己の目標としていては視界が狭まるばかりだと感じ入っているな。
 それに軍とは上からの命令にただ従っていればいいだけではないことを最近、大佐から教えていただいたばかりだ。確かに命令を遂行できないような軍は軍とは呼べない。だが、不当な政治の元の軍隊は軍ではないという言葉は深いものだった。
 なればこそ、私もパンクヒルズという家名や、己の地位、保身などにこだわらず、むしろそれを忘れる気持ちで市民のために働く所存だ。

 >では、三男のカストルさんについてどうぞ。

 カストル。あれは愚かな弟だ。父さんの期待、そして母さんの期待を裏切り、武術の道をはずれた、とんだ遊び人だ。芸術の道? 確かにいろいろ評価はされたようだが、軟弱な道に逃げたという事実は変わらない。パンクヒルズ家ならば、武の中で生き、そして死ぬべきだろう。
 それにカストルは三男だ。もし、戦争が生じたら、真っ先に中央軍に所属する俺と兄さんは戦場に行く。そのとき、二人とも死ねば、カストルがパンクヒルズ家を継ぐことになる。そんなときに軟弱なままでは困る。この名にふさわしい戦歴と実力を兼ね備えるべきだろう。
 今からでも遅くはない。俺も中央軍に従事しており、なかなか面倒を見れないが、首都に出てくればいくらでも稽古をつけてやろうと思っている。

 >四男についてどうぞ。

 テッドか。あいつは歳の離れた弟で、武術を志す誠実な弟だと思っている。真面目で、とてもいい奴だ。実力は伸びていないようだが、あの努力ならば、俺のあとに続くことも可能だろう。まぁ、あいつは兄さんを慕っているようだからな。いいことだろう。
 久々に里帰りすると、いつも剣の型の教えを請うような勤勉さもある。学校でも成績はよいようだし、人間関係に問題もない。自慢できるパンクヒルズの男であることに間違いはない。これからももっと精進して欲しいと考えている。
 ただ、そうだな。上がカストルのせいもあるが、あいつに比べて無趣味というか、私的な興味関心があまりにも薄いことは少し気がかりだな。女性関係もないようだし、武術以外に興味がわかないといっていた。まぁ部屋に兄さんの写真を飾っていたときは少し驚いたが、尊敬……いや、敬愛か。兄思いの弟だな。俺もあそこまではいかないが、武勲を立てて、テッドにふさわしい兄であろうと努力し続けなければいけないな。
 あいつにはいつも自分が落ち込み、後ろ向きの考えをしているときに、学ぶことが多いな。あのやる気と努力は誰にも負けないテッドの才能だと俺は考えている。

 >末弟についてどうぞ。

 ……イオンか。あいつは俺にとってわからない部分が多い弟だな。末の子らしくとても甘えっ子で、人懐っこく、かわいい弟であったはずなんだが。気づけば俺より、兄さんより上の位に就いていた。しかし実力という面では、カストルに劣っていたような気がしていたのだが。まぁ、俺は時々しか帰ってこないからな。その間に猛特訓したのだろう。
 不思議なことは、中央軍に所属している俺でさえ王家の方々にお会いする機会はないというのに、いつルーヴィヒ第七王子と出会ったのだろうか。そういえばイオンは俺とあったときもテッドやカストルとは違い、まるで子供から成長していないのではないかと思うくらい、甘えてくれていたのだが。
 男というのはいつ成長しているのかわからないものだな。

 >次回のインタビューはパンクヒルズ家・三男。カストル・パンクヒルズさんの予定です。

その3 三男が見る兄弟たち。 三男 カストル・パンクヒルズ

 >インタビューにお答えくださって感謝します。前回に引き続きかの名門パンクヒルズ家から、三男、カストル・パンクヒルズさんにお越しいただきました。前回からお兄様であります、ルードヴィヒさん、アイザックさんがお話くださいましたが、カストルさんからはどのようなお話が飛び出すのでしょうか。ではご長男のルードヴィヒさんからについて一言お願いします。

 やぁ、こんにちは。う~ん、愛らしいインタビュアーの方だね? ん? 僕の作品じゃなく、家族について聞きたいのかい? それもルー兄貴から?
 ……そうだねぇ……化け物だね! え? 何でかって。だって普通に考えてみなよ? あの中央軍だぜ? しかも最高部隊だぜ? それに加えて幹部でしょ? しかもなったの18歳でしょ? ありえないって。常識で考えてみなよー、なれるってことはさ、化け物だったってこと。そ・れ・だ・け。ルー兄貴よりさ、僕のことについて訊いてよー。う? もうちょっと? しょうがないなぁ。
 そうだな、最初はあこがれてたな。かっこいいし、自慢できるしね。だけど気づいたんだ。ああ僕はルー兄貴ほどの才能がないなって。それにかっこ悪いじゃない。兄貴の武勲を平凡な弟が自慢するのって。だから、俺は違う道に行こうって考えたわけ。
 そういう意味じゃあ……この道に歩ませてくれたルー兄貴には感謝すべきなのかな?

 >次に次男のアイザックさんについてどうぞ。

 ザック兄貴? あー、あの人苦手だよ。なんか俺がこの芸術の道に進んだこと、一人だけ反対っぽいんだよねー。別に親父もお袋も許してくれたんだけどなー。しかもさ、俺、音楽や絵画、彫刻、全てにおいて完璧なんだぜ? ちょっとは認めて欲しいとこよ? あ、そういうんじゃないの。もう俺のことは諦めてほしいわけ。テッドにでもついてりゃいいんだよ。
 ってか、俺、自分が芸術の道にいったのも、ザックの兄貴見てたせいもあんのよ。あの打倒! 兄貴! みたいな、あの熱血な感じがさー、時に滑稽に、ときにむなしくなんの。見ててさ。だから、ザック兄貴みたいになるのだけは、カンベンだったのよ。
 ま、俺が見てもザック兄貴は永遠にルー兄貴には勝てないと思うよ? だってルー兄貴みたいに周りどうでもいいじゃないもん。ルー兄貴みたいに強さだけじゃないから。ザック兄貴。なんだかんだいってお人よしでさ、周りに気を使いすぎなんだよ。その気の回しようをもっと自分を磨くのに使えば少しは強くなるかもね。ま、それができないからこそ、いい人なんだけど。

 >では、ご自身については?

 やっと、俺のこと?
 うん、俺、最高にすげーとは思うよ。だって芸術ってさ、副産物が多いっしょ? 例えばさ、俺がいい曲を作るとすんじゃん。そしたらさ、それを弾く人がいて、聴く人がいて、幸せになってくれたら最高じゃん。確かに戦争なんか起こったら、守るためには軍人は重要。だけど、軍人は戦争ですさんだ心を癒せないぜ。俺はそれを選んだの。えらい?
 ってのは建前かもしんなくって、本当はルー兄貴に武術も勉強の道も制覇されたから、別の残った道選んだだけかもね。
 別にさ、名門家に生まれたからって全員が同じことしなくてもいいじゃん。金持ちならその金を違うことに使ってもぜんぜん問題ないと思うの。だから、俺は自分の好きなことして、みんなにちょっとでも笑ってもらえたら幸せ。で、勝手にかわいい女の子見つけて、別の家住むよ。あんな汗臭くて、剣振り回すのなんか、ナンセンスなんだよ。
 って、考えてんの。

 >では、四男についてはいかがですか?

 テッド? あー、テッドね。ぶっちゃけていいなら、気持ち悪い(笑)
 ルー兄貴の尊敬ぶりは異常。あれ、ルー兄貴に恋してんじゃないのって位。テッドは俺のせいであーゆーやつになっちゃったのかもって思うと、ちょっとごめんって感じ。
 や、俺ね、最初芸術の道に進むこと親父に反対されててさ、無理やり家出したわけ。だから、テッドは俺を見てて、親父を心配させないように、親父の望むルー兄貴のようになろうとでも考えたのかもね。
 なんでそう考えたのかってと、時々、部屋のルー兄貴の写真、睨んでるときあんの。殺気立って。ってことはよ、本人に確認したことないけど、ルー兄貴を敬愛してんじゃなくて、逆なんじゃないかって思うことあんのさ。ザック兄貴以上に打倒! ルー兄貴なのかってさ。
 ま、テッドの考えてることわかんない。あいつ、一番うちじゃ仮面かぶってるよ。イオンといい勝負だね。本心を隠してるかんじひしひしすんだよ。ま、俺ら弟は家督とか心配しなくていいんだから、もっと気楽に生きればいいと思うけどね。

 >では、最後に末弟については?

 イオンね。あいつ、かわいいよ? 末っ子だからね、本と甘やかしたくなんだよ。しかも本人、素直だしねー。楽器弾いてやれば喜ぶし、絵を見せればくれとか言うしね。
 しかも自由奔放だし。そういえば、俺一時期芸術についてイオンに教えたことあったな。あいつもあいつなりに、自分の将来考えてんだろうな。親父も末っ子だから珍しく道を用意してさ。それ蹴ってたけど。ま、わかる。教会の中で生活なんてやってらんねーよ。
 みんな不思議がってたけど、イオンが第七王子のトコいけた理由、俺知ってるし。イオンは異教にはまってたんだよ。ま、俺が異国の作品に夢中になってた時期があってさ、そのときに通ってたじじいのトコもついてきてさ、俺より馴染んでたからな。たぶん、あそこで、盗人のスキルを完璧に習ったんだよ。盗神ってのがある宗教だったからな。あいつ、それで完璧な盗人の技術を習って忍び込んだんだろうさ。王宮は警護厳しいぜ? でもイオンならできなくもないかなって。しかも護衛を一人もつけない孤高の第七王子に目をつけるあたりが超イオンらしい。
 あいつはさ、甘えて表面上普通なのに、本当の顔ってのは、一番自分がいいように暮らせる道を誰よりも貪欲に探してんのさ。そういうやつ。
 ま、かわいい末っ子であることにはかわりないし、楽しく暮らしてんならいいんだ、俺は。

 >次回のインタビューは、四男、テオドア・パンクヒルズさんです。

その4 四男が見る兄弟たち。 四男 テオドア・パンクヒルズ

 >インタビューにお答えくださって感謝します。前回に引き続きかの名門パンクヒルズ家から、四男、テオドア・パンクヒルズさんにお越しいただきました。前回からお兄様であります、ルードヴィヒさん、アイザックさん、カストルさんがお話くださいましたが、テオドアさんからはどのようなお話が飛び出すのでしょうか。ではご長男のルードヴィヒさんについて一言お願いします。

 インタビュアーとしては初めましてですね。今回はどうぞ、よろしくお願いいたします。それにしてもイオンのお友達とは思えないほどに、真面目な方ですね。ご勉学とは、こんなことまでするものなのですね。いや、私は武の道に生きるしか能のない男ですからね。
 ルー兄上ですか。そうですね、とても尊敬しています。私達、パンクヒルズの者は武の道に生きることを定められているようなものでしょう? ルー兄上は長男ですから、その定めを重く思うこともなく、すばらしい実力をもっておいでで、とても尊敬しています。
 いつか、ルー兄上のようになりたいとは思うのですが……私如き、きっと無理ですね。ええ。私、こう見えても己の実力くらいはちゃんと把握しています。それでも、見苦しくともルー兄上を目指さずにいられないのは、むしろ、もう、宿命のようなものを感じていますね。逃げられないんですよ。ルー兄上を追うその運命から。そして、決して追いつけないからこそ、追う価値があるとは思いませんか? だって、もし追いついてしまったら、考えるだけでぞっとします。
 もし、もしもですよ、ルー兄上が手に届く範囲にいて、もし、追いついてしまったら、あまりの失望に私はルー兄上を殺してしまうかもしれない。あ、冗談です。そもそも過程の話ですから、本気になさらずに。

 >次に次男のアイザックさんについてどうぞ。

 ザック兄上も尊敬しています。ザック兄上はとても私にやさしくしてくれるんですよ。帰ってきたらいつも稽古をつけてくださいますし、歳が離れているにも関わらず私にかまってくれるんです。とてもありがたいことですね。
 ただ、私の実力があまりに伸びないので、教え子としてはとても申し訳ない気持ちでいっぱいです。ザック兄上はいつも気に掛けてくれて、おかげで私は学校でも有名人でいられます。二人の兄上がすばらしいですから。
 周囲の反応を私は気にしない方なんです。だって、自分の実力を周りが正確に把握しているだけですし、それは自分が一番わかっていますからね。気にしたりしませんよ。そうですね、だからこそ、ルー兄上とザック兄上はもっと仲良くして欲しいと思います。
 あ、表面上だけ仲が悪いんですかね? ほら、ある程度の実力を持つ者は通じ合うって言いますからね。

 >では、三男、カストルさんについてどうぞ。

 カストル兄上は、ちょっと自由すぎると思うところはありますが、いい兄だと思っていますよ。それにカストル兄上はあの道に進んで正解だったと思います。私は楽器など弾けませんし、絵筆を取ったこともないので、ある意味、昔私と同じように剣を握っていた手から別のものを掴んだだけであれだけのものが生みだせる才能はすごいと思います。違う意味でルー兄上と同じくらい尊敬していますよ。
 それに一番年齢が近いせいもあって、何も話していないのに、ちょっとわかっているのかなって感じる部分多くあります。そのことについて話したことはないですが、まぁ、もし知られていたとしても話す気はないです。私は私、兄上は兄上ですからね。

 >では、ご自身についてはいかがですか?

 ごくごく普通の平凡な男だと思っています。名門のパンクヒルズ家にふさわしくないと感じるほどに。でも、もう私はそれほど若くはないですからね。いえいえ、二十歳近ければ、自ずと自ら自分の限界が見えてしまっています。だからこそ、自分ができる努力はしますが、それ以上になりたいとがむしゃらに頑張る時期は当に過ぎてしまいましたね。
 でもそれを不満足に感じることもありません。私は私。いつまでも平凡でつまらない男として、史実に名を残すこともなく、死んでいくのがふさわしいんです。むなしいですか? そんなことはありませんよ。
 例えば華が美しく見えるのは何故でしょう? それは醜いものが存在しているからです。世の中も常に同じ。対極の存在があるからこそ、人は比較することができます。だから、私は進んで、兄上達が光り輝く存在でいてもらうためにも、影を歩んでいくことこそが妥当だと、そう感じているのです。

 >では、最後に末弟については?

 イオンですか。かわいい弟ですよ。純粋で素直で、そして才能に溢れた将来が楽しみな弟です。イオンは私の相手もしてくれるんですよ。忙しいというのに、やさしい弟です。
 イオンは私には隠さずに教えてくれることが多かったんです。例えば、異教の神がかっこいいと話してくれたこともありますし、教会で暮らすことはいやだ、と言ったこともありましたね。そんなときにどうしたらいいのか、相談相手になっていたみたいなんですよね。
 私は一番兄弟の仲でイオンと一緒にいる時間が長い人間でした。イオンが生まれたときにはすでにルー兄上、ザック兄上は学校に入っていましたし、カストル兄上は一緒に遊びはしたようですが、旅に出るのが多かったと記憶していますし。そういう意味では一番寂しい思いをしているのかもしれませんね。
 え? 私を越したことに不満を抱いたことはないか、ですか? ありませんね。先ほどもお話したように、私は私。イオンはイオンですから。比較するほどのことではありませんよ。

 >次回のインタビューは、末弟、イオン・パンクヒルズさんです。

その5 末弟が見る兄たち。 末弟 イオレイン・パンクヒルズ

 >インタビューにお答えくださって感謝します。最後にこのインタビューを飾ってくださいますのは、名門パンクヒルズ家から、末弟、イオレイン・パンクヒルズさんにお越しいただきました。前回からお兄様であります、ルードヴィヒさん、アイザックさん、カストルさん、テオドアさんがお話くださいましたが、イオレイン、通称イオンさんからはどのようなお話が飛び出すのでしょうか。ではご長男のルードヴィヒさんについて一言お願いします。

 お前さぁ、論文だかなんだかしらねぇけど、その研究内容見返したほうがいいんじゃね? だってさー、「兄弟間における相互認識の差」についてなんてさ、その兄弟が育った環境に左右されてさ、相関性なんて見つけにくいと思うんだよねー。しかも、おれらパンクヒルズ家、結構特殊だし。まぁ、いいけどよ。幼馴染のよしみだからな。
 ルー兄様? うーん。どっちかってと、親戚のお兄ちゃんみたいな感覚かなぁ。だって歳いくつ離れてんだっけな? 十四だっけ? そう思いたくもなるよな、俺が物心つく頃ルー兄様家にいなかったもの。だから聞かれてもちょい困るな。
 そうさな、化けの皮被るのがうまいようでにじみ出ている肉食獣のような気配は消せてない人ってのが俺の印象。意味わかんねぇって、お前。普段はさ、うまいこと、いい子演じてるんだよ。だけど、自分が興味を惹いちゃったり、嫌悪感を抱いたりすると、すぐにそれが隠せなくなっちゃう人かな。そういう意味ではある意味単純。永遠の悪知恵もった子供って感じ。
 噂? ああ、いろいろあったね。それに武勲もすごくあるしね。でも俺は歳が離れているせいか、他の兄様がいたせいかそんなに気にはならなかったよ。ま、いい意味での目の上のたんこぶ。ぜってー超えてやろうって考えた時期もあったなぁ。

 >次に次男のアイザックさんについてどうぞ。

 ザック兄様。……お父様以上に親っぽい兄。そんな感じ。ザック兄様も、ルー兄様と一緒で、俺が物心つく頃はもういなかったんだけど、帰る度に「勉強しているか、強くなっているか」って聞くのね。ね? 出張帰りの父親みたいでしょ?
 ザック兄様とは、僧侶の道を断ったときにだけ、もめたな。カストル兄様のことあって、けっこう覚悟してたし、カストル兄様ほど、自由奔放でもなかったから、俺はそんなには怒られなかったけど。
 ただ、俺が出世したときの、あの呆けた表情は忘れらんないね。祝ってあげたいのに、現実感持ってないってヤツ。でも必死に祝ってくれようとしてさ。見ててこっちが申し訳なくてさー、いい兄だよ、ザック兄様。
 あれ、ルー兄様を直上の兄に持った弟はこうなってしまう見本みたいな人だよね。そういう意味では、期待を裏切らない人だよねー。

 >では、三男、カストルさんについてどうぞ。

 カストル兄様は俺が一番大好きな兄様。カストル兄様のおかげで俺はやっと自分の人生を懸けられるものを見つけられた。カストル兄様には感謝してもし足りない。
 カストル兄様はすごいよ。だって芸術家として名を轟かせているけど、一応武に生きるパンクヒルズ家に相応しいくらいに強いんだよ! それに加えて、ってかそれだけの実力を持ちながら、武を手放して芸術に入ったから、すげーと思う。しかもそこで大成してるわけだし。
 カストル兄様の絵は見ていて引き込まれる。すごい。俺にそこは真似できない。やっぱり、自分の持っていないものを持ってる人ってすごいと思うし、輝かしく見える。
 話変わるけど、カストル兄様が俺にいろんなこと教えてくれた。悪いことも含めてさ。世間のルールも、貴族のしがらみも。普通の教育では教えてくれないこと、カストル兄様が全部教えてくれた。だから、俺にととってはカストル兄様が、「兄様」だなぁってつくづく思うよ。

 >では、四男、テオドアさんについてどうぞ。

 テッド兄様は俺の一番安心できる兄様。ふわふわしてて、なんでも悩み事とか、愚痴とか聞いてくれる。テッド兄様は心が広いよ。それに俺のこと、わかってて踏み入ってこない、そこが一番好き。触れて欲しくないことと、触れなきゃいけないことの区別はちゃんと出来ている一番大人な人だと思ってる。歳もそんなに離れていないのに、たいした人だと思う。
 たぶん、一番、周りを、人を観察してきた人なんだろうなって。みんなが望む自分をちゃんと理解している。それで忠実にそれをこなしてる。だから、ふっとしたときに心配になる。ストレスたまってないか、苦しくないか。だから、俺もテッド兄様は注意深く見ている。俺が不安なとき、励ましてくれた兄様のことだから。誰も気づいていない、テッド兄様の内面、俺だけが注意して見てないと、いつか、知らないうちに消えてしまいそうで。テッド兄様ってそんな儚さがある。一番武が似合わない優しい人。あの人は、テッド兄様だけは、パンクヒルズに生まれてこなければもっと幸せだったのに、ってそう思う。
 だからこそ、もっと自分を大事に出来る生き方を見つけて欲しい。

 >では、最後にご自身についてどうぞ。

 俺? 俺か。客観的に俺ってどうなの?
 末っ子の立場からすれば、甘えん坊だし、でも公式の立場で言えば一番上の階級にいるわけだし。それはね、兄様たちを利用したとか、学んだわけじゃないしね。兄弟っていう観点から、俺の実際像は結びつきにくいよ。
 俺は、後悔はしないの。失敗したら、落ち込んで、反省することはあっても、後悔はしない、それが俺のモットー。そうやって生きてきたの。それを考えるようになったのが強いて言えば兄様たちのおかげかな?
 ……と、こう言っておけば、お前の論文はうまくまとまるか? 俺、すんげーいいやつ。ってかさ、兄弟で相関取りたいならさ、俺たちじゃなくて、もっと違う兄弟探せよ。
 あ、ルー王子紹介してやろっか? あそこは十六人兄弟だからな、すげー論文書けるかもしれないぞ? ってか、本になって出版できるぞ。その代わり印税七割王室に入るけどな。そんなことできねーって? ふふん。じゃ、騎士である俺様が、気が向いたら頼んでやるよ。
 そうだ、もし、暇ならお父様とかお母さまに俺ら兄弟のこと聞けば? 両親が一番子供全員を平等に見ていると思うからさ。参考にしてみろよ。じゃ、俺、そろそろ王子の子守に行くからな、はいはい、確かに王子は俺より年上です。子守じゃだめね、見張り。それでいいだろ? じゃーな。

 >というわけで、最終回を予定していましたが、延長して次回のインタビューは、パンクヒルズ家御当主にして五兄弟の父君にあらせられます、バッカス・パンクヒルズさんです。

その6 父が見る息子たち。 父 バッカス・パンクヒルズ

 >インタビューに御協力くださり、感謝します。このインタビューもご理解のあるパンクヒルズ家の皆様のおかげで、新たに今までインタビューを続けて参りましたご兄弟の父君、バッカス・パンクヒルズさまにお越しいただきました。前回からご兄弟で順に、ルードヴィヒさん、アイザックさん、カストルさん、テオドアさん、イオレインさんがお話くださいましたが、ご兄弟の父親という視点からどのような兄弟像が語られるのでしょうか。ご長男のルードヴィヒさんについて一言お願いします。

 いやはや、こうしてまともに話すのは久しぶりになるね。イオンと違って勉強熱心なのはよいことだ。だが、いいのかね? 君ももうよい年齢だし、ご結婚を考える時期では? ああ、いや、すまない。イオンと一緒にいたことばかりが頭に残っているばかりか、イオンに構って他家のお嬢さんまで巻き込んでいやしないかと心配になってね。本当に幼い頃からイオンが迷惑をかけて申し訳ないよ。
 さて、ルーのことだったね。あの子はパンクヒルズの長子たる象徴のような子供だ。次にこの家を継ぐのはルーに違いないだろう。あの子は武に生きる我が家にとって最高の子供だと思っておる。しっかりしているし、才能もある。今は軍に入っているが、そこでもっと鍛えてもらい、いずれこのパンクヒルズを大きくしていくだろう。

 >では次男のアイザックさんについてお願いします。

 ザックか。ザックもパンクヒルズの名に恥じぬすばらしい息子だ。ルーがちょっと名を上げた故にいい意味で刺激しあったのだろうと感じている。ルーと一緒に兄弟支えあってこれからパンクヒルズをもっと大きくしてくれればと考えている。そういう意味で今は他のところで鍛えてもらうのがいいのだろう。

 >次に三男のカストルさんについてお願いします。

 カストルはとんだはねっかえりだな。まったく幼い頃あんなに武の才能に恵まれていたというのに、その道をそれるとは予想しもしなかった。ただ、上の子らに武の道を説きすぎた所以の反抗なのだとしたら、と少しわが身を反省する部分もあったことは事実だ。今はそれなりに幸せにやっているようだから、パンクヒルズの名を汚さぬよう生きればよい。

 >四男のテオドアさんについては如何ですか?

 テッドはすこし真面目すぎるきらいがあるな。上がカストル、下がイオンだったがゆえにその真面目さが際立つ。もう少し羽目を外す日があっても構わないのだが。親としてはカストルとテッドを足して割ったくらいがちょうどいいと思っているのだが。カストルのこともあってテッドにはもっと自由でもいいとさえ最近は考えている。

 >最後に五男のイオレインさんについてどうですか?

 歳取ってから生まれたせいか、末っ子のせいか、一番かわいい子だ。イオンだけは武の道を歩まずともよいと考えていたのだが、血は争えぬな。結局あれも武の道に進んだ。親としてはいつの間に皇子と知り合ったものかと思うが、教えぬの一点張りではどうしようもない。いちばん危なっかしいと思っていたのも事実なのだが。まぁパンクヒルズの名を誇りにこれからも頑張ってもらいたい。
 ああ、ちょうどいい。子供のことなら私より妻に聞いてくれ。私などほとんど戦場に出ていて子供の面倒など見ていないようなものだ。そう考えるとだめな父親であったのだろうな。力に慣れなくてすまないね。

 >いえ、こちらこそご協力感謝いたします。というわけで次回は母君であらせられますレオーナ・パンクヒルズさんです。

その7.母が見る息子たち。 母 レオーナ・パンクヒルズ

 >インタビューに御協力くださり、感謝します。このインタビューもご理解のあるパンクヒルズ家の皆様のおかげで、新たに今までインタビューを続けて参りました。今回は、ご兄弟の母君、レオーナ・パンクヒルズさまにお越しいただきました。前回からご兄弟で順に、ルードヴィヒさん、アイザックさん、カストルさん、テオドアさん、イオレインさん、そして父君のバッカスさんがお話くださいましたが、ご兄弟の母親という視点からどのような兄弟像が語られるのでしょうか。ご長男のルードヴィヒさんについて一言お願いします。

 いや~ん。久しぶりねぇ、モルダちゃん! いやよ、そんな堅苦しい挨拶しないでちょうだい。イオンとは最近どうなの? え? そうなの。まったく、こんなに可愛らしい子を放っておくなんてあの子、いつまで子供のつもりかしら? ごめんなさいねぇ、今度ちゃんと言っておくから。え? そんな事を言いに来たんじゃない? 誤解? あらそう?
 ごめんなさいねぇ、おばさんのたわごとだと思って聞き流して頂戴ねぇ。
 で、ルーくんについて?
 かわいいわよぉ。何せ初めて生まれた子だものぉ。あの子は難産でねぇ、生まれてくるのに時間がかかったのよう。だから苦労もひとしおでねぇ。でもでも、思春期が過ぎたら一人前の男の子になっちゃって、すかした感じになろうとしているのよぉ。そこがまたかわいいでしょう? 私からすれば合い変わらずにかわいいんだけれどね。

 >そ、そうですか。で、では次男のアイザックさんについてお願いします。

 ザックくんはねぇ、とぉってもいい子なのよぉ。ルーくんがあんなのだから、気を使ってくれてねぇ。本当に優しいのよぉ。体つきは大きいんだけれどあれで甘いものが好きだったり、小さい子に優しかったりするのよぉ。きっとあのギャップに萌えて可愛らしい奥さんかしっかりした奥さんを貰うと予想しているのよぉ。

 >次に三男のカストルさんについてお願いします。

 カストルくんはねぇ、面白い子なのよぉ。てっきりバッカスさんの言うとおりに武の道に進むと思っていたらいきなり芸術家になるっていうんだものー。反対? したつもりはないわよぉ。ただねぇ、始める時に絵と音楽と彫刻とーってみんな一辺にやりたいって言うからぁ、一つに絞って始めなさいって叱ったわぁ。最初は困っていたみたいだけれど絵から初めて、そのうち全部出来たんだから我が子ながら優秀よねぇ。

 >四男のテオドアさんについては如何ですか?

 テッドくんはカッコイイのよぉ。私たち二人からどうしてあんなに冷静で大人なイケメンが生まれたかと思うと誇らしいのよぉ。真面目さん? そうねぇ、真面目さんねぇ。若いから今は一つのことしか見れてなくても、きっとテッドくんは最終的には素敵な人生を歩みそうよ、だってかっこいいもの!

 >最後に五男のイオレインさんについてどうですか?

 イオンくん? イオンくんは不思議さんなのよぉ! そこで遠い目をしないで頂戴な! だってねぇ、可愛いのにぃ、かっこよくってぇ、それに強いんだものぉ。天真爛漫なのよぉ。天使みたいって言ったらおばさん親ばかだわねぇ。え? それ以外には? 特にないわよぉ?
 ごめんなさいねぇ。あまり役に立たなかったでしょう? 私母として頑張っているかもだけれど、息子たちのことは、息子というよりかは恋人のように考えているから。ついつい平等には見れないのよねぇ? ああ、丁度いいところに、サーヴァン! 執事のサ―ヴァンに尋ねて頂戴ねぇ? また、いつでも遊びに来てねぇ!

 >いえ、こちらこそご協力感謝いたします。というわけで次回は一家の執事を務めていらっしゃいますサーヴァン・モレクさんです。