小説

天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 032

第2章 永遠を探す忠誠の騎士032.邪神の欠片たち 煌めく螺鈿細工に真珠、巻貝や海星を模した金銀に飾られた竪琴を、まるで人魚のように美しい人物が奏でている。 腰まで届く青みがかった銀髪はともすれば女性のようにも見えるが、よくよく観察すれば少...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 031

第2章 永遠を探す忠誠の騎士031.戻れぬ日々 食事を終えた一行は、ひとまず今後のことについて話し合うために、宿のディムナの部屋に集まった。 それぞれが思い思いの位置についたところで、ディムナがドロミットについて尋ねる。「ところで、そろそろ...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 030

第2章 永遠を探す忠誠の騎士030.槍の騎士の魔王 考えてみれば。「僕に依頼したいだけならわざわざアジェッサの街に呼び出してしかも本人が来る必要はなかったもんな……。ちっ。こいつの放浪癖を甘く見てたぜ」 セルセラの舌打ちに、タルテの溜息が重...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 029

第2章 永遠を探す忠誠の騎士029.白の帝国とその隣国 ディムナが一行を連れてきたのは、彼らが泊まっている宿のすぐ近くにある食事処だった。 普段安くて美味い店を探すのが趣味と言い放つディムナが、己の騎士との気安い二人旅にしては珍しく高級な宿...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 028

第2章 永遠を探す忠誠の騎士028.白と黒の主従 新しい衣装と自分用の辰骸環を受け取ったセルセラたち一行は、翌日緑の大陸を旅立った。 目的地は藍色の大陸、別名を中央大陸。その名通りこの世界の中央に位置する大陸だ。 貨物船の一つが護衛を探して...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女姫セルセラ 027

第2章 永遠を探す忠誠の騎士027.騎士と少女たち 称号に関するやりとりを終えて本部の外へ出たレイルを、セルセラたち三人はいつからか待っていたようだった。「話は終わったようだな。街へ行くぞ」「今からか?」「ああ。服ができた」「早いな」 先日...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 026

第2章 永遠を探す忠誠の騎士026.星狩人と辰骸環 竜骨遺跡の建つ山の中腹の街。 遺跡に星狩人(サイヤード)協会本部があり、そこを多くの星狩人たちが訪れることから、最寄りのこの街は所謂“冒険者の街”として発展してきた。 協会に試験を受けに来...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 025

第2章 永遠を探す忠誠の騎士025.過去と今「まったく、なんなの!? あの無駄に態度のデカいおっさんは!」 王宮内に与えられた自室に戻るなり、少女は「聖女」の仮面を脱ぎ捨てた。 そのまま礼装も物理的に脱ぎ捨てようとして、慌てた周囲の侍女たち...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 024

第1章 魔女に灰の祈りを024.そして、物語は幕を開ける タルテ、ファラーシャ、レイルの三人は、翌日になって協会本部の会議室の傍でラウルフィカと話をしていたセルセラを見つけた。「――では、次の目的地は中央大陸か」「ああ。ディムナに呼ばれてる...
天上の巫女セルセラ

天上の巫女セルセラ 023

第1章 魔女に灰の祈りを023.魔女に祈りを「お前の願いなんて僕の知ったことかよ」 セルセラはそう言い捨て、一人遺跡に背を向けて歩き出した。その凛とした背筋は、レイルの震える指が追いすがることすら許さない。「セルセラ! レイル……あの、えっ...