天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 026

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 026.星狩人と辰骸環  竜骨遺跡の建つ山の中腹の街。  遺跡に星狩人(サイヤード)協会本部があり、そこを多くの星狩人たちが訪れることから、最寄りのこの街は所謂“冒険者の街”として発展してきた。  協会に試験を...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 025

第2章 永遠を探す忠誠の騎士 025.過去と今 「まったく、なんなの!? あの無駄に態度のデカいおっさんは!」  王宮内に与えられた自室に戻るなり、少女は「聖女」の仮面を脱ぎ捨てた。  そのまま礼装も物理的に脱ぎ捨てようとして、慌てた周囲の...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 024

第1章 魔女に灰の祈りを 024.そして、物語は幕を開ける  タルテ、ファラーシャ、レイルの三人は、翌日になって協会本部の会議室の傍でラウルフィカと話をしていたセルセラを見つけた。 「――では、次の目的地は中央大陸か」 「ああ。ディムナに呼...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 023

第1章 魔女に灰の祈りを 023.魔女に祈りを 「お前の願いなんて僕の知ったことかよ」  セルセラはそう言い捨て、一人遺跡に背を向けて歩き出した。その凛とした背筋は、レイルの震える指が追いすがることすら許さない。 「セルセラ! レイル……あ...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 022

第1章 魔女に灰の祈りを 022.聖なる巫女と呪われた騎士  聖堂の扉を体当たりするかのように乱暴に開く。一瞬騒然となりかけた葬儀の参列者たちは、けれどそれが聖女の最愛の騎士の姿だと知って言葉を失った。 「レイル……」 「陛、下。エスタ様は...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 021

第1章 魔女に灰の祈りを 021.聖なる少女と聖なる騎士  儀礼用の細く美しい剣を鞘から引き出し、目の前の主君に渡す。そして跪き、そっと頭を垂れた。  見た目ばかりの細い剣でも重そうに受け取った華奢な主君がその剣の腹で、跪いた騎士の肩を三度...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 020

第1章 魔女に灰の祈りを 020.白と黒の神話  ――始まりの夢を見る。  白い砂浜が真っ赤に染まり、邪神の嘆きは青い海を荒立て黒く染めた。天を埋め尽くす神々の軍勢。相対するは一人の魔術師。  創造の女神の名を奪い、後の世に“創造の魔術師”...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 019

第1章 魔女に灰の祈りを 019.灰かぶりの魔王 「とっとと魔王を倒して終わらせるぞ!」  反撃の号令はなされた。ファラーシャとタルテは、もはや戸惑うこともなく動き出す。 「セルセラ」 「お前も行け、レイル。奴の術を防ぐ魔導をかけてやる。も...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 018

第1章 魔女に灰の祈りを 018.生贄術師  鋭い笛の音が夜の闇を切り裂いて響く。  ファラーシャは弾かれたように顔を上げると、その音が聞こえた方角に向けて走り出した。セルセラも箒で宙を舞いながらタルテたちのもとへ駆けつける。 「見つけたか...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 017

第1章 魔女に灰の祈りを 017.幻と囚われ人  レイル、ファラーシャ、タルテ。  この三人は強すぎる。これほどの戦闘能力を持つ人物がどこかの大国に召し抱えられるでもなく在野に埋もれていたのが信じられない。  セルセラはそう考えていた。だか...