天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 036

第2章 永遠を探す忠誠の騎士036.鉄帯が外れる時「う……」 頭が重い。首の後ろがなんだか痛む。 慣れぬ感覚だと思いながら、クランは意識を取り戻す。瞼が重い。「なんだ。結局こういう話になるんじゃないか」 体を起こす前に耳に飛び込んできたのは...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 035

第2章 永遠を探す忠誠の騎士035.忠義の果て 雑木林の向こうの小さな丘の上、いつの間にか夜闇に紛れる濃い紫色の軍隊が出現していた。 人数こそ五十人もいなかったが、そのうちの一部が一抱えもあるだろう大きな鉄の筒を持っている。「あれは……大砲...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 034

第2章 永遠を探す忠誠の騎士034.騎士と魔王 黄昏から宵闇へと空の色が移り変わる。 昼と夜の狭間の安寧を、白銀の巨大な獣の咆哮が引き裂いた。 領主館の壁と屋根を破壊しながら、狼にも似た魔獣は堂々姿を現す。「ハインリヒ……?」「ハインリヒ!...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 033

第2章 永遠を探す忠誠の騎士033.約束と宿命「魔王と言っても案外普通だったな。倒せそうか?」 ディムナは長い間書面上で認識しているだけの存在だったフロッグ公爵領の二の魔王・ハインリヒに会った感想をクランに尋ねる。「特段脅威には感じませんで...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 032

第2章 永遠を探す忠誠の騎士032.邪神の欠片たち 煌めく螺鈿細工に真珠、巻貝や海星を模した金銀に飾られた竪琴を、まるで人魚のように美しい人物が奏でている。 腰まで届く青みがかった銀髪はともすれば女性のようにも見えるが、よくよく観察すれば少...
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天上の巫女セルセラ 031

第2章 永遠を探す忠誠の騎士031.戻れぬ日々 食事を終えた一行は、ひとまず今後のことについて話し合うために、宿のディムナの部屋に集まった。 それぞれが思い思いの位置についたところで、ディムナがドロミットについて尋ねる。「ところで、そろそろ...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 030

第2章 永遠を探す忠誠の騎士030.槍の騎士の魔王 考えてみれば。「僕に依頼したいだけならわざわざアジェッサの街に呼び出してしかも本人が来る必要はなかったもんな……。ちっ。こいつの放浪癖を甘く見てたぜ」 セルセラの舌打ちに、タルテの溜息が重...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 029

第2章 永遠を探す忠誠の騎士029.白の帝国とその隣国 ディムナが一行を連れてきたのは、彼らが泊まっている宿のすぐ近くにある食事処だった。 普段安くて美味い店を探すのが趣味と言い放つディムナが、己の騎士との気安い二人旅にしては珍しく高級な宿...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 028

第2章 永遠を探す忠誠の騎士028.白と黒の主従 新しい衣装と自分用の辰骸環を受け取ったセルセラたち一行は、翌日緑の大陸を旅立った。 目的地は藍色の大陸、別名を中央大陸。その名通りこの世界の中央に位置する大陸だ。 貨物船の一つが護衛を探して...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女姫セルセラ 027

第2章 永遠を探す忠誠の騎士027.騎士と少女たち 称号に関するやりとりを終えて本部の外へ出たレイルを、セルセラたち三人はいつからか待っていたようだった。「話は終わったようだな。街へ行くぞ」「今からか?」「ああ。服ができた」「早いな」 先日...