天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 014

第1章 魔女に灰の祈りを 014.冥界下り  神々が住まう中央神殿。装飾的な柱の並ぶ廊下をセルセラは迷わず歩き、建物内で最も日当たりの悪い一角へと辿り着く。  奥まった部屋が死後の世界を統治する冥神ゲッセルクの執務室だ。  執務室と言っても...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 013

第1章 魔女に灰の祈りを 013.天上昇り  寝台に横たわる少女は物言わぬ骸。美しい死体に寄り添い、男は主の名を呼びながらただ項垂れる。 「リーゼル様……」  レイルは波打つ自分の胸の鼓動を抑えるように服の胸元をきつく掴んだ。背にジワリと嫌...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 012

第1章 魔女に灰の祈りを 012.星を狩る者  光り輝く魔法陣の上に現れた一人の女性。  それまでの鎧兜の戦士たちとは違い、彼女ははっきりと顔を晒している。  そして、ファラーシャにとてもよく似ていた。  ファラーシャを二十歳ほど成長させ、...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 011

第1章 魔女に灰の祈りを 011.七つの試練  一行が頭を低くして暗く狭い隠し通路をしばらく歩くと、唐突に終わりは訪れた。  抜け出てから振り返ると、通路を塞いでいた扉の外側は完全に周囲の壁と同化していた。  こちら側からもう一度隠し通路に...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 010

第1章 魔女に灰の祈りを 010.千夜一夜  事態の概要を把握した一行は、全ての解決に向けて改めて探索を再開する。  ファラダとしては一刻も早く主を助けに行きたいだろうが、彼らが今いる場所は魔王たちの戦闘によって変容した特殊な遺跡の中だ。彼...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 009

第1章 魔女に灰の祈りを 009.鵞鳥番の娘  どこか休めそうな木陰を選び、一行はファラダの告白を聞く。周囲には血塗られた釘が生え硝子の破片がきらきらと光っていて落ち着くどころではないが仕方がない。  ファラダはついに重い口を開いて、彼が知...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 008

第1章 魔女に灰の祈りを 008.復讐者の影 「多少の怪我は魔導ですぐに治してやる。ガンガン行け、ガンガン」 「そうしたいのはやまやまですが、こんな罠だらけの遺跡内で無茶を言わないでくださいよ」  ひらひらと手を振るセルセラにタルテが溜息で...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 007

第1章 魔女に灰の祈りを 007.竜の骨、骸の器  竜の骨格に覆われた古代の小さな街並み。  その中には石造りの住居をはじめ、かつてその街で生きていた人々の生活に必要な機構の数々が、抜け殻のように残されている。  かつての商店や役所、広場に...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 006

第1章 魔女に灰の祈りを 006.旅人たちの事情 「あの」  先行して遺跡に入るセルセラたちの背を見送るアンデシンに、受験者の一人が話しかけてくる。  実力者として紹介されたものの、アンデシンの外見は人間で言うなら十代の少年だ。他の強面の星...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 005

第1章 魔女に灰の祈りを 005.賽は投げられた  鵞鳥の騎士が消えた後、竜骨遺跡の様子が変化した。 「ちょっと見ないうちに随分とトゲトゲしい見た目になっちまって」  舌打ちするセルセラの視線の先、見る者を異様な風体で威圧する城砦が、まるで...