TINCTORA 000

0.prologue

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「さあ、はじめようか」
 そこには底なしの沼の水のように、纏わりついてくる甘ったるい匂いがある。
「僕たちの心から欲するその、望みのために」
 そして、抗いがたき、闇の誘いと……
「自由を、」
 あいつの、目が、
「求めるための」
 ああ、俺は……
「血と狂気の宴を」
 俺の目を見て、あいつはもう一度言った。
「はじめようか」